裁判例
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裁量免責が認められたケース
仙台高等裁判所平成5年2月9日決定です。
手取り収入が月額8万円程度、一時期は失業による雇用保険給付しかなかったにもかかわらず、クレジットカードでの多額の購入、借入があり、総額約480万円の債務を負った事案について、地方裁判所では、免責不許可とされました。
これに対して、破産者が即時抗告による不服申立をし、高等裁判所で裁量免責が認められたというケースです。
高等裁判所が裁量免責を認めたのは、浪費とはいえクレジット購入商品が返送されていること、積極的な詐術まではしていないこと、免責について異議を出している債権者は1名のみであること、親族の援助により100万円を平等に弁済していることなどが理由とされています。
この頃は、自己破産手続のなかでも、免責不許可事由がある場合には、何とか一定金額を準備して、債権者に按分弁済することで、裁量免責が得られやすいという運用がありました。
裁判所から一定の弁済を事実上、指示するようなこともありました。
現在は、そのような運用はほぼなくなり、免責不許可事由がある場合には、破産管財人を選ぶ手続にして、管財人の意見を重視するような運用になっています。
そのため、この裁判例のようなケースでも、親族による100万円の弁済はされず、管財事件になり、管財人が裁量免責相当という意見を出せば、地方裁判所でも免責許可になることが多いと考えます。
とはいえ、浪費と疑われるようなケースでは、免責不許可リスクはありますので、弁護士と相談しながら進めた方が良いでしょう。