自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介177 Mさんの事例
40代 / 男性 / 会社員
借入の理由:転職、離婚、住宅ローン
秦野市にお住まいの40代男性のケースです。
住宅が競売になった後の、住宅ローンについて訴訟予告が届いたということで相談に来ました。
この記事は、
- 住宅ローンが払えない
- 住宅ローンと離婚問題に悩んでいる
という人に役立つ内容です。
離婚すると住宅ローン破産の確率が上がる
住宅ローンの残債務が支払えない場合、金額が大きいため、自己破産を選択する人が多いです。
住宅ローンが払えなくなってしまう理由は、収入減・支出増のどちらかです。
具体的にどのような事情があるのでしょうか。
収入減の中に、リストラや転職、失職があります。家族の収入もあてにしていた場合には、家族の転職も含まれてきます。
家計全体の収入が減れば、支払が難しくなってしまいます。
支出増としてよくあるのが、子の教育費や医療費。教育費については、ある程度予想ができます。
ここに離婚問題も関係してきます。離婚があった場合、夫婦の収入で返済しようと考えていると、配偶者の収入分がなくなります。さらに、別居後に、養育費の支払い等があると、支出増となります。
離婚後に、住宅ローンを払い続けるとなると、なかなか難しいことになるのです。
結婚後、4年で住宅ローンを組む
相談者は、結婚後、子どもが2人うまれ、住んでいた家が手狭になったため、2400万円ほどのローンを組み、自宅を購入しました。
返済は月5万8000円ほどでしたが、当時の収入からは支払いができていました。家族4人の住居費としては、賃貸物件の家賃でもこの金額のことは少なく、そこまで負担が大きいものではありませんでした。
しかし、3年後、勤務先を解雇され、転職しましたが、手取り給が月7万円も下がってしまいました。そのため、住宅ローンの支払いがだんだん難しくなったというものでした。消費者金融からの借り入れなどで補いましたが、利息負担も増えたため、支払ができなくなってしまいます。
離婚等もあり、数年後には、自宅は競売に。
競売終了から数年、住宅ローンの残額は競売後も支払っていませんでしたが、訴訟予告通知が届き、自己破産の相談に来たというものでした。
借金は主に住宅ローンというものです。
転職と離婚により収入減少が支払不能の原因といえます。
住宅ローン競売後の訴訟
住宅ローン債権者は、通常、競売などで不動産を処分した後、民事訴訟を起こしてきます。
銀行のローンを保証していた保証会社や、債権回収会社が訴訟提起してくることがほとんどです。
民事訴訟を起こさないと、時効になってしまうため、ローンの残金を払ってこないと民事訴訟をするしかなくなるのです。
裁判所の判決があれば、今度は給料など、違う財産を差し押さえることができます。
代位弁済や競売の流れは以下の事例が参考になるでしょう。
離婚時の住宅ローンの取り扱い
離婚は、調停離婚でした。家庭裁判所での離婚調停で、いろいろな条件について協議されました。
離婚時には、住宅ローンが残っている家をどうするか、よく問題になります。
夫名義で住宅ローンを組んでいて、妻子が住み続けたいと主張する紛争が多いですね。
一生ではなくても、子供が何歳になるまで、などと希望する妻が多いです。妻のほうが住宅に愛着があり、子供が成長するまでは環境を変えたくないと思うようです。
離婚時に妻が住宅ローンを肩代わりするパターン
妻に一定の収入がある場合には、ローンを肩代わりすると主張することもあります。
通常、ローンの名義変更まではできないことが多いので、夫の名義のまま、妻がローンを負担するという事実上の合意で進めるしかないこともあります。
このような合意の場合、どうしてもリスクはあります。不動産の所有権の名義や、ローン契約の名義が自分でないとなると、名義人の動きによって、居住できなくなるリスクは高いものです。
妻が事実上、住宅ローンを払っていても、夫が他の借金で破綻、自宅は競売になるということも少なくありません。
夫に住宅ローンを払ってもらって居住
妻が住宅ローンを肩代わりできないものの、自宅に住み続けたいと主張することもあります。
夫が家を出るのに、住宅ローンを払い続けるというパターンです。
