よくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.債権者集会とは?
自己破産手続きのなかで、破産者、破産管財人、債権者、裁判官が出席する債権者集会とは、どのようなものなのかの解説です。
その法的な位置づけ、手続きについて説明します。
債権者集会とは?
破産手続きの中では、破産者も裁判所への出席を求められる債権者集会が開かれます。
債権者集会といっても、破産法では複数の意味を持っていることも多いです。
この債権者集会は、破産債権者の意思を尊重するために、破産裁判所が招集・開催するものです。
そのなかでは、破産管財人から報告があり、債権者は倒産の経緯、破産財団の現状、配当可能性等の情報を得ることができます。
また、債権者からの質問のほか、意見の表明を認められることもあります。
破産管財人が財団に属する財産処分方針、放棄方針など債権者の意向を確認することもあります。
このような債権者集会は、法的には招集することが相当でないと認めるときは招集を省略することもできるとされています。
たとえば、債権者数が膨大なときなどは、物理的に集会を開催できないこともあります。
債権者集会の意味
債権者集会として、破産法で開催するよう決められているのは、財産状況報告集会、異時廃止に関する集会、破産管財人の任務終了時の計算報告集会となっています。
財産状況報告集会の趣旨は、債権者に対する情報提供にあります。
そのため、破産管財人は、財産状況報告集会が開催されない場合でも、集会で報告すべき事項と同ーの事項を記載した報告書を裁判所に提出しなければなりません。
また、財産状況等に関する報告書の要旨を利害関係人に送付するなどの情報提供のための措置をとらなければならないとされています。
異時廃止に関して意見を聴くための集会として、裁判所は、異時廃止の判断の際に債権者集会で債権者の意見を聴かなければならないと規定されています。
債権者から、まだ他に財団を構成する財産があるはずだ、等の意見を出すことができることになります。
計算報告集会は、管財人による最終の収支報告がされる場です。
どのように財産が換価され支出されたのか、債権者の視点で確認することができる集会です。
実務上、債権者集会といっても、これらの複数の集会が同一期日に開かれているということも多いです。
債権者集会を招集できるのは?
債権者集会を招集する義務を負うのは、破産裁判所とされます。
法的には、破産裁判所が、招集することが相当でないと認めるときを除き、破産手続開始決定と同時に財産状況を報告するために招集する債権者集会の期日を定めなければならないとされています。
原則として、債権者集会を招集する義務を負っているものと認められます。
また、破産裁判所は、破産管財人、債権者委員会および知れている破産債権者の総債権について破産裁判所が評価した額の10分の1以上に当たる破産債権者から招集の申立てがあった場合には、債権者集会を招集しなければならないという規定もあります。実務上は、あまり使われませんが、通常の債権者集会以外に、債権者の主導により招集することもできるという制度です。
これ以外にも、破産裁判所は相当と認めるときは債権者集会を招集できるとされています。
招集に対しての不服申立
債権者集会を招集するという決定や、招集しないという決定に対しては不服申立もできます。
利害関係を有する人は債権者集会の招集決定に対し即時抗告できます。
また、招集申立却下決定がされた場合には、申立人が即時抗告できます。
債権者集会期日の指定
財産状況報告のための第1回債権者集会については、破産手続開始決定の日から3カ月以内と定められています。
会社破産の場合は、決定から3ヶ月後、個人破産の場合は2ヶ月後あたりに指定されることが多いです。
具体的には、破産申立代理人、破産管財人候補者とスケジュール調整をして決められます。
法人の場合には、業務量が多い傾向にあることから、個人よりも長い業務時間がとられています。
破産裁判所が、集会期日を決めた場合、これを公告し、かつ通知しなければならないとされます。
通常は、官報公告のほか、申立時に添付されていた債権者一覧表の住所・社名・氏名あてに郵送で通知されます。
なお、裁判所によっては便宜上、破産管財人から郵便やFAXで通知することもあります。
第1回債権者集会で、管財業務が終わらず、続行される場合、次回期日が指定されます。この場合、集会期日で告知されるだけで、債権者に対して個別の通知はされません。
債権者が次回期日の日程を確認するには、裁判所や破産管財人に問い合わせることになります。
債権者集会の場所
債権者集会が開催される場所は、通常、破産裁判所です。
第1回期日では、複数の債権者が出席することも多いことから、広めの会議室などが準備され、出席債権者の様子を見て、2回め以降は狭い部屋で行われることも多いです。
ただし、債権者が多数いるような消費者事件などでは、裁判所での対応が難しく、他の公共施設が使われることもあります。
債権者集会の運営
実際に開かれた債権者集会は、法的にはどのように運用されることが予定されているのでしょうか。
まず、債権者集会の指揮は、破産裁判所が行うものとされます。
指揮の内容としては、債権者集会の開会の宣言、発言の拒否や制限、議事の整理、採決、延期および続行期日の言渡し、閉会の宣言などがあります。
破産管財人が報告した事項について、債権者からの質問を受け付けたりもしています。
会議の議長のような役割です。
実際の進め方も、裁判官によって違います。
債権者集会での決議とは?
裁判所は債権者集会で決議をとることもできます。
破産法において決議事項とされているのは、破産者等に対する説明の求め、破産管財人に対する状況報告の求めです。
昔の破産法では、次のような内容が決議されていましたが、現在は廃止されています。
扶助料の給与
営業の廃止または存続
高価品の保管方法
監査委員の選任
不換価財産の処分決議
決議方法としては、
・債権者集会の期日において議決権を行使する
・債権者集会を開催せず、議決権者が書面等により議決権を行使する
・債権者集会を開催し、前記の方法のうち議決権者が選択するものにより議決権を行使する
のいずれかを定めなければなりません。
裁判所は、債権者集会の要決議事項を決議に付す旨の決定をする場合には、議決権行使方法を定めなければならないと規定されています。
書面等投票か併用型の方法を定めた場合、裁判所は、その旨を公告します。
また、投票は裁判所の定める期間内に限りできる旨を議決権者に対して通知します。
ただし、知れている破産債権者の数が1000人以上の大規模事件において通知省略の決定がなされた場合には、通知は不要です。
議決権は、一人一票ではなく、金額によって違います。
破産債権者は、その議決権額に応じて議決権を認められています。
例外として、
劣後的破産債権
約定劣後破産債権
優先的破産債権である給料等の請求権のうち配当前に弁済を受けた分
外国で一部の弁済を受けた破産債権者の弁済を受けた債権の額
については、議決権を行使できません。
債権者集会期日が聞かれる場合の議決権額は、確定した破産債権については確定した破産債権の額、債権届出をした破産債権者は集会期日で異議が述べられなかったときは届出債権額、集会期日において異議を述べられた債権については裁判所が定める額が議決権額となります。
期日を聞かない書面等投票による場合は、債権認否による異議がないため、確定した破産債権については確定した破産債権の額となり、それ以外の届出債権は裁判所が定める額が議決権額となります。
債権者集会の議決の可決要件は?
債権者集会で決議しなければならない事項を、決議して可決するには、一定の同意者が必要です。
具体的には、 議決権を行使することができる破産債権者で債権者集会の期日に出席し、または書面等投票をした者の議決権の総額の2分の1を超える議決権を有する者の同意とされています。
昔の破産法では、出席破産債権者の過半数という頭数要件がありましたが、廃止されています。
また、法改正もあり、決議事項も大幅に縮小されたため、現在の債権者集会で、明確に決議するというケースはほとんどありません。
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