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ケース紹介60 Rさんの事例

20代 / 男性 / 会社員

借入の理由:パチンコ


南足柄市にお住まいの20代男性のケースです。

パチンコを理由とする借金の相談でした。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

20歳からのパチンコ

当初、月収18万円程度ありました。

20歳からパチンコをしていました。

そのうちに、パチンコ資金のため、安易にアコムで借り入れをして、パチンコに使い始めるようになってしまいました。


当時は、実家で生活。

生活コストは低かったので、一時的に借りても、返済できると考えていました。

同じような考えで他社からも借りるようになり、パチンコの資金に使っていました。

 

退職による収入減

結婚を機に転職しました。

以前の仕事は、残業が多く、給料も少ないため、家族との時間も取れない見込みだったので退職しました。

一時的に、収入がなくなり、借り入れをして食費や電話代等の生活費にあてていました。

その後、転職により、収入は多少増えました。

 

おまとめローンの利用

結婚を機に借金を返済するため、1社にまとめようと考え、おまとめローンを利用し、消費者金融の借金を完済。

しかし、転職時の収入がない時期に、結局、再度、消費者金融から借りて生活費に使うようになってしまいました。

おまとめローンで、このようにトータルの借金が増えてしまう例は非常に良く聞きます。

 

結婚による引越し費用、支出増加

実家を出て、妻と同居するため、引越し費用や家具費用が必要になり、新しい業者からも借金をして補いました。

さらに、長女が産まれ、子供にかかる費用も負担になり、借金を減らせませんでした。

1年程度、借金を借りては返してと繰り返していましたが、減らすことはできず、少しずつ増えてしまいました。また、この間もパチンコを止めることはできず、パチンコで勝てば返せると考えてしまうこともありました。

返済のために、クレジットカードで乗車券を買い、換金まで。

携帯で借金の返済方法などを調べたところ、出てきたので軽い気持ちで一度やってしまいました。

換金額は高くありませんでしたが、パチンコで増やして返済しようと考えてしまい、結局負けてしまいました。

 

債権者からの訴訟提起

消費者金融から訴訟提起をされるなどしたため、弁護士に依頼。

しかし、体調不良もあり、準備が進まず、以前の弁護士には辞任されてしまいました。

そのまま放置していたところ、別の会社から支払督促の申立がされ、何とか解決しなければと思い、相談に来たという状態でした。

 

財産状況

わずかな預金のみで、保険にも加入しておらず、財産もありませんでした。

解約済の預金口座もあり、銀行側に、解約に関するものや、残高が無い旨の証明書類を求めたものの、解約済の口座に対しては一切発行できないと言われ、資料の添付はできず、報告書で対応するものもありました。

妻の自動車保険の保険料について、親族からの援助も受けていたため、その旨を報告書で対応しました。

 

 

同時廃止による解決

根本的な理由が、パチンコにあったことから、免責調査型の管財事件になる可能性もありました。前弁護士もそのような指摘をしていたようでした。

もっとも、最近はパチンコをしていなかったことから、反省文を作成し、同時廃止での申立を進めてみました。

その際、パチンコへの支出が免責不許可事由にあたる可能性があるが、ここ数年はパチンコ含めギャンブル行為は無く、現状依存性などは感じられないこと、また、パチンコ資金のための換金行為も、一度のみで少額に留めたことから非常な悪質さは無く、裁量免責とするのが相当との意見を出しています。                         

相談者の申立までの経緯や財産状況も考慮され、破産管財人は選任せず、同時廃止手続きによる裁量免責をもらうことができました。

今回の経緯を踏まえて、パチンコ店や消費者金融がなぜ好業績なのか、その構造上、利用者に負担が発生する確率が高いものであることを認識してもらえたと思います。

参考:ギャンブルの自己破産で失敗しないポイント



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