自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介239 Tさんの事例
40代 /男性 / 会社員
借入の理由:風俗、生活費
厚木市にお住まいの40代男性からの借金相談でした。
平塚信用金庫、アコムなど7社に660万円の借金がありました。
借入の理由を聞いてみると、親の生活費が主な内容でした。
親や親族への送金がある場合、自己破産では注意が必要です。
この記事は、
- 親や親族への送金記録が多数ある
- 家族生活費での自己破産を考えている
という人に役立つ内容です。
仕送りと自己破産
自己破産を考えている人が仕送りをしている場合、注意点がいくつかあります。
自己破産は「支払不能」の人を救済する手続きです。
借金の支払ができないかどうかの一つの基準として、総借金を「3年で返せるか」という金額が使われることもあります。
3年程度の分割払いに応じてもらえるか債権者の構成にもよりますが、単純計算をすると、360万円の借金がある場合に、月額10万円の返済余力があるかどうかという話になります。
この返済余力を見る際に、親族への仕送りなどをしていると、それをどう評価するかが問題になるのです。
- 仕送りをしていると、毎月の余剰金が減る。
- 余剰金が減れば、3年での返済能力も変わってきます。
- 親への仕送りが正当なのか、借金返済より優先すべきなのかが問われます。
なかには、親族への財産移転をしているだけ、と疑われる事案もあります。
これに対し、親などが仕送りがないと生活ができない状況であることもあります。
高額な仕送りと資産隠しの疑い
もし仕送りが高額な場合、資産を隠していると見なされるリスクがあります。
例えば、月に数十万円もの仕送りをしている場合、不当な財産移転であれば、破産管財人を選任し、取り返すかどうか検討することもありえます。
借金をしている状況で、親族への贈与がある場合には、無償行為として否認される可能性があります。
一方で、親などに対しては扶養義務もあります。扶養請求をされれば、一定の支払いをしなければならないという法律のルールもあります。
親側の収入、相談者の収入・財産、他の扶養義務者(兄弟姉妹)の状況なども考慮した総合的な判断となります。
仕送りをしている人は、自己破産の申し立て前に、仕送りの額と必要性を慎重に評価するべきです。
少なくとも、弁護士に相談したり、借金の支払いを受任通知で止めた後の送金には慎重になるべきでしょう。
高額な仕送りは、裁判所や債権者から疑われる可能性が高いですし、破産管財人選任という方向になりやすういです。
また、自己破産の要件判断として、仕送りを止めて返済ができるなら、自己破産の必要がないとみなされる可能性もあります。
親への送金と任意整理
債務整理のなかでも、任意整理の場合は、問題になりにくいです。
任意整理では、業者との話し合いで解決を目指します。
親族とのお金のやり取りは、手続きに大きな影響を与えないことがほとんどです。親へ送金などしていても、任意整理の返済資金を準備できるのであれば、あまり文句は言われません。
ただ、任意整理でも、債権者の中には、家計状況の提出を求めてくるところもあります。そのような場合に、親への送金があるのであれば、その理由を合理的に説明する必要はあるでしょう。
親への送金と個人再生
任意整理では、それほど問題になりませんが、個人再生では、自己破産と同じく、預貯金明細のチェックや説明が必要になります。
扶養義務を超える送金などがあれば問題とされる可能性はあります。
また、個人再生では、履行可能性が重視されます。減額すれば支払えるかどうかというポイントです。親への送金があると、それが今後どうなるのかも説明すべきでしょう。
逆に、親族から仕送りを受けている場合、一見問題ないように思えます。ただ、個人再生では、親族からの仕送りも家計の収入とする場合には、それが続くのか問われることになります。
基本的には、仕送りを除き、自分の収入から返済できる方が望ましいでしょう。
自己破産と家族の財産問題
自己破産の家族に対する影響の問題です。
家族が保証人(連帯保証人含む)の場合には、家族自身の債務として、責任が生じます。
しかし、自己破産は個人単位の問題です。原則として、家族の財産に影響はありません。
ただ、ここでの財産の判定は、形式面だけではなく実質を見ます。
自己破産すると、トータル20万円以上の財産等は処分されます。これには家族名義の貯金も含まれる可能性があります。
なぜなら、家族名義でも、実質的に破産者のものと判断されるケースがあるからです。
例えば、破産する親が子の口座に送金していた場合、それは破産者の財産とされる可能性があります。名義を変更しているだけに見えるわけです。
夫婦間などでも同じです。
この財産名義の問題でも、親への送金などが審査される可能性はあります。
家族への送金記録から、送金先の財産が破産者の財産とされる場合には、処分対象になるリスクが出てきます。
親への送金がある自己破産事例
今回も親への送金が問題になっていた事例を解説します。
