管財手続とは
FAQ(よくある質問)
Q.税金を家族が肩代わりした場合は?
税金などの公租公課は、破産手続では、優先的な扱いを受けます。
取引上の債権や金融債権よりも優先して配当されます。
その優先度の違いによって、財団債権や優先的破産債権と呼ばれます。
このような、優先度の高い公租公課を、家族などが代わりに支払った場合、その支払者は、破産手続で、同じように優先して扱われるのでしょうか。
この点、同じような財団債権として扱われる労働債権、未払賃金を第三者が弁済した場合、第三者の債権も、優先度が高いままとされます。未払い賃金の立て替え払い制度で出てくる話です。
これとパラレルに考えると、同じように公租公課を第三者が払った場合も、優先度が高いままになるのではないかと考えるようになります。
しかし、労働債権とは違い、公租公課は、公法上の債権で、私人間の直接行使は予定されていません。
私人への譲渡も許されない債権とされ、弁済による代位は否定するのが裁判例です。
したがって、税金を第三者が肩代わりして支払ったとしても、その求償権は、優先度を失い、破産債権になると考えられています。
東京高裁平成17年6月30日判決などでも、受託保証人が代位弁済によって取得した租税債権(関税)の財団債権性が否定されています。
すなわち、家族が税金を肩代わりした場合、破産手続の中で、優先的に配当を受けられるわけではなくなります。破産手続により税金の支払ができると見込める場合には、家族等が肩代わりをするのは、差押え回避等の明確な目的があるならともかく、経済的な利益を考えると、あまり有効な方法とはいえないでしょう。