自己破産の裁量免責の要件、基準を解説。神奈川県厚木市・横浜市の弁護士法人

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自己破産と裁量免責

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FAQ(よくある質問)

 

Q.裁量免責とは?

裁量免責とは自己破産において、免責不許可事由があっても裁判官の裁量で借金の支払義務をなくしてもらう制度です。

免責許可の仕組みから反省文の提出まで解説していきます。

今回の内容は、

  • ギャンブル、浪費、換金などがあって自己破産できるか心配
  • 裁量免責をもらえるのか基準を知りたい

 

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.5.6

 

裁量免責とは

裁量免責とは、自己破産手続きの中で、免責不許可事由があっても、裁判所の裁量で借金の支払い義務をなくす制度です。

免責許可とは、借金の責任を免除する、すなわち支払い義務をなくす決定です。

これこそが、自己破産をする1番の目的です。

Q.自己破産の免責とは?

 

免責不許可事由とは

免責不許可事由とは、これに該当する事情があると自己破産が不許可になるリスクが出てくる事情です。

破産法252条に書かれています。

破産法252条では、免責不許可事由が色々と決められていて、その不許可事由がなければ免責は許可するというルールになっています。

免責不許可事由には、ギャンブル浪費、詐欺的な借り入れ、一定の換金行為、7年以内に2回目の自己破産などが挙げられています。

このような事情があると、免責されないこともあるのですが、裁判所の裁量によって免責を許可することができるというのが裁量免責の制度です。

破産法裁量免責

 

免責調査のための管財事件

自己破産手続きには、同時廃止管財手続きがあります。
管財手続きは破産管財人が選任され、免責不許可事由について調査等をする手続きです。

まず、一定の財産がある人は、破産管財手続きに回されます。

自己破産手続きは、財産を処分し、債権者に分配するための手続きですので、そのような作業する破産管財人を選ぶのが本来の手続きです。


そのような財産がなくても、免責不許可事由がある場合には、裁量免責にしてよいかどうか、破産管財人に調査をさせ、裁判所に免責調査報告書を出させその意見を踏まえて裁判所が判断するという流れになりやすいです。

免責調査型の管財事件と呼ばれます。

管財手続きだと、後述のとおり、費用が余計にかかります。

 

同時廃止手続きでも裁量免責は認められる

ただし、免責不許可事由があるから必ず管財手続になるかといえばそうではありません。
程度問題です
ギャンブルをしていても、それほど金額が大きくないようなケースであれば同時廃止手続きでそのまま手続きが進み、裁量免責がされると言うこともあります。

これは、担当する裁判官等によってもかなりばらつきが見られます。同じ裁判所でも担当者によって運用が違うと感じることも多いです。また、同じ裁判所でも過去の運用と変わることも少なくないです。
免責調査型での同時廃止と管財手続の振り分けについては、明確な基準がないといえるでしょう。


なお、東京地方裁判所の取り扱いでは、7年以内の自己破産手続の場合には、すべての事件を管財手続にするという運用がされています。

 

裁量免責の要件

破産法では、明確に裁量免責の要件は書かれていません

裁判所は、破産手続の開始に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは裁量免責をするという書き方になっています。
「一切の事情を考慮して」なので要件としては、何も書かれていないに等しいです。

破産法の改正前にも、免責の規定はありました。
そのような免責の規定の解釈として、免責不許可事由に該当する事実が軽微なものであって、破産者の不誠実性の徴表を見るのが相当でないと認められる場合には、その他の事情を考慮して免責許可できるという解釈がされていました。
このような解釈が、現在の破産法にも引き継がれていると考え、ポイントになるとも考えられます。

  • 程度
  • 不誠実性

 

結局は、免責不許可事由があっても、その支出がやむを得ないものであったかとか、軽微なものであったかという程度問題と、それが誠実性との関係で問題になってくるのです。

自己破産の申し立て書類の中では、多くの裁判所で、このような免責不許可事由があるかどうかという記載と、その内容、また免責不許可事由があるのであれば、裁量免責にするのが相当である理由などを記載します。
その記載では、どの程度これらの事情が出せるかどうかがポイントになってきます。

 

判例タイムズ論文の裁量免責要素

すべての裁判所で採用されている基準ではありませんが、「東京地裁破産再生部における近時の免責に関する判断の実情」(判例タイムズ1403号)という論文では、免責不許可事由に関する裁量免責の判断要素が紹介されています。

論文

投機的な取引や浪費がある場合には、裁量免責をするかどうかにあたり、それらの行為の態様、程度(費消した金額の多寡及びこれらの行為を継続していた期間、時期等) のみならず、破産者が破産手続きに誠実に協力したか否かや、他の免責不許可事由の有無、程度等が考慮されています。

やはり、程度と誠実性がポイントになっています。

程度の具体的な話もされています。

詐術がある場合には、詐術による借り入れ額の多寡、行為の悪質性、債権者の免責意見の有無・内容及び破産者の破産手続きへの協力の有無等が考慮されています。
ここでも、程度と誠実性が取り上げられ、「程度」では、金額だけでなく、行為の悪質性も基準に入ってきています。このあたりが裁量免責のポイントになってきています。

 

7年以内の自己破産の場合、前回の破産からどれぐらいの期間が経過しているか、またその期間がどれぐらい経ってから借り入れをしてしまったか、その借り入れ理由等が重要視されます。

 

