自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介242 Kさんの事例
60代 /女性 / パート
借入の理由:示談金支払
厚木市にお住まいの60代女性からの自己破産相談でした。過去に示談金を複数回支払っており、その資金が借金の理由とのこと。
そこで、今回は、示談金や損害賠償債務が自己破産時の非免責債権に該当するかどうかに焦点を当て、解説していきます。
この記事は、
- 損害賠償請求を受けて支払えない人
- 示談金支払いのために借金をした人
という人に役立つ内容です。
損害賠償債務と自己破産
示談金や損害賠償債務がある状態で自己破産をすると、非免責債権にあたるかどうかという検討がされます。
一部の支払義務については、自己破産をしても残ります。
自己破産とは
自己破産は、借金の返済が不可能となった場合に、裁判所への申請を通じて行われる手続きです。
これが認められれば、多くの借金から解放されますが、貴重な財産(家や車など)を失うこともあります。
この手続きを終えると「免責」という状態になり、特定の借金の返済義務がなくなります。ただし、全ての借金が対象となるわけではありません。
免責される債務
自己破産の手続きを行えば、カードローン、クレジットカードの支払い、個人間の借り入れ、遅延した家賃など、多くの借金から解放されることが期待できます。支払義務がなくなることを免責と呼びます。
一方で、税金や罰金、養育費などは免責の対象外となります。非免責債権と呼ばれます。
これらは、自己破産後も支払い続ける必要があります。
示談金や損害賠償金は、非免責債権になるのか争われることがあります。
損害賠償金と非免責債権
損害賠償金の一部は非免責債権とされます。
自己破産をしても免責されずに支払義務が残るというものです。
非免責債権になるのは
- 破産者が悪意の不法行為を行った
- 人の生命や身体を故意または重大な過失で害した
場合です。
暴力行為による慰謝料など、非免責債権に該当する場合、支払いの免除は受けられません。
不貞慰謝料などは、悪意となるかが問題となりますが、一般的には免責になることが多いです。不倫が「悪意で加えた」行為とみなされるケースは少なく、免責されることが多いのです。
慰謝料請求側からみた自己破産
慰謝料の請求に関して、相手が自己破産する場合、慰謝料を請求する側は債権者として破産手続きに参加する必要があります。
慰謝料請求権は法的な債権として認められ、自己破産された場合、債権者として裁判所からの諸手続きに参加しなければなりません。
自己破産手続きには「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があり、特に管財事件では弁護士が財産の管理や債権者への配当を行うことがあります。配当の場合には、債権額に応じて平等に分配されることとなります。
請求相手が自己破産をされそうだと考える場合、回収方法として、既に裁判所の判決など債務名義を持っている場合は財産の差押えを行うこともあります。
後に自己破産をされた場合、否認されるリスクはありますが、弁護士に依頼もしていないなど自己破産の可能性が現実化していないタイミングなのであれば、差押えに動いた方が回収確率が高まることが多いでしょう。
示談と自己破産
損害賠償債務を負い、被害者との間で示談が成立した場合、その後に自己破産を検討することがあります。示談の元となった損害賠償債務が、非免責債権となる場合には、自己破産をしても、その支払義務は残ります。
これに対し、示談金を支払うために、貸金業者などから借金をした場合には、その性質は借金ですので、免責の対象となります。
理論的には、非免責債権を支払うために借りた借金は自己破産をすれば支払義務がなくなります。
当然ながら、自己破産をしようとして借りれば詐欺ではないかと言われ、悪意の不法行為となる可能性もあります。
しかし、借り入れ当時、そこまで考えずに、早期に弁償しようとか、ときには刑事事件になるのを避けるために借り入れをして示談することもあります。
その後、返済を続けたものの、他の事情によって払えなくなって自己破産となった場合には、やむを得ないものと認められやすくなります。
実際に、このように示談金の支払目的で借金をしたものの、払えなくなったという相談も多いです。
今回も、示談と自己破産の事例を紹介します。
示談と自己破産の事例
以前に、銀行から借入れをしたのが借金の最初でした。
夫が刑事事件を起こし、示談金の支払に充てるためだったとのこと。
その後、セブン・カードサービスなどでクレジットカードを作成し、普段の買い物に利用するようになりました。
当時、相談者は専業主婦でしたが、夫の収入は安定しており、夫の収入から返済することに問題はありませんでした。
しかし、夫が再び刑事事件を起こし、示談金、弁護士費用等のため、クレジットカードのキャッシング枠を利用しました。
更に、その後、夫が飲酒運転で逮捕され、実刑判決を受けることに。
家計収入がなくなり、生活費や債務の返済目的で、新たに三井住友カードや銀行から借入れをし、債務が増えました。自分も働きに出るようになりましたが、家計が苦しい状況は続きました。
しかし、そのような状況で、自身が交通事故を起こしてしまいます。車の修理代や損害賠償金の支払など出費が相次ぐことに。
さらに、最近になり、夫がまたも刑事事件を起こし、示談金の支払のため、横浜銀行から借入れをすることに。
その後も、何とかやりくりをして返済を続けましたが、限界を迎え、弁護士に相談に来たという経緯でした。
複数回の事件があり、示談金支払なども重なっての借金です。
示談金自体は、その内容によっては非免責債権となりますが、示談金を支払うための借金は、免責の対象になります。借り入れをした当初は、刑事処分を有利にするために示談をし、返済もできると考えていたものですが、やりくりができずに支払不能となってしまったという経緯です。
多重債務の相談では、このように示談金や損害賠償金自体が債務として残っている事案より、示談金等を支払うために借金をして、その支払ができずに自己破産の相談に来るという人の方が多いです。
借金の自己破産ですので、すべてが免責となり解決しています。
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