自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介87 kさんの事例
20代 / 男性 / アルバイト
借入の理由:生活費
厚木市にお住まいの20代男性のケースです。
エポスカードなどの信販会社に対し、約350万円の債務があり、支払ができないとの相談でした。
仕事を辞め作曲活動
仕事を聞くと、作曲家としての活動もしていました。
その後、父が死亡し生命保険金が入ったため、仕事は辞め、音楽に特化した生活を始めたとのことでした。
生活費や作曲に関する費用は、保険金から賄っていました。
ただ、作曲活動による収入は具体化せず、そのうち、保険金や相続財産はなくなりました。
しかし、そこで生活を変化させることはできず、そのままの生活を続けるため、クレジットカードを作成し、利用するようになってしまいます。
並行して、自身の生命保険の契約者貸付を受けたり、生命保険を解約のうえ返戻金を受領したりして、周りの物を売却して、生活費や作曲費用の不足を補うようになりました。
やがて、クレジットカードのリボ払いを利用する等して何とか作曲活動メインの生活を続けていました。
収入がなければ、そのような生活は続けられず、やがて支払いができなくなってしまいます。
アルバイトを始めるも、日々の生活費を負担するのが精一杯で、返済までは回せないということで相談に来たというものです。
夢を追いかける対価
作曲活動に集中したいということで、生活費を借金で補ってしまったということです。
作曲家、音楽家、ミュージシャンに限らず、アーティスト活動をしている人は、下積み時代に貧しい思いをしている人も少なくありません。借金生活でこれを乗り越えたという人もいるでしょう。
後に、成功して、返済できたのであれば、美談になりうるのですが、そうでない人も多数いるわけです。
その場合、十分な収入もないのに、どうやって返済しようと思っていたのか?という疑問を投げかけられることになります。
これを正当化するには、それなりの成功可能性があったということを示す必要があるのではないかと考えます。
客観的に見れば、借金に頼って生活していただけ、のように見えてしまうからです。
生命保険、相続
生命保険や相続などで、予期しない財産が入ったことで、それを使って生活すれば良いと考えてしまう人もいます。
しかし、預貯金などは使えば使っただけ減っていきます。
投資などであれば別ですが、元本を使って生活していれば、いずれ枯渇することになります。
そのような生活も、何からの理由があって一定期間に限ってのものであれば、正当化できる余地があるでしょう。
今回も、作曲活動という話があったので、そこで仕事を辞めて専念するのは責められるものでもないでしょう。自己責任、その人の生き方ということになります。
問題は、そこで預金が尽きたのに、借金生活で、同じような生活を続けようとしてしまったことでしょう。
人は一貫性の法則があり、生活を簡単には変えられません。
収入を得る仕事につくなど生活環境は変えるより、安易にクレジットカードに飛びつく方向に動いてしまう人も多いです。
海外FX
そのような生活の秋期には、海外FXに手を出してしまってもいました。
FXは投機、ギャンブルと同視されますので、免責不許可事由にもなります。
金額はさほど多くなく、時期も短かったものの、調査事項には入ってきます。
管財事件
このような不許可事由がある点と、保険に基づく財産の使い方、その後の生活などが浪費とみられる可能性もあることから、免責調査型の管財事件とされました。
経緯からすると、やむを得ないところもあります。
ギターなどの機器がありましたが、査定を出すなどして自由財産拡張が認められています。
ただ、免責が不許可になるような事件ではなく、管財人の意見によって、裁量免責が許可されるに至っています。
著作隣接権
本件では、問題になりませんでしたが、作曲家の自己破産の場合、著作隣接権の取扱が問題になります。
もちろん、音楽著作権の取扱も、本人に帰属している場合は問題になります。
ただ、作曲家の場合、楽曲利用の著作隣接権収入があることも多く、そちらの換価をどうするのかという点があり、通常は、管財事件によして管財人判断となることが多いでしょう。
著作隣接権は、作曲した楽曲がカラオケなどで利用されても収入が入ってくるものです。
預金明細などに、このような収入がある場合、著作隣接権の取扱を確認してから、自己破産の申立をすることになります。
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