自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介237 Tさんの事例
30代 /男性 / 会社員
借入の理由:税金滞納、差し押さえ
神奈川県秦野市在住の会社員、50代男性からの相談でした。
債務が1000万円あり支払えないとの相談でしたが、他に900万円の滞納税金もあり、何度も差し押さえを受けているとのことでした。
今回は、滞納税金と自己破産について解説しておきます。
この記事は、
- 借金のほか、滞納税金がある
- 税金の差し押さえを受けた
という人に役立つ内容です。
税金滞納と自己破産
自己破産は個人が負債を全て免除する手続きであり、多くの借金が免除されます。
しかし、税金滞納は例外で、自己破産しても免除されません。
税金は国や地方自治体に対する義務であり、その支払いは法律で厳しく規定されています。
税金滞納がある場合、自己破産手続きが終了し免責が許可されても、その支払い義務は残ります。
自己破産を考えている人は、税金滞納が自己破産後も残ることを理解し、その対策を考える必要があります。
自己破産後の税金滞納
自己破産後も税金滞納の支払い義務は残りますが、一定の条件を満たす場合には「滞納処分の停止」が行われ、その停止が3年間続いた場合は税金の支払い義務が消滅することもあります。
しかし、この制度は一定の要件を満たす必要があり、その適用は限定的です。
滞納処分の停止は、国税徴収法153条に規定されています。そのなかで、滞納処分を執行することができる財産がないときという要件があります。
自己破産をしたということは財産がないということになりそうですが、この解釈はもう少し厳しく、生活保護やそれと同程度の生活困窮に陥っているような事例が挙げられています。
滞納処分の停止がされた場合には、滞納者に対して通知がされます。処分停止の翌日から3年が経過すると、納税義務はなくなります。
税金滞納を解消するための手段はいくつかあります。まず、税務署や自治体の窓口に相談することが重要です。また、一定の条件を満たす場合には、「納税の猶予」や「換価の猶予」を受けた上で分割納付が認められる制度があります。
一般的には、このような猶予手続きなどをしても払えない場合に、滞納処分の停止が検討されることになるでしょう。
税金滞納による財産差押
税金は、国や地方自治体が公共の利益を達成するために必要な財源を確保するためのものです。
税金の納付が遅れると、延滞税という形で追加の負担が発生します。さらに、納税義務を果たさないと、最終的には財産差押という厳しい措置がとられることもあります。
差押は、不動産や預金、給与など、納税者が所有する財産に対して行われます。
通常の借金による差し押さえとは異なり、税金の差し押さえの場合には、裁判手続きを経る必要はありません。予告も必要なく、突然、差し押さえがされることになります。
役所と協議し、延滞している税金について分納の合意をしていて納付書ももらっていたのに、差し押さえがされたという事例もあります。非常に怖い制度です。
税金差し押さえと自己破産事例
税金の差し押さえを受け、自己破産となった事例も多いです。
今回も、そのような事例を紹介します。
神奈川県秦野市にお住まいの50代男性からの自己破産の相談でした。
所得税滞納や市県民税滞納がありました。
当時、自営業をしていて、妻に税金支払を任せていたところ、支払ができていなかったため、滞納になってしまっていました。
その後、就職し、給料を得る生活になったものの、税金差し押さえを受けてしまいました。差し押さえを解除してもらうために銀行のカードローンを利用。
さらに、市役所の差し押さえがあり、分割払いの話をしたのですが、毎月20万円ずつ払うよう言われ、収入だけ支払うのは厳しく、銀行からの借入をすることに。
妻と別居し、レオパレスを借りることに。妻とは、税金の滞納について知らせないなどのことから家庭内別居状態でしたが、夫婦仲が改善することはなかったため別居となりました。
ただ、別居後も、妻子が住む家の家賃は負担していたため、生活費が余計にかかる生活になりました。
約2年後に、妻と正式に離婚。
銀行の目的別ローンで、借金をまとめようとしましたが、結局、その後に再度借りてしまい、全体の借金は増えてしまっただけとなりました。
税金の支払、差押えなども続き、現在の収入では支払うことができないため、自己破産の相談に来たという経緯でした。
膨れ上がった借金は1000万円、滞納税金は900万円という状態でした。
預金通帳にも、不定期に市役所からの差し押さえがされている記録が残っていました。
また、税務署により生命保険が差し押さえられた記録もありました。
自己破産手続きでは免責許可が出ているため、通常の借金の支払義務はなくなりました。
自己破産をしている場合、滞納税金について延滞金の減免申請は認められることがあるので、税金の支払い自体も減らせることはあります。
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