自己破産と離婚
FAQ(よくある質問)
Q.任意整理と自己破産はどちらが良い?
債務整理のなかで、任意整理と自己破産でどちらを選んだ方が良いかという相談は多いです。
そこで、任意整理と自己破産の違い、メリット・デメリット、選択基準を解説します。
今回の内容は、
- 自己破産と任意整理でどっちが良い?
- 自己破産と任意整理の方針を切り替えたい
という人に役立つ内容です。
自己破産と任意整理の違い
自己破産は、裁判所に申し立てをして支払義務をなくしてもらう制度です。
借金の支払はゼロです。
これに対し、任意整理は、借金を全額支払っていく制度です。ただ、将来の利息まで支払うのでは、破綻してしまうかもしれないという主張をし、交渉のうえで、将来の利息はカットし、固定した金額を分割払いにする合意をする方法です。
支払いがないかあるかが大きな違いです。
また、自己破産は、自由財産を除き、財産は処分されますが、任意整理では財産処分は強制されません。
一定以上の価値がある車、保険、株などを残したい、仮想通貨には手を付けたくないという人が任意整理を選ぶことがあります。
ただ、財産を残すことだけを考えるのであれば、個人再生も選択肢に入ります。
さらに、自己破産、個人再生では、官報掲載がありますが、任意整理ではありません。
いずれの手続きも債務整理として、約束通りの利息は払わないものですので、CICなどの信用情報機関には登録されるのが原則です。これにより、手続き後、一定期間は、新たなローンを組みにくくなります。
任意整理は個別交渉なので、一部の借金だけ外す、職場、知人、奨学金など保証人がいる債務を外す、という対応が理論的には可能です。
自己破産と個人再生、任意整理の違い
個人再生は、自己破産と任意整理の中間的な内容です。
自己破産と同じく裁判所への申立をして借金を減らしてもらう制度です。任意整理とは異なり、借金を一部だけ外すということはできません。
借金も減額されるもののゼロにはならず、任意整理と同じく毎月の支払を続けます。
原則3年、例外的に5年までの期間で分割払いとします。
任意整理とは異なり、元金自体も減額できることがほとんどです。
減額幅は、借金の額や、財産状況、手続きによって違っています。
任意整理、自己破産と官報
任意整理では官報に個人情報が載ることはありません。
官報は、公的な新聞みたいなもの。
公にしなければならない情報を掲載するものです。
自己破産や個人再生では、裁判所に申し立てをする法的な手続きですので、その決定内容を官報に載せる必要があるのです。
官報には、手続きの内容や裁判所の事件番号、氏名、住所等が載ります。
電話番号やメールアドレスなどは記載されません。
任意整理、自己破産と財産
債務整理を検討する人の中には、財産処分の可能性を判断基準にする人もいます。
自己破産は、本質的には、財産を処分して借金に配当するという手続きです。
基本は財産処分となります。ただ、すべての財産を処分されてしまうと生活ができないため、一定の範囲で財産を残せる扱いとなっています。自由財産や、自由財産拡張の制度です。
これに対し、任意整理については、財産処分は強制されませんので、残すことができます。
任意整理と住宅ローン
自己破産では、すべての債務を止めることになるため、住宅ローンがあれば、それも止めます。
そのため、自宅を維持することはできなくなります。
これに対し、任意整理は、通常、住宅ローンは対象外です。そのため、住宅ローンはそのまま支払い、他の借金の返済のみ交渉することになります。
住宅ローンはそのまま支払い続けるので、家も残せます。
ただ、住宅を維持したいという場合には、住宅ローン条項を使った個人再生を利用すれば、住宅を残しつつ、他の借金をへらすことができます。
住宅ローンだけがネックなのであれば、個人再生も検討してみると良いでしょう。
自己破産と任意整理でどちらが良いか
自己破産と任意整理でどちらが良いかという質問も多いです。
まず、両方の選択肢がとり得るのかを考える必要があります。
任意整理での返済は、過払金がない限り、今の債務を3~5年で分割払いすることになります。
分割払いの交渉に応じてもらえるかどうかは、債権者がどこか、また、その債権者との取引が長いかどうかによって変わります。取引が短い場合には、短期間での分割払いにしか応じない業者もいれば、5年を上回り、6年、7年の分割払いに応じてくれるクレジット業者もいます。
債権者ごとの傾向については、債務整理のサイトで解説していますので、そちらを参考にしてみてください。
そのうえで、返済見込み額を、毎月の収入から払えるかどうか、家計をチェックします。払えるのであれば、任意整理ができる可能性があるということになります。専業主婦のように自分の収入がない人は、原則として自己破産しか選択できないことになります。ただ、配偶者の協力を得て、配偶者の収入からの返済ができる場合には、そこからの援助額で任意整理を検討することもあります。
次に自己破産ができるかどうか、支払不能といえるような借金額になっているかどうか、すべての債務を止めるという内容で進められるか等をチェックします。
両方の選択肢がとり得るのであれば、あとは支払っていくか、免除してもらうかの選択です。
