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ケース紹介

 

ケース紹介53 Kさんの事例

40代 / 男性 / 無職

借入の理由:病気、ギャンブル


伊勢原市にお住まいの40代男性のケースです。

アコム、楽天などに130万円の借金のほか、数百万円の滞納税金があるところ、現在は無職・生活保護により支払いができないとの相談でした。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

転職時にカード利用

当初、一時的に生活費に困りアコムから借り入れをしていました。

自己破産の理由のなかで、統計上、6割程度は生活費不足が理由にあげられているというデータがあります。

今回の相談でも、当初の理由は生活費不足でした。

ただ、当時は、一時的な利用で、返済は収入の中からできていました。

 

ギャンブル等の支出増加

その後、ギャンブル、飲食を中心に支出が多くなり、収入だけでは返済の準備ができないようになってしまいます。

一時的に、と考えていたカードも、手元にあれば使ってしまい、多重債務の原因になってしまいます。

さらに、自営業者であったところ、税金の滞納もあり税務署から差押えを受けてしまいます。

 

滞納税金の放置

相談者は、税務署から呼び出しを受け、税金を400万円位滞納していると指摘されました。

しかし、返済原資も用意できず、あまり深刻に受け止めていなかったので、そのまま支払わないでいました。

そのため、滞納税額がどんどん増えてしまいました。

税金の滞納は、貸金業者の督促とはスタンスが違うので、安易に放置してしまう人も多いです。

しかし、裁判を起こさずに差押ができたり、破産をしても免責にならないなど、本来は、貸金業者の借金よりも怖い存在です。優先度は高いのです。


税金のよる売掛金差押

その恐怖が現実化してしまいます。

税務署が売掛金を差押え、取引先が発注してくれなくなります

自営の仕事の依頼がほとんど来なくなってしまいました。

同時期に、病気で倒れ、入院。

別の病気も見つかり、仕事のできる身体ではなくなってしまいました。

その後は、生活保護を受給することとなりました。

 

ギャンブル・浪費等の免責不許可事由

ギャンブルや浪費等の支出があり、免責不許可事由になる可能性があったため、それが不許可事由になるのか、なるとして、裁量免責になるのかについて意見を出しています。

 

浪費には風俗支出も含まれていました。

ただ、風俗、ギャンブル、及び宝くじは当時の収入の範囲内で行っており、ギャンブルのための借入れはしていません。  

                              
ギャンブルは長期間行っていたため金額が大きくなりましたが、毎月持ち出しが5万円程度(週1万円程度)でした。

自営業でしたので収入は安定せず、月の手取りが1万円から70万円と差がありました。

順調に行っていた時期には、年収はおおむね400万円から500万円ほどはありました。

また、飲食代の浪費は、外食の際にお店をはしごしたり、時には後輩におごったりしたことで、支出が多くなってしまった事情はありました。

ただ、仕事の付き合いで断れないこともありました。

このような点から、借金へのつながりはさほど強くないことを主張しました。

 

参考:ギャンブルの自己破産で失敗しないポイント

 

同時廃止による解決

免責不許可事由がある場合、免責調査型として、破産管財人を選任する扱いが増えてきています。

以前は、同時廃止と破産管財事件の中間のような事件の場合には、普段と異なる裁判官面接を挟んで決めることが多かったですが、最近は、破産管財人選任の方に流れるケースが多い印象です。

もっとも、本件では、病気の点や、その金額がさほど高額でなかったことなどから、同時廃止で進めるものの、申立人による反省文の提出などを求められました。

 

反省文作成の中で、高額支出の原因を振り返ってもらい、ストレス発散や暇つぶしのために、飲食代やパチンコ、競輪、宝くじ等の行為に多額のお金を使ってしまったこと、この浪費がなければ、現在の債務は半分くらいになっていたかもしれないことなどを分析してもらいました。

過去の振り返りをすることで、同じ過ちを繰り返さない確率が高まるでしょう。

反省文の中では、債権者への配慮などもみられました。

 

今後の生活について

急な病気により、生活保護という立場ですが、体調が改善すれば、仕事ができる年齢です。

体調不良でなかなか仕事に就けませんが、いずれ就職して収入を得られるようになれば、貯金をして安定した生活ができるようになると考えました。

 

結果として、裁量免責により免責許可が出ています。

債務の大部分が滞納税金であり、自己破産による免責の対象外であることから、今後も支払義務は残ってしまうものの、現在の生活状況が続くのであれば、いずれ徴収不能とされる扱いが高いです。

 

 

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