自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介92 Aさんの事例
30代 / 男性 / 会社員
借入の理由:詐欺被害
厚木市にお住まいの30代男性のケースです。
クレディセゾン、セディナ、エポスカードなどの信販会社を中心に、約1500万円もの借金があるということでの相談でした。借金の理由は、ビットコイン詐欺の被害。
銀行系カード作成
結婚、子供が生まれたことで、育児費用がかかり、家計の収支が悪化。
勧誘された銀行系のカードを利用するようになりました。
子にかかる費用などが予想以上にかかり、不足した生活費を補っていたものでした。
自己破産における銀行カードローンは増加しており、以前から社会問題となっています。
支払いができなくなると、消費者金融等の保証会社にまわされ、結局、総量規制とは何だったのかという話になります。
本件でも、当初は銀行カードローンが問題でした。
リストラによる収入減
安易にカードを使うような生活で、クレジット会社にも徐々に借金が増えていきました。
借金は増えつつも、仕事があったので返済を続け、回せていまたのですが、それまで勤務していた会社が業績不振でリストラされてしまいます。
ハローワークに通い就職活動するも見つかりませんでした。
再就職まで相当の時間がかかりました。
ビットコイン詐欺
返済資金を得ようと情報収集をしていたところ、詐欺被害に遭ってしまいます。
ビットコイン全盛期。
仮想通貨関係の詐欺が増えていた時期です。
この時期に、ビットリージョンというサービスがありました。
クレジットでビットコインを買える仕組みが、コインチェックで導入されていました。
そこで購入し、多額のビットコインを送金しました。
このサービスでは、1日1%の配当を謳っていました。
冷静に考えれば怪しすぎる話でしたが、ビットコイン全盛期は、ビットコイン自体が異常な値上がりを見せていたため、そのような話に信憑性を感じてしまう人も増えていました。
このような配当を受けられるのであれば、生活費や返済も足りると考えていました。
被害額は700万円以上。
しかし、詐欺だったということで、サイトも閉鎖され配当もされませんでした。
現実的に回収は困難でした。
うつ病を発症
このようなことから、うつ病を発症。
仕事もなく、就職活動もできなくなりました。
持っていたカードを使いギリギリの生活をしていました。
そんな生活も限界が来て、弁護士に自己破産を依頼。
しかし、症状が悪化し、書類の準備もできず、辞任され、債権者から裁判を起こされ、複数の判決が出ていました。
差し押さえられる財産もないような状態ですが、しっかり解決しようと、依頼に来たという経緯です。
管財事件
多額の詐欺被害が借金の理由の場合、その調査や損害賠償請求の可否、財産性のチェックのため、基本的に管財事件となります。
管財人の費用がかかる手続きにまわされ、管財人により、これらの調査・検討をしてもらうこととなります。
管財人が選ばれ、活動したからといって、被害回復がされるケースは極めて少ないのですが、しっかりした第三者的な立場から調査しなければ、債権者の納得も得られないという前提で管財事件にされるのが通常です。
また、今回のように、仮想通貨、暗号資産がらみの事件では、より調査が必要と判断されやすくなります。
そのため、今回は、裁判所から管財手続きでの申立としています。
仮想通貨、ビットコイン取引
預金取引があれば、預金通帳の写し、取引明細を提出します。
同じように、仮想通貨取引があれば、この明細を提出する必要があります。
仮想通貨の購入、売却があれば、取引所の記録を出します。
また、ビットウォレットなどを使って、仮想通貨の送金等をしていれば、その記録も提出、送金、入金内容の説明が必要になります。
どこかに財産が移転していないか調査する必要がありますので、これらの記録、説明が必要になってきます。
バイナリーオプション
その他、FX、バイナリーオプションなどをしている場合には、その取引明細も必要になってきます。
投機性の高い取引は、ギャンブルと同じく、免責不許可事由とされる可能性が高いです。
今回のケースでも、海外の為替証券会社に口座を作り、為替相場の値動きを予想して取引するバイナリーオプション取引をしていました。
1回当たりの投資金額は1000円から2000円がほとんどで少額の取引ですが、これを多数繰り返していたため、不許可事由になるのではないかと指摘されています。
銀行の通帳に、この費用の決済代行業者の記録があり、そこから調査をすることとなりました。
ただ、取引全体を見ると、損失以上の利益が出ていることから、借金との関連性は低いと判断されました。
詐欺被害の点も含め、最終的には裁量免責許可が出ています。
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