自己破産の申立に必要な書類一覧
FAQ(よくある質問)
Q.自己破産の免責が取り消される場合とは?
自己破産で免責許可が確定しても、取り消されてしまうことがあります。
今回の内容は、
- 自己破産で免責が確定したけど、まだ不安
- 免責確定後に債権者ができることを知っておきたい
という人に役立つ内容です。
自己破産の免責が取り消されることも
破産手続き上、免責の許可決定が出され、確定したら、法的には借金の支払いもなくなります。これが免責許可の効力です。
しかし、免責は確定しても、取り消される場合がないわけではありません。
免責の取り消しについては、破産法254条に書かれています。
免責の手続き中に、これが判明していれば免責許可が出されなかったような事情がある場合には、免責の効力があとから否定されるというものです。
免責が取り消される2つの事由
破産法で、免責の取消事由とされているのは、
- 詐欺破産罪の確定
- 破産者の不正の方法によって免責許可の決定がされた場合
の2点です。
これらの事由があるときには、裁判所は、免責取消しの決定をすることができるとされています。
「できる」なので、必ず取り消されるわけではありません。
なお、自己破産の依頼の取り消し等、ご自分が希望しての取り消しについては別に解説しています。
詐欺破産罪の確定で免責取消
詐欺破産罪の確定は、刑事事件になり、有罪判決が確定した場合です。
詐欺破産罪に書かれているような内容は、免責不許可事由に当てはまるので、その中でも特に犯罪行為として確定するような刑事事件にもなるような場合には、免責を取り消すという趣旨です。
Q.詐欺破産罪とは?
このような事情がある破産事件の場合には、最初から事情が判明していれば、免責許可が出せなかったものとみなされます。
詐欺破産罪の確定による免責の取り消しについては、債権者の申し立て以外に、裁判所の職権でもできます。
誰も動かなくても、裁判所が勝手にできることがあるわけです。
他の破産犯罪は免責取消にはならない
破産犯罪には複数のものがあり、詐欺破産罪はそのうちの1つです。
他の破産犯罪が確定した場合であっても、免責の取り消しにはなりません。
詐欺破産罪のみが取り消し事由とされています。
詐欺破産罪は、破産犯罪の中でも特に悪質だといわれるので、このような取り扱いになっています。
詐欺破産罪の確定による場合には、免責取り消しの期間の制限はありません。
破産者の不正による免責許可決定の取得
2つ目の破産者の不正な方法による免責許可決定の取得の場合には、破産債権者の申し立てが必要とされています。
詐欺破産罪確定の場合と違い、裁判所の職権で取り消すことはできません。
不正な方法とは、例えば、免責許可決定を得るために、破産管財人や、債権者に対して詐欺行為、脅迫行為、賄賂交付などが挙げられています。
このような不正行為があれば、手続きが適正でないことになるので、免責が取り消されるものとされています。
裁判例の中には、免責手続において、裁判所や破産管財人に虚偽の事実を告げて免責許可をもらった場合や、財産を隠したり、説明しなかった場合に取り消された事例があります。
免責不許可事由があっても裁量免責が認められるので、このような不正な方法があったからといって、直ちに免責が取り消されるわけではありません。
免責取消の申立期限は1年
不正な方法による免責許可の取り消しについては、免責許可決定後1年以内に破産債権者が申し立てた場合に限り認められるとされています。
改正前の破産法では、免責許可の確定なのかどうかに争いがありましたが、現在の破産法では確定ではなく、免責許可決定から1年とされています。
免責取消を申し立てできる債権者
申し立てができる債権者としては、非免責債権者でも良いとされています。
不法行為債権者のような場合だと、そもそも非免責債権に該当するかどうか争いになるので、免責が取り消されることについてメリットがあるので、申し立てができるとされています。
ただし、優先的破産債権者等で、破産手続で、全額の配当を受けた場合には、免責の取り消しをされても利益がないことから、申し立てはできないとされています。
また、財団債権者に関しては、条文上、「破産債権者」が申し立て権限があるとされているので、申し立てができないとされています。
財団債権者は、そもそも免責の効果を受けないので、免責取り消しを申し立てる利益もないとされています。
免責取消の手続
免責の取り消しの申し立て等がされた場合には、裁判所は審理として、利害関係人の審尋や、職権で必要な調査ができるとされています。
手続き上は、破産者や申し立て債権者の審尋までは義務付けられてはいないです。ただ、普通に考えれば、破産者に対する調査はされるでしょう。
免責の取り消しに関しては、裁判所は義務ではなく、裁量があります。
もともとが、裁量免責も認められるので、詐欺破産罪が確定しても、罪質が軽いようなケースなどでは、免責が取り消されないこともあります。
免責取消に対する不服申立て
免責を取り消したときには、その裁判書を破産者や申立人に送達しなければならないとされています。
免責の取り消し決定については、即時抗告ができます。不服申立ての手続です。
免責の取り消しの申し立てが却下された場合には、申し立てをした債権者、取り消し決定がされたときには破産者が即時抗告できます。
これに対し、申立人以外の破産債権者は、即時抗告はできないとされています。
即時抗告期間は、1週間です。
免責取消後
免責取り消し決定が確定すると、免責許可決定は効力を失います。
そのため、支払い義務が復活することになります。
破産者は、免責が取り消された後、新しい破産原因に基づいて、破産手続開始の申し立てをすることができます。
そちらの手続きでは、過去の免責後の新債権者は、旧債権者よりも優先する扱いになっています。
新しい債権者は、過去の支払い義務については免責されたことを前提に貸付などをしている可能性が高く、その信頼を保護し、優先権を与えているという関係にあります。
よほどのことがなければ、免責取消にはなりませんが、このような規定もありますので、自己破産手続きでは不正をしないように気をつけましょう。
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