ギャンブルでの自己破産
FAQ(よくある質問)
Q.ギャンブルの借金で、自己破産できますか?
ギャンブルでも自己破産ができますか?という質問がよくあります。
ギャンブルは、破産法上、免責不許可事由とされています。
免責というのは、借金の責任を免除する効果を生むもの。
この免責をもらうために、裁判所に破産の申立をしているものです。
破産法では、
浪費、ギャンブル、射幸行為により財産を大きく減らした場合、
免責不許可事由になるとされているのです。
※破産法252条1項4号
浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
しかし、多くの場合には、ギャンブルの借金でも自己破産ができ、免責も許可されています。
今回は、約20年間、自己破産事件を取り扱っている弁護士が、その解説をしていきます。
自己破産で不許可事由になるギャンブルとは
自己破産で不許可になるギャンブルには、幅広いものが含まれます。
破産法の定義では、賭博その他の射幸行為とされています。
実務上、よく問題になるのは、
パチンコ、競馬、競輪、競艇などです。
高レバレッジでのFX、バイナリーオプション、オンラインカジノなどもここに含まれます。
金額的に問題にはなりにくいですが、totoや宝くじも理論的にはここに含まれます。
何万円単位での利用がある場合には、不許可事由とされるリスクがあります。
これらのギャンブルをしていたからダメというわけではなく、収入に見合わない支出をこれらのギャンブルでしており、借金の原因になっているかがポイントになります。
ギャンブルでも裁量免責がほとんど
ギャンブルによる借金の場合では、このように免責不許可事由に該当します。
ただ、これで不許可になってしまうかというとそうではありません。
法律上は、裁判官の裁量による免責許可が認められています。
かなりの金額のギャンブルをしていたとしても、この裁量免責の許可を最終的にもらえる可能性が高いです。
誠実に破産手続きを行うことによって、ほとんどの事案では、裁量免責の許可が出ているといって良いでしょう。
そのため、ギャンブルによる自己破産だからといって許可が出ないとあきらめるよりは、しっかりと手続きに向き合った方が良いです。
しっかりと、戦略的に準備することで、裁量免責許可をもらえるよう動くべきです。
自己破産は管財手続になることが多い
裁量免責によって許可されるとしても、ギャンブルでの自己破産は、管財手続きになることが多いです。
管財手続きとは、破産管財人が選任され、免責を認めてよいかどうかなどの調査をする手続きです。
裁量免責を許可するかどうかは、裁判官の判断になりますが、裁判官はこの判断の際に、破産管財人の調査報告を非常に重視します。
そのため、破産管財人の意見がどのようなものになるのかが裁量免責をもらうためのポイントになります。
このような管財手続にするかどうかは、事故破産の申し立て後に、裁判所が判断することになります。
ギャンブルの程度があまりにもひどい場合には、最初から破産管財手続きで申し立てをすることになります。
ギャンブルの程度が、そこまでひどくない場合には、破産管財手続きではない同時廃止の申し立てをして、裁判所の判断を待つことになります。
Q.破産管財人とは?
自己破産の管財手続と同時廃止の違い
自己破産での管財手続と同時廃止の違いを表にまとめると、次のとおりです。
管財手続の方が申立人の負担は大きくなっています。
管財手続 | 同時廃止 |
---|---|
管財人が意見を出す | 裁判官だけで判断 |
管財人面接、集会がある | 書面か免責審尋のみ |
費用が高くなる | 費用は通常どおり |
期間がかかることも | 期間は通常どおり |
ギャンブル破産での破産管財人が家計を指示
ギャンブルでの自己破産では、破産管財人の意見が重要になってきます。
破産管財人が裁量免責が相当であるとの意見を出してくれれば、裁判所もそれに従って免責許可を出す確率が高まります。
破産管財人については、破産の決定後、申立代理人の弁護士と一緒に面談をすることになります。
その際に、ギャンブルの程度や借金ができてしまった経緯などを説明することになります。
ここからは、破産管財人のやり方によって大きく変わります。
ギャンブルによって家計を圧迫したのであれば、毎月の家計を2~3か月つけさせて出させる、家計が改善していることを確認するという管財人もいます。
毎月、破産管財人事務所に来るよう求める管財人もいます。
ギャンブル破産での反省文
また、自分自身に向き合うために、反省文を書いて提出してくれと言う破産管財人もいます。
反省文について、どのように書けば良いのか、サンプルや例文をもらいたいという人もいるのですが、例文を書き写しても、反省は伝わりません。
なるべく自分の言葉で書いた方が良いといえるでしょう。
反省文については、紙の指定等は特にありません。
レポート用紙でも便箋でもコピー用紙でも問題ありません。
通常は、本文のほかに、作成年月日と自分の氏名を記載することになります。
反省文の例文
