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ケース紹介

 

ケース紹介68 Uさんの事例

50代 / 男性 / アルバイト

借入の理由:事業失敗、住宅ローン、教育ローン


藤沢市にお住まいの50代男性のケースです。

三菱UFJ銀行、みずほ銀行などの銀行や、事業者ローン会社など21社5名に対し、負債総額約1億7000万円の借金が払えずに相談に来ました。

主な借金の理由は、自営業の工場経営の失敗です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

 

独立開業


町工場の行員として働いており、結婚して子供が産まれる予定でしたが、家族が増えるのに当時の収入では少なく、養えるのかという不安もありました。
当時、景気が良かったためにある程度の成功が見込めたこともあって、独立しました。


別の町工場を経営している親から開業資金を援助してもらえたので、無借金で事業を立ち上げることができました。

 

売掛金の未回収

事業開始から3年程度は売上も良く、独立前と比べて4倍近い収入を得ることができ、非常に順調でした。


しかし、取引先が振り出した手形が不渡りとなり、2カ月分の売上と同額近い損失を出してしまいました。
そこで、金融機関から事業資金を借入れるようになりました。

 

同じころ、景気が次第に悪化し、また海外との競争によって製品単価が落ち始め、利益が下がってきてしまいました。
そのため、他の金融機関や親族に営業資金を借入れるようになりました。

 

住宅ローンの契約

売上が落ち、徐々に債務が増えてきましたが、3人の子どもたちも大きくなり手狭になったので、住宅ローンを組んで住宅を購入しました。

住宅購入は人生の3大支出と言われる、とても大きな買い物です。
ローンを利用して購入すると、長い人では20年30年と毎月返済をしなければなりません。


そのため、購入前には完済できるのかどうかの未来の収支状況の検討は必要です。

とくに事業収入の場合には、リスクは高まります。


リーマンショックの影響

リーマンショックを機に競争が激しくなり、取引先は安価な韓国企業との合い見積もりを毎回要求するようになってきました。


韓国企業はかなり安価な金額を提示してきたため、対抗すると利益が全く出なくなりました。
2年で売上げは半減し、赤字に転落してしまいました。
以後、赤字を解消することができませんでした。

リーマンショックとは、2008年にアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産したことに端を発した金融危機で、当初日本は直接的な影響をそこまで受けませんでした。
しかし、世界的な経済の冷え込みから金融不安となり、最終的に日本経済に大きな影響を及ぼしました。

相談者もそのあおりを食らってしまい、経営悪化の一方を辿り、事業資金を次々と借り入れるようになりました。

サラリーマンの方でも、倒産や賞与減額などにより破産する人も増えてしまいましたが、事業者の被った損害は遥かに大きいものでした。

 


教育ローンの複数契約


仕事でリーマンショックの影響で経済が脅かされていた頃、子供が進学を控えており、まとまったお金が必要だったので、教育ローンを組みました。
年の離れていない子供が3人いるために教育資金がかさみ、1年程度でローンを3本も契約する程でした。

教育資金も住宅資金と同様に3大支出と言われています。


教育資金はいつ頃にどのくらいの額が必要かというのは子供の年齢を考えればわかるので、本来なら前もって少しずつ用意すべきものだと思います。

実際に用意しても金額が足らずに進学を諦める人もいれば、教育ローンや奨学金で補って進学し完済をする人も沢山いますので、教育資金を目的とした借入は悪いものではありません。

ですが、この相談者の場合、いくら景気が悪化して収入が減ってきていても、教育資金が必要になる1年半程前に住宅をローンで取得しています。

将来の収支の見通しが甘かったと言わざるを得ません。

 

負債の補てん


仕事の赤字を埋めようと、銀行からの融資を受けたり、親族や知人から借入れたりと策を講じました。
個人資産などを投入して、買掛金の支払いが遅れないよう何とか手を尽くしましたが、焼け石に水でした。
申立前の約2年の間に、新規で契約したリースや事業資金の複数の借入については一度も返済することができないほど、首が回らなくなっていました。


弁護士に依頼

自己破産を申し立てるために、弁護士に依頼するも、信頼関係を築くことができなかったようです。
その後、ジン法律事務所弁護士法人へ相談に来られ、前任の弁護士から引継いで自己破産申立に至りました。

 

株式取引と免責不許可事由

知人に誘われ株を買い始め、結構な黒字になっていましたが、会社の経営悪化から全て事業資金に回したそうです。


株によって債務が増えたり資産が減ったということはなかったので、免責不許可事由に該当しないと考えました。

株式取引の場合、FXや信用取引とは異なり、投資という側面もあり、ただちに不許可事由になるのではなく、取引内容によります。

仮に、免責不許可事由に該当していたとしても債務や資産の増減はなく、既に株取引はやめているので裁量免責を受けることができると考えました。

結論として、免責許可が出ています。

 

このように事業資金による自己破産も多いです。ご相談は無料で受け付けています。

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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