同時廃止での免責不許可決定

同時廃止か管財手続かは、破産の申立時に希望を出せます。ただし、同時廃止の希望が通るとは限りません。

多くの裁判所の運用では、同時廃止で自己破産の申し立てがされたときに、免責不許可事由があるから、いきなり免責不許可にするという事はほとんどないです。


通常は、裁判所が悩むようなレベルの免責不許可事由、たとえばギャンブル等の支出が多すぎるような場合には、同時廃止で申し立てがされたものの、破産管財人を選任する管財手続きに回されます

裁判官が悩む

一度、破産管財人の意見を聞いてから判断をしようという動きがほとんどです。
破産管財人の調査によって、裁量免責が相当であるという意見が出されれば、それを尊重し裁量免責の許可が出ることが多いです。
破産管財人の意見が、免責不許可とされると、裁判所も悩むと思います。

とはいえ、同時廃止手続きで申し立てをして、いきなり不許可になるという可能性は高くはないので、その点はあまり心配しなくて良いでしょう。

 

管財予納金の積み立て

同時廃止のつもりで申し立てをしたところ、破産管財手続きに回されるとなると、管財予納金として、多くの裁判所では、少なくとも20万円が必要になってきます。
この20万円について、一括で払うのが難しければ、通常は積み立てが認められています。
神奈川県では4ヶ月程度での積み立てまで認められることが多いです。

月5万円ずつの4ヶ月の積み立てを待って、破産管財人を選び、破産手続開始決定をそこで出すという話です。
積立の間、手続きは保留にされています。

なお、財産の処分基準時は破産手続き開始決定です。自由財産や少額の財産を除いて、この時点で持っている財産が処分対象になります。管財予納金を積み立てるのに時間がかかれば、かかるほどその基準時が先送りされます。

近い時期にボーナスが入るなど、財産状況に変更がある場合には、依頼した弁護士に相談しながら積立方法を考えた方が良いでしょう。


裁量免責が通りやすいポイント

免責不許可事由に該当する行為が、何らかのやむを得ない理由になるような場合は、裁量免責になりやすいです。
例えば、浪費はしたものの、精神的疾患による場合や、詐欺被害だったようなケース。

この場合には、不誠実性が少ないと判断されるでしょう。

また、浪費やギャンブルがあっても、その金額がそこまで多くはなく、現在止めているというケース。

程度問題が少ないとして、裁量免責になりやすいポイントになります。

ポイント
また、家計状況を立て直しているようなケースでは、経済的更生ができているとして裁量免責が認められやすいです。
無職で、親に頼っての生活をしつつ、FXで借金を積み重ねてしまったケースで、就職活動により安定した給料収入を得ることができるようになったという事情を理由に、破産管財人から裁量免責の意見が出されたことがあります。

 

免責不許可事由を隠さない

破産手続きに協力的に対応したことなども、プラスの評価とされ、裁量免責が認められやすくなります。

誠実性の要素です。
逆に、免責不許可事由を隠してしまい、発覚しにくいようなことをしたり、嘘をついたりしていると、不許可リスクが高まります。バレたときに不誠実だとされてしまうわけです。

少なくとも、依頼する弁護士には、しっかりと伝えておきましょう。

 

裁量免責の反省文

多くの人が心配する免責不許可事由は、浪費やギャンブル、換金行為となります。

このような支出があると、裁判所や、破産管財人から反省文を提出せよと指示されることがあります。
これは、管財手続きに限らず、同時廃止手続きでも同じです。
このような反省文で、誠実性を確認し、裁量免責をしてよいかどうか判断するものとなります。

反省文

この反省文の中では、経済的な再建もポイントになってきます。
過去の不許可事由への対策が立てられていると、裁量免責が認められやすい要素になってきます。


逆に、免責不許可となるようなケースを見ると、免責審尋に欠席したりとか、破産管財人に虚偽の説明をしたりなどという例が見られます。不誠実だということで不許可にされていることが多いです。

 

自己破産の反省文の書き方

反省文は、自分の言葉で書きましょう。そのうえで依頼している弁護士に確認してもらい提出しましょう。

紙は何でもかまいません。

一般的な反省文では、原因と対策が大事です。そこに自分の気持ちを書くことでしょう。

多重債務の借金を負ってしまった原因がどこにあるのか、自分なりに考える。

当時の支出をしたときの気持ちや状況を分析。

破産の申立をするときには、どのような収支状況だったのか。その当時の辛さなどにも触れる。

受任通知を送って支払を止めて生活環境はどう変わったか

過去からの改善点。収入を上げたとか、タバコをやめたとか、通信費、保険の見直しをしたとか。

今の収支状況からは、借金を繰り返すことはない、最低限の預貯金はしておくなど、今後の対策に触れる。

債権者への配慮をし、二度と繰り返さないことを誓う、ような内容を盛り込むことが多いです。

構造自体は、刑事事件などでも同じような話です。

原因と対策に、自分の気持ちを乗せるイメージです。

 

大人になってから反省文を書く機会もなく、慣れずに大変かもしれませんが、大事なのは、完成した文章より、そのプロセスです。対策について考えていなかった人は、どうすれば良いのかしっかり考える機会にしてみてください。借金に追われていた生活のストレスはもう二度と受けたくないはずです。


免責不許可事由がありながら、同時廃止で裁量免責の獲得に成功した解決事例も複数あります。

67 小田原市80代男性のケース(会社代表、同時廃止、FX)

65 座間市40代女性のケース(パチンコ、夫の失職、同時廃止)

60 南足柄市20代男性のケース(パチンコ、換金)

 

 

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