自己破産のデメリット・リスク
自己破産のデメリット・リスク
自己破産のメリット:借金がなくなる
これに対して、自己破産で受ける制限、デメリット・リスクとして、以下のものがあります。
- 数年間、ローンが組めなくなる
- 一定額以上の財産は処分される
- 一定期間、特定の資格が必要な仕事に就けなくなる(多くの場合、数ヵ月)
- 官報に載る
借金返済に追われる生活と、このデメリットを受け入れた生活を比べて、どうするか考えましょう。
デメリットを個別に見ていきましょう。
数年間、ローンが組めなくなる
自己破産をしたことは信用情報機関に登録されますので、一定期間は、ローンが組めません。
ローンで家や自動車を買ったり、クレジットカードを作ったりすることも数年間はできません。
現金での生活を心掛ける必要があります。
一定額以上の財産は処分される
破産をすると、全ての財産を処分されたり、差し押さえられたりすると誤解している人もいます。
しかし、自己破産は、破産者の生活を再建させるための制度です。
一定の財産については、処分されず、そのまま持ち続けることができます。
裁判所によって若干運用は異なりますが、神奈川県の場合、20万円を超えない預貯金、生命保険、自動車などはそのまま持ち続けられます。
一定期間、特定の資格が必要な仕事に就けなくなる
資格がいる一定の仕事は、破産手続開始決定により就けなくなります。
例えば、保険外交員、警備員、など法律で決められている職業です。
ただし、免責許可決定確定により仕事に再度就けるようになります。
破産決定から免責許可決定確定までの間に職業制限があるのみです。
パートなど大抵の職業は、破産手続中も続けられます。
官報に載る
自己破産をした事実が、官報という刊行物に載ります。
ただし、普通の人はほとんど手に取らないでしょう。
また、現物の官報は、1ページに多数の破産者が小さな字で羅列されており、探すのが大変です。
これ以外に、デメリットだとして誤解される事項について説明しておきましょう。
破産の事実は、戸籍謄本には記載されません。住民票にも記載されません。選挙権への影響はありません。将来の年金や生活保護にも影響はありません。借金のない銀行の預金口座も使い続けられます。
職場にも通常は判明しません。官報をチェックしている会社だったり、会社から借入をしているなどの事情がなければ、判明しないことがほとんどです。
自己破産については、通常は、家族の協力もあった方が良いですが、ご家族に秘密で進めるケースもあります。
引っ越し・旅行も可能です。ただし、届出や破産管財手続では一定の手続が必要です。
なお、自己破産をしても、保証人には請求が行きます。あなたの債務と保証人の債務とはあくまで別です。
あなたが破産しても、保証人の責任は残ります。
保証人は別途、破産手続をとるなど対応が必要になります。
ただし、これは自己破産に限らず、他の借金整理手続(個人再生、任意整理)にも当てはまります。
このようなデメリットはありますが、通常は、メリットの方が大きいでしょう。
自己破産のメリット:借金がなくなる
この点について、破産しても、業者の請求は続くのでは、と誤解されている人もいます。
しかし、通常の貸金業者は、弁護士の受任通知後は請求してきません。
消費者金融、商工ローン、信販会社、クレジット会社が、破産後に請求してくることはまずありません。
また、ヤミ金融業者についても、弁護士からの連絡により督促は止まります。
唯一、心配なのが、法的な説明を理解してもらえない知人などからの借入の場合です。執拗な個人の場合、別途対応が必要なケースもまれにありますが、義務がなくなった債務を請求し続けることは違法だと反論することも可能です。
自己破産のリスク
自己破産のデメリット以外に、自己破産をしても認められないリスクはあります。
法的には、免責不許可事由がある場合には、免責不許可になるリスクがあります。
免責不許可であれば、支払義務は残ってしまいます。事実上、破産をした意味がなかったという結果になってしまうでしょう。
しかし、現在では、よほどの不許可事由がない限り、裁判官の裁量で免責を許可する裁量免責が認められています。
簡単な同時廃止手続ではなく、管財手続になりやすいというリスクはありますが、不許可のリスクは高くないといえます。
破産手続きに誠実に向き合うのであれば、免責不許可のリスクは心配しなくて良いといえるでしょう。
督促に追われる生活から解放され、本来、集中するべき仕事や家庭生活を取り戻したい人は、ぜひ一度ご相談ください。