自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介252 Mさんの事例
60代 /男性 / 自営業
借入の理由:生活費
愛川町にお住まいの60代男性のケースです。
複数の弁護士に辞任されたという自己破産相談でした。
債務整理中の弁護士辞任は、債務者にとって深刻な事態を引き起こします。
督促や一括請求の再開、差し押さえリスクの増大など、経済的・精神的な負担が一気に高まります。
本記事では、弁護士辞任後に起こりうる具体的な問題と対処法、実際の事例を交えながら、債務者が取るべき適切な行動について解説します。
この記事は、
- 債務整理で弁護士に辞任された
- 弁護士から辞任されそう
という人に役立つ内容です。
債務整理中に弁護士が辞任
債務整理の手続き中に弁護士から辞任されることは、債務者にとって大きな問題となります。
進行中の手続きがストップし、債権者からの督促や一括請求が再開されるなど、経済的にも精神的にも深刻な影響を受けることになります。
弁護士に辞任されると何が起きるのか?
弁護士が辞任すると、手続きがストップし、督促が再開します。
弁護士が債権者に送付していた「受任通知」の効力が失われます。
受任通知とは、弁護士が債務整理の代理人となることを債権者に通知する書類であり、これが有効である限り、債権者は債務者に直接の督促を行うことができなくなります。
しかし、辞任通知が債権者に届いた時点で受任通知の効力が消滅し、債権者は再び直接的な督促を再開します。
電話や郵送での督促のほか、返済期限を過ぎた借金に対する一括請求がされるのが通常です。
債権者が辞任通知を受領後、即座に督促開始となります。電話、郵便のほか、場合によっては訪問による督促もありえます。複数の債権者から同時に連絡が来る可能性も高いでしょう。
一括請求が行われるリスク
督促が再開された場合、債権者からの一括請求を受ける可能性が高くなります。
これは「期限の利益」を喪失していることが原因です。
期限の利益とは、分割払い契約に基づき、期日通りに返済を行っている間は一括返済を求められない権利のことです。
多くの貸金契約では、支払いが遅れることや、債務整理の通知により期限の利益を喪失するものとされています。
本来は、債務整理の受任通知等により一括請求されるところ、事実上、返済が一時停止になっていただけのものです。
このため、弁護士辞任後には、債権者は滞納している全額を一括で請求できるようになります。
また、辞任後に再開された督促では、遅延損害金が加算されるケースがほとんどです。
差し押さえのリスク
弁護士の受任通知後でも、民事裁判や差し押さえは禁止されておらず、これらの動きに出る債権者もいます。
弁護士の辞任後だと、この動きに出る可能性は高まります。
督促や一括請求に応じない場合、債権者は裁判を起こし、最終的に財産を差し押さえる可能性があります。
裁判所の判決を経て差し押さえられる財産で多いのは、預金口座、給料です。
預金口座では、差し押さえられた時点の残高が問題になります。債務総額に満たない場合、口座内の全額が差し押さえられるのが通常です。
給与については、多くの金額帯で、手取り額の4分の1にあたる金額が対象となります。勤務先にも裁判所からの通知が届き、差し押さえの事実が伝わります。
和解交渉への影響
債務整理の方法として、和解による解決を試みる任意整理の場合、弁護士の辞任があると成功率が下がります。
債権者の信頼低下による交渉難航のほか、支払停止から長期化したことから和解条件の悪化(分割払い期間短縮など)
、和解に応じなくなるケースも出てきます。
辞任後の債務整理の場合、任意整理による解決はかなり難しくなります。
弁護士に辞任される原因
このように、債務整理を依頼した弁護士が辞任することは、大きな問題となります。
では、なぜ弁護士が辞任するのでしょうか。
弁護士との委任契約の内容にもよりますが、ジン法律事務所弁護士法人では、他の弁護士に辞任されたとして相談が多くきます。
辞任理由として多いのは、債務者の対応や費用の問題です。
債務者の対応として、弁護士からの連絡を無視する、面談や打ち合わせを無断欠席する、財産や借金総額について嘘をつく、必要書類を準備しない、連絡手段が完全に途絶えるということがあります。また、自己破産などの準備中にギャンブルを繰り返してしまう、給料の前借りや携帯決済などを含め新しく借金をしてしまうような行為も辞任理由となります。
