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ケース紹介95 Sさんの事例

30代 / 男性 / 会社員

借入の理由:パチンコ、換金、給料の差し押さえ


足柄上郡にお住まいの30代男性のケースです。

銀行、信販会社を中心に、約900万円の借金があり、給料が差し押さえられてしまったとの相談が入りました。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

ガソリン代カード作成

当初のカード作成は、ガソリン代の支払のためにアプラスのカードを利用していたというものでした。

持っていたカードで生活費が不足すると数万補うような使い方をしていました。
転職して1,2ヶ月収入がない期間があり、その補填をするなどの使い方でした。

また、その後、結婚、転居などの費用、子が生まれたことで、養育費用が不足し、借入したこともありました。

通勤で使っていた車が壊れる寸前だったため、信用金庫で借入れ、車を買うなどしていました。

このあたりまでは、収入の範囲内での使い方であり、子育てが一段落して、家計が改善されれば、返済ができそうな状況でした。

 

パチンコに手を出す

以前にもパチンコに行っていたことはあったものの、数年前からパチンコの頻度が増えてしまい、依存症のような状態になってしまいます。

一度行くと、パチンコ店に朝から晩までいるような日もありました。
週に2回程度行き、ひどいときには月に20万円程度マイナスになることもありました。

マイナスを補うため、新生銀行、三井住友銀行、楽天銀行などから新たに借りてしまいます。
現在の借金の半分程度は、パチンコでのマイナスを補ったものだといいます。返済のことなど考えずに、お金をつぎ込んでしまっていると言えるでしょう。

ただ、このような事態が続き、借金が多くなりすぎ、怖くなり、パチンコを一切止めることができました。

 

返済のために借り入れ


収入だけでは返済ができず、アイフル等の消費者金融から返済のために借りました。

返済のために高利の借金をするようになると末期症状といえます。このままでは行き詰まること必至。


一攫千金で返せないかと、totoなどのくじを買うようになってしまいます。

自転車操業状態は続けられず、借入ができず、ショッピング枠の換金。

これでも返済できず、支払を止めたことで、債権者から支払督促や差押がされるようになってしまいます。

給料も差押えられ、手取り収入が減って生活できなくなり、相談に来たという経緯です。

借金問題を先送りして現実逃避してしまう人は多いです。その中でも、給料の差押までされてからの相談ですと、なかなか大変です。

ここまで行くと、弁護士に依頼しても、給料の差し押さえはすぐには止まりません。

今回のように、ギャンブルや換金などの程度が激しい場合には、管財手続きとなります。

参考:ギャンブルの自己破産で失敗しないポイント

 

管財手続きの場合には、破産決定後、給料の差押が取り消されることになりますが、破産の申立までは差し押さえられたままです。手取り収入が少ない状態で、管財費用などを作る必要が出てきてしまいます。

 

関連リンク:Q.給料を差し押えられているのですが、破産をすれば全額受け取れますか?

 

 

従業員持ち株会

職場によっては、従業員持株会制度がある場合も多いです。

法的には、加入は強制ではありませんが、上司から強く加入を勧められて断れずに加入しているという人も少なくありません。

株式は財産であるため、破産手続きでは売却が原則です。

ただ、従業員持ち株会の場合には、事実上売却しにくいことが多いです。

今回のケースでは、そこまで持ち株が増えておらず、まだ単位未満株の状態でした。

加入の経緯から、脱退や売却をすると、職場で問題が起きることも予想されたので、自由財産拡張の申立をし、売却されずにそのまま維持することができました。

 

自動車の維持

自動車については、家には1台のみありました。

信用金庫のカーローンを利用してのものでしたので、所有権留保はついていませんでした。

また、地域柄、通勤、通院、日用品の買い物に使うなど、必要性が高い事情もありました。

査定価格は20万円を超えるものでしたが、自由財産拡張の申立をし、維持することができました。


参考リンク:Q.ローンが残っている自動車はどうなりますか?

 

家計状況の提出

免責不許可事由がある事件であり、ギャンブル等の支出であることから、早期に破産管財人と面談し、家計状況の提出などをすることとなりました。

現在は、ギャンブルから抜け出すことができており、適正な家計状態となっておりました。

過去の支出に対する反省も認められ、裁量免責をもらうことができています。

手続きのなかでは、なぜ、一時的にでもギャンブルにのめり込んでしまったのか、その自己分析を求められました。自分なりに納得できる結論にたどり着けているのであれば、今後の生活も大丈夫かとは思います。

破産決定後、給料差押については早期に取り消され、手取り収入も戻すことができました。

 

ギャンブルを含め、依存症は多重債務に結びつきやすいものです。

動画等でも対策を紹介していますので、参考にしてみてください。ぜひ、家計の改善を。

 

ギャンブル依存を理由とする借金の自己破産ご相談も無料で受け付けています。

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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