自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介246 Sさんの事例
50代 /男性 / 会社員
借入の理由:教育費
神奈川県秦野市にお住まいの50代男性からの自己破産相談でした。
住宅ローンが払えず、離婚、自宅をあきらめて破産したいとの相談でした。
住宅ローンの支払を止めると、通常は、競売手続きに移ります。そこで、今回は、競売と自己破産の関係について開設します。
この記事は、
- 住宅ローンを払えない
- 競売の通知が届いた
という人に役立つ内容です。
競売と自己破産
不動産競売は、裁判所が関与する強制的な売却手続きです。
債権者が抵当権を行使して、債務不履行に陥った債務者の不動産を売却し、売却代金をローン返済に充てるものです。
自己破産は、債務者が自らの財産を法的に清算し、経済的な再スタートを切るための法的手続きです。
この二つの手続きは、経済的困窮に直面した際に重要な選択肢となりますが、それぞれには利点と欠点が存在します。
不動産競売の流れ
1. 競売申立て: 抵当権を持っている債権者が、裁判所に競売申立を行います。裁判所で競りにかけてほしいという申立となります。
2.競売開始決定: 裁判所が競売開始を決定し、債務者に通知します。
3.物件調査: 執行官や鑑定人が物件を訪問し、詳細な現状調査を行います。
評価書等が作成され、競売での売却見込額が推測できるようになります。
4.入札: 物件の情報が公開され、入札が行われます。
5.開札と売却許可: 入札が終了し、最高額入札者が選定された後、裁判所が売却許可を出します。
6.代金納付と引渡し: 落札者が代金を納付し、所有権の移転、引渡しなどの流れとなります。代金納付により、競売手続きでの配当がされます。抵当権者や参加した債権者等に分配されることになります。この配当により、債務者としては、競売後の残債務がどのくらいの金額であるのかわかることになります。
競売手続きは一般的に10ヶ月程度を要するとされます。
債務者は、この間、家に住み続けること自体はできますが、所有権の移転時期には新たな住まいを見つける必要があります。
抵当権の対象となった住宅ローンなどは支払いを止めているでしょうから、手続き中は、住居費がかからずに居住できることになりますが、所有権があるので固定資産税や管理費はかかります。
競売開始通知を受け取った際の対応
競売の開始決定が出ると、裁判所から決定通知が届きます。
また、登記もされますので、競売中であることが公にされます。
競売開始決定通知を受け取った際には、迅速に任意売却を検討することもできます。
任意売却は、競売よりも高額で物件を売却できる可能性があり、競売に比べて債務者にとって有利な条件で進めることができるとされます。
住宅ローンの金額によっては、高い金額での任意売却ができれば、自己破産を回避できることもあります。
自己破産手続きと不動産
自己破産を申し立てる際、不動産の所有状況は手続きの内容に大きな影響を与えます。
不動産が競売で売却された後に破産を申し立てる場合、財産がなければ、通常は「同時廃止」という比較的簡易な手続きが可能です。
これは、財産処分の必要性も、調査の必要性もない場合に使われる簡単な手続きです。
一方で、不動産を所有している状態で破産を申し立てると、多くの場合、破産管財人が選任され、より複雑な手続きが必要になる可能性が高くなります。所有している状態ですと、破産管財人による任意売却で高く売れれば、財産が残る可能性があるので、その検討をする必要があるからです。
不動産を持っていても、明らかに抵当権のローンの方が不動産価値よりも高いオーバーローンの場合には、不動産には価値がないと考え、同時廃止で進められることまおります。この基準としては、東京や神奈川県では、2024年時点では、1.5倍という基準が使われています。
不動産の任意売却とは
不動産の売却には、競売以外に「任意売却」という方法もあり、こちらは競売よりも高価で迅速な売却が期待できる場合があります。
基本的には、自己破産の予定の場合には、破産管財人に不動産を引き継ぎ、任意売却してもらう流れとなります。ただし、売却金額次第で返済可能性がある場合には、任意売却を先に進め、住宅ローン等の債務が残るのか、いくら残るのかを確認し、そこから自己破産や個人再生などの法的整理を使うのか判断する選択肢もあります。
任意売却は、住宅ローンの返済が困難になった場合に、裁判所を通じない方法で不動産を売却し、その売却金で住宅ローンの残債を返済する方法です。
住宅ローンを受けた際に設定される抵当権は、完済するまで存在し続け、その不動産は銀行の担保とされます。任意売却の際は、銀行などの抵当権者の同意が必要となります。抵当権者も担保に入れている物件の評価をしていますので、その評価額以上の金額でなければ売却に同意しないという対応をとってきます。
任意売却では、自由に売却価格を決められるわけではありませんので、売り出す際に、抵当権者との事前調整が必要になるのです。
任意売却のメリット
競売に比べて、任意売却にはメリットがあります。
抵当権者との調整は必要ですが、不動産業者を通じて売却するので、通常は、市場価格で売却となります。
これに対し、競売の場合には、価格が低くなる傾向にあります。
抵当権者からすると、競売にかかる費用が発生しません。一方で、不動産業者の仲介手数料は引かれるので、最終的な返済額はシミュレーションする必要があります。
任意売却のタイミング
任意売却は、自己破産を検討する前に行うことも、破産手続きの中で行うことも可能です。
不動産を所有している状態で自己破産を申し立てる場合、破産管財人が選任されることが多く、20万円以上の予納金が必要になるのが通常です。
しかし、オーバーローンの状態では、同時廃止として扱われることもあります。この場合には、破産手続きの開始及び廃止決定後に、任意売却を進めること自体はできます。
競売を待つか任意売却を選ぶかは、個々の財務状況、不動産の市場価値、個人の事情(引越タイミング等)によって異なります。
競売の自己破産事例
秦野市 50代男性
会社員からの相談でした。
神奈川県秦野市内に不動産を所有していたものの、住宅ローンを払えず競売になってしまった事例です。
その後に、自己破産の申し立てをしています。
不動産評価額は、約3200万円、
抵当権の被担保債権残額は、約3700万円でした。
1.5倍基準を満たさないため、同時廃止ではなく、破産管財人が選ばれる手続きとなります。
破産に至る経緯
現在は会社員でしたが、以前はアルバイトの身分であり、税金や社会保険料を自己負担していたため可処分所得は低く、生活費に充てるため、ニコスや楽天銀行から借入れていました。
正社員登用後、住宅ローンを組み、自宅購入。
支出が増える一方、その直後から新型コロナウィルスの影響により妻の収入が減ったため、家計が苦しくなってしまいます。
生活費に充てるため、勤務先からも借入れをしてしまいます。
教育費用のローンまで組むこととなったほか、社会福祉協議会からの借入れも。
慢性的な赤字家計となり、光熱費も払えなくなっていきます。
お金の問題で離婚、自己破産の相談、依頼となりました。
自宅は競売にかけられてしまいます。
破産管財人による任意売却
破産管財人が選ばれる手続きとなりました。
競売中でも任意売却はできますので、破産管財人は任意売却を試みました。
しかし、抵当権者との間で同意してもらえる金額での購入希望者は現れず、競売手続きも進み、最終局面に。
任意売却は困難と判断し、破産管財人は不動産を財団から放棄、破産手続きとしては終了となりました。
破産手続きとしては免責許可は出ていますが、その後、競売手続きも進められます。
競売については、落札者による代金納付後、引き渡しをおこない、終了となります。
自宅競売による自己破産事件も相談があります。ご相談は無料で受け付けています。
以下のボタンよりお申し込みください。