財産処分の可能性、免責不許可事由のリスク、破産書類準備の煩雑さ、管財事件の場合の時間拘束・裁判所への出頭の手間、官報掲載、信用情報機関に載る長さ、返済資金の確保など、それぞれのメリット・デメリットを比較して決めることになりあす。
最終的には、相談者様の価値観によるところが大きいです。
借りたものなので、なるべく返していきたいと任意整理を選ぶ人もいます。
または、そういう気持ちはあるものの、将来不安から借金を精算してリセットしたいという人もいます。
弁護士事務所によっては自己破産の準備が手間だとして、任意整理を勧められることも多いようです。ジン法律事務所弁護士法人では、中立のスタンスなので、皆様の判断にお任せしています。どちらの方が良いかと質問をされたら、相談者様のような家族構成、職業では、どちらを選ぶ人が多い、という傾向をお伝えすることはできます。
任意整理中に自己破産
任意整理と自己破産では、債務整理の相談時に判断に迷う人もいます。
しかし、途中で、方針を切り替える人もいます。
たとえば、任意整理で分割払いの合意をして、支払を始めたものの、事情が変わり、支払ができなくなったという場合。
このような場合に、自己破産の相談に来られる人も多いです。
もともとの任意整理が厳しい家計状態だった、無理して任意整理でまとめたようなケースでは、支払開始後、早々に断念して自己破産に切り替える人もいます。任意整理の支払を滞納してしまうと、通常は、2ヶ月程度で一括請求がされます。そこで自己破産の相談に来る人もいます。
また、当時は順調に返済できていたものの、失職、転職で収入減となり、自己破産に切り替える人もいます。
任意整理中の自己破産は珍しいことではありません。
この場合、自己破産の依頼時に受任通知を送り、任意整理での支払を停止します。
任意整理中、任意整理後の和解後での自己破産の場合には、二度目の支払停止ということもあり、債権者からの訴訟リスクは高いといえるでしょう。そのため、早期に自己破産の申立を進めた方が良いと考えます。
自己破産と任意整理の方針変更
任意整理での解決後に自己破産をする場合のほか、もっと早い段階で方針を変更することがあります。
弁護士に自己破産や任意整理を依頼した後、方針を変更する場合です。
多くの場合、任意整理で債権者への和解案提示前、交渉開始前であれば、自己破産への方針変更はさほど問題ないでしょう。
また、自己破産の申立をしようと準備をしていたところ、問題が発生し、任意整理へ切り替えるということもあります。この場合、タイミングによっては、債権者によって、最初から任意整理で進める場合よりも厳しい条件を突きつけられる可能性はあります。
それでも、自己破産をやめて任意整理という方針変更自体ができないわけではありません。
予想外の財産があったとか、相続発生、離婚などにより、任意整理と自己破産の方針変更はあり得ることです。依頼している弁護士には早めに相談するようにしましょう。
自己破産と任意整理の切り替え費用
自己破産や任意整理での方針を変更した際、切り替える費用がかかるのかという質問があります。
自己破産や任意整理を弁護士に依頼した場合、弁護士側でも対応業務が変わります。
そのため、費用は別であることが通常です。
たとえば、任意整理については、受任通知により支払停止、債権額の調査、和解交渉という流れで進みます。
和解が成立して支払中に自己破産に切り替えるという場合には、任意整理の業務は終了しているので、別途、自己破産の費用がかかるのが通常でしょう。
逆に、自己破産の場合も、必要書類の取りまとめや裁判所への提出書類をまとめ、裁判所への申立直前などに任意整理に切り替えるとなると、着手金部分の作業はほぼ終了しているので、任意整理の費用が別途かかることが多いでしょう。
費用精算については、すでに対応した業務や期間によって変わるのが通常です。
自己破産や任意整理中の借り入れ
自己破産では、すべての債権者を公平に扱う必要があります。そのため、全債権者に対して、受任通知を送り支払を止めます。これに対して、任意整理は、個別交渉のため、理論的には、一部の債権者だけを対象にすることがあります。
実務上、車のローンを外したり、費用節約のため少額の債権者を外したりすることはあります。
任意整理による支払停止がされても、受任通知が送られていないカードなどがある場合には、利用が停止されていないことがあります。
ただ、そのカードで借り入れをして利息を負担するようになると、任意整理での支払のほかに、新たな借金の負担が出てきてしまい、返済は厳しくなるリスクが高いです。利用は控えた方が良いでしょう。
自己破産の場合には、すべての債務が対象になり受任通知を送るのですが、申立前に新たに借り入れをしてしまう人もいます。そのような場合、裁判所への申立をする際の債権者一覧表には載せることになりますし、破産予定なのに借り入れをした行為も問題視されます。
返す気がないのに借り入れをしたとなると、詐欺罪に問われるリスクすら出てきます。
ジン法律事務所弁護士法人では、依頼を受ける際には、知人・親族等を含めて新しい借金は禁止されていると伝えていますが、中には、公的機関は対象外だと思ったなどと都合よく解釈をして、借りてしまう人もいます。
内容によっては、辞任せざるを得ないこともあり、費用が無駄になってしまうので、手続中の借り入れは絶対にしないようにしてください。
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