よくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.自己破産の準備中に裁判を起こされたら?
自己破産の依頼時に滞納期間が長かったり、申立の準備に時間がかかると、債権者から裁判を起こされてしまうこともあります。
その場合、速やかに破産の申立をして、判決をとられないように活動します。
自己破産の準備中に裁判起こされることもある
自己破産手続では、流れとして、弁護士に依頼後は、弁護士から貸金業者に対して受任通知を送り、返済も督促も止めることになります。
手続きの流れとしては、弁護士に頼むのであれば、
・依頼
・受任通知の発送で支払停止
・必要書類の準備、作成
・裁判所への申立
・裁判所で審査
・破産手続開始決定
・免責許可決定
となります。間に裁判官面接が入ることがあります(一部の裁判所を除く)。
このうち、裁判所への申立までは、裁判を起こされることが多いです。
通常、申立まで進めば、裁判を起こすメリットはほとんどないので、そのタイミングで裁判を起こしてくることはほぼないです。
受任通知後も遅延損害金は増え続けている
受任通知によって、支払は止まります。
しかし、これは返済を事実上待ってもらっているだけです。
法律的には遅延損害金が発生しています。
自己破産の準備を進めていて、支払いを止めていたのに、相続が発生するなどして、財産ができ、自己破産ではなく返済の方向に切り替えたようなケースは、法律的には遅延損害金も支払い義務を負うことになります。
自己破産が遅れれば遅れるほど、遅延損害金は増え続け、借金額が多くなるのです。
自己破産で免責許可が出るのであれば、最終的には全て支払い義務はなくなりますが、破産からの方針変更があった場合には問題になります。
受任通知後も裁判は起こされる
また、貸金業者から、債務者への督促自体は、受任通知によって止めることになりますが、民事裁判を起こしたり、強制執行手続きで、預金や給料の差し押さえをすることまでは禁じられていません。
そのために、自己破産の準備中に、裁判を起こされたり、裁判所の判決まで出ていると、差し押さえがされることもあります。
債権者としては、自己破産前に回収できるなら差押えをしようと動くメリットがあるのです。
これらを防ぐためには、民事裁判の手続きよりも先に、自己破産の申し立てをするのが良いことになります。
自己破産手続きでは、弁護士に依頼したからといって、弁護士が全て進められるわけではなく、給料明細や預金明細など、ご自分でなければ揃えられないものもあります。
そのような必要書類を早めに準備していただき、打ち合わせなどを進められれば、さほど時間がかからずに申し立てまでいけるでしょう。
自己破産申立により裁判は取り下げられることが多い
裁判所へ自己破産の申し立てをして、裁判所の事件番号がついたら、弁護士から債権者へ通知を出します。
通常、そのままいけば破産決定が出るでしょうから、債権者は裁判を続ける意味がありません。
そこで、取り下げてくれる業者もいます。
取り下げは強制できるものではないので、判決まで取得しに行く債権者もいます。
ただ、自己破産の決定が出ていれば、差押えまではされません。
また、取り下げについては、破産者に有利な裁判例もあります。
自己破産後の判決と訴訟費用
自己破産をした後に貸金業者に判決を取られたということで、その訴訟費用を控訴審まで争い負担させた裁判例を紹介します。
大阪地裁平成31年2月1日判決になります。
通常、訴訟費用は敗訴側に負担させられます。
訴訟費用は、印紙代などです。
今回の裁判例では、原告となった新生フィナンシャルは、自己破産の申立の連絡を受けても、裁判を取り下げませんでした。
また、破産の手続中なので、判決を出さないよう被告である申立人から書面を出していたのに、結審を求めたようです。
そのため、裁判所は結審して判決。
その後に免責許可決定が出たので、破産者は、控訴。
訴訟費用も貸金業者が負担すべきと主張しました。
免責許可により、貸金業者の請求は否定され、訴訟費用についても貸金業者が負担することになりました。
一審の段階で破産申立済みであること、近々免責許可決定が出る予定なのに、判決を求めたということで、訴訟費用の負担もやむなしとされたようです。
控訴の際の、破産者代理人の旅費も請求を受ける結果となっています。
自己破産の申立をしたのに、裁判が取り下げられないような場合には、参考にしてみるとよい裁判例でしょう。
ジン法律事務所弁護士法人では、速やかな破産申立や、裁判を起こされた場合の対応もご依頼可能です。
安心してご相談ください。