また、弁護士費用を期限内に支払わない場合、辞任のリスクが高まります。分割払いが認められることもありますが、滞納が続くと弁護士は手続きを継続できなくなります。
辞任後の対処法
弁護士が辞任しても、新しい弁護士に依頼することで手続きを再開できます。自己破産や個人再生のような法的手続きには弁護士の支援が必要なため、迅速に次の弁護士を見つけることが重要です。
また、自己破産や個人再生の場合、弁護士なしで債務整理を進めることも選択肢にはなります。
ただ、微妙な事案の場合、申立をする裁判所の運用を含めた専門知識があったほうが良いです。微妙な事案かどうかがわからない場合には、専門家に依頼したほうが無難です。
新しい弁護士に依頼するか、自分で手続きをするかを含めて、辞任された前任弁護士からの書類返却は求めるようにしましょう。
弁護士に依頼後に、債権者が変わっていることはよくあります。債権譲渡や代位弁済などで、依頼時に把握していた債権者が変わっており、自分だけでは正確な情報がわからないことも多いです。少なくとも、債権者からの開示書類は送ってもらうよう依頼しましょう。
どうしても難しければ、新しい弁護士によって再調査をすることもできますが、時間がよりかかってしまいます。
辞任と弁護士費用の返金
弁護士辞任後、支払った費用の返金については、弁護士との委任契約の内容によります。
依頼者に原因がある辞任の場合、費用が返金されないとしている事務所も多いでしょう。
辞任理由は、受任からの期間等によって変わるでしょう。
なお、弁護士の健康問題や業務都合での辞任であれば、未使用分の費用が返金されることが多いです。
弁護士辞任後の自己破産事例
愛川町にお住まいの60代男性、自営業者の相談で弁護士に辞任されたという事件がありました。
ポケットカード、楽天カードなど15社に1500万円の債務がありました。
10年以上前に自己破産歴があります。
弁護士から2回の辞任をされて相談に来たという経緯でした。
自己破産に至る経緯
1度目の自己破産後、自営業を続けながら、アルバイトもしつつ生活をしていました。
自営業の収入も復調してきたところ、家具を購入する際、カードが作れたためニッセンクレジットサービスを利用開始し、不安定な収入が少ない時期に、生活費として使用。
収入が不安定な時期に、事業資金不足が起きたため、新たにカードを作りガソリン代支払やETC利用をするようになりました。
数年後には、複数のクレジットカードを作り、日用品の決済方法や、事業の決済方法や生活費として利用するようになりました。
売上も増えていたので、材料費の購入などの経費支払も増え、カードも増やすことに。
しかし、お客さんとのトラブルで、取引先からの仕事を切られてしまい、売上が激減。
月150万円程度あった売上がなくなるなどして、一気に資金繰りや生活が苦しくなりました。
税金滞納もするように。
家賃を下げようと引越したものの、売上が上がらないことには返済が進められず、借金も滞納するようになりました。
弁護士への依頼と辞任
債権者から裁判を起こされ、1つ目の大手法律事務所に自己破産を依頼。
申立費用は半年程度で支払い、必要書類の提出もした記憶だったのですが、行き違いもあり、申立まで進められませんでした。
他社からも裁判を起こされ、裁判所から届いた書類を弁護士に郵送したのですが、特に破産申立の書類の話もなく、申立は進みませんでした。
そのうちに辞任されてしまいます。
書類の準備ができなかったからという理由でした。
一度、メールを受け取り、仕事が忙しいので待ってほしいという話はしたのですが、それ以降の催促もなく辞任されてしまいました。
辞任されたので、新しい弁護士を探し、相模原市の弁護士に自己破産の依頼。
しかし、相模原市の弁護士からも辞任されてしまいました。書類の準備ができなかったからという理由でした。仕事が忙しかったほか、数カ月間体調不良が続き、準備ができませんでした。このような事情を弁護士には伝えましたが、辞任という結論は変わりませんでした。
そこで、ジン法律事務所弁護士法人に自己破産の依頼、3度めの正直ということで、必要書類も準備し、申立をしたという流れでした。
自営業ということもあり、破産管財人が選任される手続きでの申立を行いました。
破産管財人との面談後も体調不良になってしまうなどの事情はありましたが、無事に免責許可をもらうことができました。
他の弁護士から辞任されたという相談・依頼も増えています。ご相談は無料で受け付けています。
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