個人再生後の自己破産
ケース紹介
ケース紹介47 Yさんの事例
50代 / 男性 / アルバイト
借入の理由:自営業失敗
相模原市にお住まいの50代男性のケースです。
12社に対して負債総額1200万円の借金が払えずに相談に来ました。
主な借入原因は、自営業の失敗でした。
また、今回の自己破産が2回めということも問題になりました。
過去の自己破産
2回めの自己破産も認められていはいます。
ただ、7年以内の自己破産の場合には免責不許可事由があるとされます。
短い期間での自己破産だと不許可になることもあります。
また、7年が過ぎているから問題ないかというと、そういうわけでもありません。
過去に自己破産をしている場合には、過去の事情と2回めの自己破産の事情を比較され、問題が解決しているのか、同じ間違いを繰り返していないかチェックされます。
今回も2回めの自己破産の相談ということで、過去の経緯を聞き取り、裁判所に報告しています。
過去の自己破産は、約18年前のことでした。
消費者金融やクレジット会社に約400万円の借金をしてしまい、自己破産をしていました。
借入理由は、車にかかる費用や収入に見合わない生活をしてしまったことが原因でした。
事業資金
自己破産後、職を転々とした後、自営業を始めました。
店舗営業です。
直前に働いていた会社が倒産してしまったので、同内容の業務を自分で始めたものです。
過去に破産をしていることから、事業を始める際にも、借金はできないものと考えて、開業資金は、親族から援助してもらいました。
事業自体は、毎年、利益が上がっていました。
従業員は雇わず、相談者一人で働いていました。
事業開始から約4年間は、無借金経営で順調でした。
自己破産後の借入
事業開始から4年後、税理士から融資を受けられるのではないかとアドバイスをされ、カードを作ったり、銀行から融資を受けました。
この時点で信用情報は問題なかったものと認められます。
当初は、カードでガソリン代等を払うなどの使い方で、大きな借金もなく経営ができていました。
しかし、その後、大量のロットで仕入れた方が良い取引もあるため、その資金を手元に置いておいた方が良いと判断し銀行から融資を受けて仕入れ資金として使うようになりました。
売上の減少
災害や、全般的な不景気の影響で、売上が減少。
取引のための手元資金として融資を受けたお金も運転資金として使ってしまいました。
その後、利益が出ず、赤字申告へ。
別の金融機関から融資を受けるなどして、何とか店舗を維持していました。
しかし、返済資金が不足し、それまでの融資金の返済のため、信販会社などから借入れをしては返済に充てるという自転車操業になりました。
こうなると、負担する利息額がどんどん膨らんでしまいます。
よほどの利益回復がないと、返済は難しくなってしまいます。
利益の回復、閉店
売上の減少にも歯止めができ、利益が出るようになりましたが、生活ができるほどのものではなく、借金の返済が苦しい状態が続き、店舗を維持することはできないと考え、お店を閉めました。
その後、アルバイトで生活するようになりました。
店舗明渡状況など
店舗が残っている状態で自己破産の申立をするような場合には、明渡費用がどれくらいかかるか等の見積を出したうえで、それを上回る予納金を準備し、管財人に引き続く必要があります。
今回は、依頼時に明渡が済んでいました。
そのため、主に、不当な財産処分がないかどうかのチェックが必要でした。
在庫や備品も大きなものはなく、価値があるような見積も出ていませんでした。
また、知り合いに依頼し、無償で原状回復工事をしてもらい、廃棄費用がかかるという備品も1万円で買ってもらうなどしていました。
不当な財産処分がないという報告を裁判所にしています。
税務申告について
自営業者の場合、最終の確定申告書等で、収入状況、減価償却資産等をチェックすることになります。
しかし、直近の申告については、税理士費用の滞納があることなどから、申告ができていませんでした。
それ以前の期の確定申告書添付の貸借対照表に記載されている資産状況を詳細に裁判所に報告することしかできませんでした。
同時廃止手続き
自営業であったことや、2回めということもあり、管財手続きになる可能性が高い事件でしたが、財産状況や自営業の状況を詳細に伝えることで、管財手続きではなく、同時廃止手続きで解決することができました。
事業廃止から一定期間が経過していたことも、同時廃止で認められた理由かと思います。
免責許可についても認められています。
管財予納金の準備も覚悟していただけに、同時廃止で進められることになり、非常に喜ばれた事件です。
相模原市にお住まいですので、管轄裁判所は横浜地方裁判所相模原市部です。
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