裁判例
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免責に対する不服申立
最高裁平成12年7月26日決定です。
破産申立後の免責決定について、債権者が不服申立できる期間が争われたケースです。
免責決定については、不服申立として即時抗告という方法が使えます。
この即時抗告ができる期間は、、免責決定が債権者に送達されてから1週間なのか、官報で公告されてから2週間なのかが、争われました。
最高裁は、 債権者に対して免責決定が送達されていても、官報公告から2週間は即時抗告ができると判断しました。
「送達と公告とでは、利害関係人にとって、前者の方がより確実な告知方法であるが、他面、破産法上の手続において は、すべての利害関係人に対し、短期間に、一律に裁判内容を告知せしめる必要があり、そのために公告の手続が余儀なくされるのであって、そのような者との 関係では、不服申立期間も公告の時を基準とせざるを得ない。」
「破産法上の手続のような集団的権利関係の処理においては、画一的処理による確実性、能率的事務処理による手続の迅 速性、手続の全体的な安定性等への配慮も欠かすことができず、知られざる利害関係人もいることから、公告の手続が多く利用されるのであって、送達を受けた者についてのみ個別的に即時抗告期間を起算することは、破産法上の手続に関する裁判に画一的に不可争性を付与して手続の進行を安定させるという目的に沿わないのである。
しかも、免責決定の公告に加えて、免責申立てにつき異議申立てをした債権者に対してされる免責決定の送達は、本来免責手続の当事者として手続に関与している者への送達とは趣を異にする。すなわち、異議を申し立てた債権者は、単に裁判所の職権の発動を促すために異議を申し立てているにすぎず、裁判所に対し、その異議申立てに対する判断を求めているものではない。したがって、異議に理由がなくてもその異議が却下されることはないのであり、免責決定の送達も、異議が採り上げられなかったことの通知の意味しかない。そうであれば、免責決定について公告がされるときは、この送達には余り重きをおいて考える必要はなく、免責決定に対する不服申立ての期間を他の利害関係人と同じく公告から二週間として一律に処理することは、合理的であるといえるのである。」
このような判断がされていますので、破産者側としては、免責決定が出て、官報公告がされてから2週間は、不服申立がされる可能性を意識しておいた方が良いでしょう。
なお、免責不許可決定に対する不服申立は、破産者に送達されてから1週間が期限です。