自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介232 Sさんの事例
50代 /女性 / パート
借入の理由:引越し費用、医療費
厚木市にお住まいの50代女性からの相談でした。
収入からはとても支払えず自己破産を希望しているとのこと。しかし、過去に2回自己破産をしていて、3回目ということでした。今回は2回目以降の自己破産について、注意点を解説します。
この記事は、
- 3回目の自己破産を考えている
- 2回目以降の自己破産の注意点を知りたい
という人に役立つ内容です。
3回目の自己破産とは
大量の借金を抱え、努力しても返済が難しい場合、自己破産という救済制度が国により設けられています。
自己破産は、裁判所を通じて未払いの借金の支払義務を免除する手続きです。
自己破産は最後の手段であり、一回だけのチャンスであるはずなのですが、残念ながら一度自己破産を経験し、借金を解消したにもかかわらず、再度借金を作り自己破産するしかないという人も存在します。
2回めの自己破産の問題です。さらに、2回の自己破産をした後、3回めという人も出てきています。
どうしても予想してなかった費用が必要になるなどして、借金に手を出してしまう。何とか支払を続けようとしたものの、他の債務整理も選択できず、自己破産しかないという状況に追い込まれてしまう人もいます。
誰にでもリストラされるリスクはあるでしょうし、株の信用取引やFXなどのレバレッジを活用した投資に失敗、事業の失敗、連帯保証人になる、病気で働けなくなるなど、多くの落とし穴があります。
自己破産と免責
自己破産は、債務者が裁判所に申立をして責任を免除してもらう制度です。
自己破産の手続きは、破産と免責の2段階です。
破産手続きでは、裁判所が債務者の収入と借金の額を考慮し、返済不能状態であるかどうかを判断します。裁判所が返済不能と判断すると、まず、破産手続きが始まります。
破産の決定が出た破産者の、借金に対する責任を免除して良いかどうかが免責の手続きです。
破産手続きが始まり、さらに裁判所の審査を経て免責が許可されると、借金の返済義務は免除されます。
自己破産の回数制限
理論的には、自己破産に回数制限はありません。
自己破産を複数回行うことは可能です。しかし、前回の免責から7年間は、新たに免責を受けることはできません。免責については、不許可事由が法律で書かれています。そこには、過去の免責から7年以内の申立という記載があります。
同様に、ギャンブル、浪費等で過大な借金をした人も免責不許可事由とされています。
原則として、一度自己破産を経験し、借金を解消した後、再度借金を作り、自己破産をするのであれば、前回の免責許可から7年以上経過していないと免責不許可事由があることになります。
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二度目の自己破産の審査は厳しい
2回めの自己破産を申し立てる場合、裁判所は前回の自己破産の原因や経緯、およびその後の生活状況を詳しく調査します。
そして、前回の自己破産後の債務者の生活態度や行動、または債務の発生原因に問題があると判断した場合、裁量免責を躊躇することでしょう。
裁判所は、同じ間違いを繰り返す人には厳しい態度をとります。
2回目以降の自己破産の注意点
事実として、破産法では自己破産に回数制限は設けられていません。
7年が過ぎていれば、本来は、2回めというだけでは免責不許可事由にもなりません。しかし、2回めとなると、通常よりも審査は厳しくなります。
厳しくなる内容として、2回めの自己破産の借入理由が、ギャンブル、浪費など免責不許可事由による可能性があれば、管財事件にされる確率が高まります。
また、借入理由に免責不許可事由がなくても、その経緯、借金額によっては、2回めであることを理由に、管財事件になることもあります。
3回目の自己破産
そして、3回めとなれば、2回めよりも審査が厳しくなります。
理論的には、前回の自己破産である2回目の自己破産から7年が過ぎていれば免責不許可事由にはなりませんが、そうであっても、より管財事件にされやすくなるでしょう。
裁判所としても、極めて慎重に審査しなければならないと考えるわけです。
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裁量免責のポイント
3回目の自己破産でも、今回の借金の経緯で免責不許可事由がある場合には、1回目の自己破産よりも免責不許可リスクが高くなりますので、注意が必要です。