家を出るのであれば、夫にも住居費がかかります。住宅ローンと合わせて二重に住居費を負担することになります。ここに加えて養育費等を負担させられるのであれば、なかなか厳しい支払になります。
しかし、離婚調停や離婚裁判では、このような主張をよく見かけます。
特に、夫の不貞など、夫側に責任がある理由での離婚の場合、妻が理性的になれずに、「あんたのせいだから」と過度な負担を求めてくることが多いです。夫も、とにかく離婚をしたいと考えて、無理なローン負担に応じてしまうこともあります。
このパターンだと、夫が住宅ローンを払えずに破綻という結論も少なくありません。
自分が居住している家でも住宅ローンが厳しいと言う人が多いのに、離婚した相手が済む家のローンを何十年も払い続けられる人は稀です。夫が新しい生活を始めれば、住宅ローン支払の優先度は下がります。結局、住宅ローンを払えず、銀行から督促状が届いたり、裁判所から競売の通知が来ることになります。
このパターンでは、本当に、将来に渡って住み続けられるとは考えない方が良いでしょう。
今回のケースでも、別居後、しばらくは配偶者が住む家のローンを払っていましたが、数年で払えなくなり、競売となっています。
住宅ローンつき不動産の財産分与
住宅ローンが残っている不動産の場合、離婚で財産分与が問題になることもあります。
法的には、オーバーローン物件の場合、マイナスの財産だとして、財産分与の対象にしないことになります。
オーバーローン物件とは、不動産自体の価値よりも、住宅ローンの方が高い場合です。ローンが価値をオーバーしているので、競売など売却しても、優先する住宅ローン返済だけで終わってしまう物件です。
逆に、アンダーローン物件、不動産の価値の方が住宅ローンよりも高い場合には、ローンを差し引いた金額がプラスの財産になります。そのため、財産分与でも、このプラス分をどう分けるか検討されることになります。
オーバーローン物件で、財産分与の対象にならない場合でも、交渉や離婚調停、和解の場合には、関連紛争として、住宅ローンの負担や居住、固定資産税の負担等をどうするかという内容を、合意内容に含めることはあります。
養育費と自己破産
離婚では財産分与以外に養育費も問題となります。
養育費の滞納がある場合、自己破産をしても支払い義務は残ります。
非免責債権とされているものです。
養育費については、給料の差し押さえをする場合に、普通の借金よりも広く差し押さえができるなど、強い効力があります。税金と並んで、優先して支払っておかないと危ないものです。
今回のケースでも、養育費として毎月3万円の支払合意はされていましたが、滞納はありませんでした。
調停後、転職などにより、収入に変動ができたため、賞与で調整するとの口頭合意をしていたとのことでした。
離婚慰謝料と自己破産
養育費、財産分与と並んで、離婚時の金銭問題になるのが慰謝料です。
不貞などの違法行為をしている場合以外にも、離婚自体の慰謝料が認められることもあります。
離婚裁判などで多額の慰謝料支払を命じられたり、離婚慰謝料を長期間分割で支払っているような場合に、自己破産をする際には、この慰謝料の取扱が問題になります。
慰謝料であっても未払いのものがあるのであれば、自己破産時に、債権者として取り扱います。
通常は、受任通知などで支払を止めて、自己破産の申立準備を進めます。
自己破産手続き後、免責許可が出た際に、慰謝料の支払義務がどうなるのでしょうか。
これは、慰謝料の性質によって変わります。
破産法で、非免責債権とされているものは
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害することに基づく損害賠償請求
の2つです。
DVなどでは、後者が問題になります。
悪意については、かなり限定的に解釈されていて、不貞慰謝料も免責されるとの裁判例があります。
非免責債権であれば、自己破産をしても免責されずに、支払義務が残ることになります。そうでなければ、免責によって支払義務がなくなります。
秦野市での自己破産
秦野市にお住まいのため、自己破産の申立は横浜地方裁判所小田原支部にしています。
住宅ローン破産の場合には、自己破産もやむを得ないものと判断されることが多いです。
今回も問題なく、免責許可が出ています。
住宅ローンの自己破産相談も受け付けております。ご相談は無料で受け付けています。
以下のボタンよりお申し込みください。