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株式取引が浪費とされたケース

東京高等裁判所平成8年2月7日決定です。

株式取引のために、3000万円以上の借入をした行為を、破産法上の免責不許可事由にあたる浪費と判断した決定です。

ただ、諸事情を考慮して、裁量免責が認められています。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.4.14


破産者は、株式投資で約3000万円の債務を負い、再度株式投資によって、返済しようと考え、3000万円以上を消費者金融から借り入れたというケースです。

何が「浪費」にあたるかは、破産者の収入や生活状況によります。

本決定では、破産者が、当初、銀行員であったこと、当時の財産状態に照らして、借入額は不相応だとし、浪費になると認定しています。

負債額と浪費との認定からすれば、免責不許可になってもおかしくない数字でしたが、当時、バブル経済の渦中にあったこと、株式暴落の責任を破産者だけに帰することはできないこと、退職金、自宅売却金等を返済にあてていること、扶養状況などを考慮して、裁量免責が認められています。


株式取引をしていたからといって、必ずしも浪費だとされるわけではありませんが、その金額が大きい場合には、自己破産申立の際に意識しておかなければなりません。

しっかり弁護士に相談しながら進めた方が良いでしょう。

 

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