正式な文書というよりは、管財人に宛てた文書なので問題なのは中身の方です。
基本的に、悪いことをしてしまったことに対する反省と言うことになると、どのような事情でしてしまったのかの振り返りと、関係者への迷惑に対する思いやり、二度としないという決意、そのための具体的な対策などを記載することが多いかと思います。
その際に、二度としないための仕組み、環境などがフォローできていると良いと言えるでしょう。
たとえば、家族の援助、ギャンブル仲間との関係解消などです。
このような反省文は、自己破産に限らず、刑事事件等でも作成することがあります。
そのような内容に近いものといえるでしょう。
ギャンブル自己破産でのNG行動
ギャンブルを理由とする自己破産でやってはいけないNG行動があります。
それは、ギャンブルを隠すことです。
借金をした経緯について、破産申し立て時には違う理由で説明をしていたにもかかわらず、自己破産の申し立て後に、破産管財人等から調査をされ、その理由がギャンブルであったということが判明すると、虚偽の説明となり悪質と判断されてしまいます。
このような虚偽説明をによって、さらに免責不許可になってしまうリスクが高まるのは、最悪の結果です。
借金をした経緯について、ギャンブルを含むのであれば、素直に依頼した弁護士に申請をしたうえで、裁量面積の許可をもらうように動くべきです。
破産管財人による調査では、預金通帳の入出金明細や、クレジットの利用履歴のほか、郵便物も転送され、ダイレクトメールなどもチェックされることになります。
借金の理由にギャンブルをあげていなかったのに、パチンコ店からのDMが多いなどの事情があると、間違いなく疑われることになるでしょう。
受任通知後のギャンブルもダメ
また、受任通知により返済を止めた後にギャンブルをしてしまうこともNGです。
借金の返済がなくなり、一時的に問題が家計の問題が解決してるにもかかわらず、ギャンブルを再開してしまうという事は、全く反省していないものと外からは見られてしまいます。
このような人については、自己破産で免責を許可しても、またギャンブルで借金をしてしまうのではないかという目で見られます。
そのため、免責許可にも影響が出てしまいます。
ただし、やってしまった場合には、素直に弁護士に申告を押し、そこからの対処法を考えるべきでしょう。
中毒のようなものであれば、根本的な対処法が必要かもしれません。
ギャンブル破産で免責許可がでた事例
ジン法律事務所弁護士法人では、ギャンブルを理由とする自己破産事件の事例も多数、取り扱っています。
いずれも免責許可が出ていますので、参考にしてみてください。
2回めのギャンブル破産
最近では、2回目の自己破産というケースもあります。
免責不許可事由については、7年以内の申し立ての場合、破産法上の不許可事由に当てはまります。
7年以内にギャンブルでの2回目の自己破産となると、免責不許可事由が2つとなり、かなり厳しい見込みとなります。
前回の自己破産から7年が経過している場合には、本来は免責不許可事由ではないことになります。しかし、2回目の自己破産となると、7年 を経過していても、裁判所は前回の事情と今回の事情を比較するなど、詳しい事情を確認してくることが多いです。
当然ながら、同じ間違いをさせないようにするためという視点を持っています。
そのため、過去にギャンブルを理由に自己破産をしていながら、もう一度ギャンブルを理由に借金をしてしまい2回目の自己破産となると、免責許可について相当に厳しい判断がされるリスクがあります。
ギャンブルを繰り返してしまった理由の説明、もし依存症というレベルであれば、その対策などをしっかり取ったうえで申し立てをする必要が出てきそうです。
内容によっては、依存症についての治療などをする必要があるかもしれません。
ギャンブルの自己破産の費用
ギャンブルによる自己破産の場合には、通常の自己破産よりも費用が高額になるケースが多いです。
それは、破産管財人の手続きとなるため、管財予納金を裁判所に払う必要があるからです。
管財予納金は、少なくとも20万円が必要になります。
同時廃止手続きよりも、この金額は加算されることになります。
また、自己破産では官報に掲載するための予納金も収めなければなりませんが、これも同時廃止手続きより4000円程度高くなっています。
これらを理由に、ギャンブルでの自己破産は、費用が高くなりがちです。
その理由は、ギャンブルをしているからというよりは、破産管財人のための手続費用がかかるからという点にあります。
自己破産費用は分割払いができます
このような費用については、法律事務所にもよりますが、基本的には分割払いが認められています。
ジン法律事務所弁護士法人でも、自己破産費用については、分割払いでの対応が可能です。
また、裁判所に申し立てをしたものの、ギャンブルを理由に破産管財手続きに回された場合、急遽20万円の管財予納金が必要になりますが、裁判所と交渉し、分割払いでの予納としてもらっているケースも多数あります。
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