当初、楽天銀行を利用し始めてローンを組んでいました。
友人の結婚式のご祝儀などで資金が足りない時期にローンを利用して補っていたとのこと。
数年後から、母親から生活費の負担を求められるようになりました。
母には内縁の夫がいましたが、病気で収入が減ったため、生活できないと言われ、手渡しで生活費を負担するようになりました。最初は月に数万円の負担でしたが、収入だけでは足りず、アコムや三井住友銀行のカードローンを利用し補っていました。
競馬支出
親への送金が始まった後、競馬を始めるように。
それまでは、収入の範囲でパチンコに行く程度でしたが、職場で同じ部署の全員がやっていたこともあり、一緒にやるようになってしまいます。
みんなでやっていたこともあり、使う金額がエスカレートしていき、アコムで追加借入をして借金から資金を準備するようにも。
相変わらず母の生活費負担もあり、抱えていたストレス解消という側面もありました。
その後も、母への仕送りと競馬をしながら、借金を返済する生活を続けていました。この頃は、そこまでの支出ではなく、同棲していた彼女もいたため、借金をそこまで増やさずに生活できていました。
税金支払で借金
数年後には、信用金庫で220万円の証書融資を受けることに。この頃、税金滞納し始めてしまい、返済資金が必要だったことや、母の内縁の夫も収入がさらに減ったということで、生活費負担額も月に10万円を超えるようになってしまいました。
母からの要求を断れず、仕送りができなくなったときに、貯金があれば余裕ができると考え、融資を受けました。
ギャンブルもエスカレート
職場でのギャンブルが競馬だけにとどまらず、競輪、競艇に派生していきました。みんなで色々なギャンブルに手を出してしまっていました。周囲には勝っているという人もいて、自分もその話を聞けば勝てるような気持ちになってしまい、抜け出すことができませんでした。
数年間で、借金は減らせず、融資を受けたお金も使い切ってしまったことから、再度、信用金庫に相談をし150万円の追加融資まで受けることに。
ここから、母の生活費負担や、返済資金を捻出したほか、ギャンブルにも使用してしまいました。
同棲していた彼女から、結婚するのかはっきりして欲しいと迫られました。彼女には、母への生活費負担額や借金については事実を伝えておらず、逆に結婚資金としての貯金があると嘘をついてしまっていました。彼女とのやりとりにストレスを感じ、何とかしなければという気持ちで参ってしまっていました。
他の銀行から融資を受けて、それまでよりもギャンブルの支出を増やしてしまいました。ストレスが多かったことのほか、もし大きく当てれば、何とかなると考えてしまいました。
結局、ギャンブルがエスカレートしてしまい、月に40万円近くの赤字になってしまい、借金を増やしてしまいました。
彼女にも、嘘がばれ、預金どころかギャンブルによる借金があるということで、別れを告げられてしまいました。
それまでは、自宅の光熱費など生活費の一部を負担してもらっていたのですが、この後はすべて自己負担となり、家計は厳しくなり、自己破産の方向で進めることになりました。
親の生活費と生活保護
母から生活費の負担を頼まれたときも、厳しいから生活保護を受けるよう伝えました。ただ、すぐには動いてくれず、頼み込まれて、それまでと同じように生活費を渡す生活は続いていました。
返済が止まったことから、母の生活費を負担した残額で自分も生活できるようになり、それ以降は、ギャンブルは一切していません。また、現在は、職場の構成も変わり、同じ部署に競馬等をしている人はほとんどいなくなったため、職場の付き合いでもギャンブルをすることはなくなっていました。
母への仕送りと扶養義務
相談者は、母の一人息子で、兄弟姉妹はいませんでした。
実の父は、相談者が小さい頃に離婚をしたそうです。その後、母は、内縁関係の男性ができ、同居。相談者とも一緒に生活をしてきていました。
母は以前には仕事をしていましたが、体調が悪く、相談者が家を出た頃には、専業主婦でした。
母の生活は、内縁関係の男性の収入で成り立っていました。
男性は、病気になってしまい、転職しました。転職で収入が下がってしまい、7年ほど前から、相談者が生活費を負担しないと、母の生活ができない状態となりました。その後、男性も体調が悪化して、仕事ができなくなってしまいました。
そこで、相当の生活費を負担しなければならなくなったという経緯でした。
最近になって、ようやく生活保護の申請に動いているようでした。
破産管財人による免責意見
手続きとしては親への送金もあり破産管財人が選任されることとなりました。
ただ、仕送り額について否認されたり、財産認定されるということはなく、今後の支出の改善が主な対応業務となりました。
母親に対して生活保護するなど家計状況を改善することで、破産管財人からも免責が相当との意見をもらえ、無事に免責許可が出て解決になっております。
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