裁量免責をもらうには、しっかり事情を説明しておく必要があります。
裁量免責が認められる要件に関しては、破産法では「破産手続開始決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して」(破産法252条2項)とのみ定められています。
一切の事情としては、次のようなポイントで判断されることが多いです。
免責不許可事由の悪質性
破産申立に至った経緯・事情
債務者の態度・協力姿勢
債権者の事情
債務者の経済的な再生の可能性
3回目の自己破産の理由が、多額のギャンブル、浪費等であると裁量免責は認められにくくなります。
3回目の自己破産が困難な場合の対処法
2回目であることを理由に免責不許可とされるリスクは少ないですが、3回目となると簡単に免責が出るとは言いにくいです。特に、3回目の借金理由に免責不許可事由であるギャンブルや浪費があると、管財事件になっても裁量免責で大丈夫とは言い切れないところがあります。
3回目の自己破産が困難だと判断する場合には、任意整理や個人再生を検討するしかないことも多いです。
任意整理は、債権者との交渉を通じて借金の減額や返済方法の変更を行う手続きです。
個人再生は、債務を大幅に減額し、3年から5年の間に返済を行う再生計画を立てる手続きです。
過去に自己破産をした人が個人再生を使う事例もあります。
3回目の自己破産事例
このような前提ですが、どうしても3回目でも自己破産しかない人もいます。そのような事例を紹介します。
厚木市にお住まいの50代女性でした。
2回目の自己破産からは7年が過ぎてはいます。
1回めの自己破産が25年前。夫が原因の借金や離婚後の養育費で借金して免責許可。
2回目の自己破産が約13年前。再婚相手に債務があり、生活費や再婚相手の事業資金で借金、免責許可。
そこから約10年が過ぎ、決済方法としてPaidyを利用し始めました。
翌年には、楽天カードを利用し始めることに。
以前は、収入がある娘と同居しており、自身も8万円から12万円程度の月収があり生活はできていました。
しかし、この前年に娘が結婚して家を出たことから、自身の収入のみで生活をしなければならなくなりました。余裕がないところで、別の娘が難病を発症。治療費不足のため、カードを利用するように。
翌年には、職場の都合で、店舗縮小により退職することに。スーパー等のパートを転々とするも、以前より収入が減ってしまいました。
さらには、自分の体調も悪く、通院しながらの生活で収入が減少。
市役所に相談し、生活保護を勧められたが抵抗があり、別に勧められた社会福祉協議会を利用して借入。
引越し費用
もともと市営住宅に住んでいたのに、そこから事情により複数回の引っ越し。
交際関係、家族関係が原因で、1,2年の間に数回の引っ越し。その費用や短期解約違約金の支払のため、借金を使うことに。最後の方は少しでも安い物件に引っ越そうとしたものでした。毎月の収支は改善するものの、そのための引越し費用というコストが大きくかかってしまっていました。
さらに、病気により障害認定、年金受給するように。
相談直前も、何とか収入を得ようと、パートの仕事をするも、人間関係が原因で職を転々とする生活になってしまいました。この時期にも、体調が悪く引っ越しが必要になり、借入で補うような状態でした。
生活が限界となり、姉にも相談したところ、自己破産をするしかないだろうと言われ、相談に。
3回目ということで、管財事件になる可能性も相当に高かったものの、本来は、生活保護が望ましいような状況。
管財事件にされたら予納金の捻出は難しそうであったものの、それ以外の選択肢はなかったので、同時廃止により破産申立をおこないました。
3回目の自己破産の審査
裁判所からは、書面での照会事項がいくつかありました。
引っ越しの時期、理由、金額等を明確にするよう照会があったので、可能な限り資料を確認して報告書にまとめています。
また、娘との関係や今後の家計状況なども補足説明をしています。
これにより、破産管財人は選任せずに、同時廃止で進めることとなり、免責許可が出されました。
3回目なので、管財事件の可能性も相当にあったのですが、管財予納金が出せるような状況でないことは担当裁判官も理解してくれ、同時廃止で進めるしかないと考えたのでしょう。
個別の裁判官面接も実施されずに免責許可が出ています。
自己破産は基本的には1回限りとすべきですが、過去に1回、2回の自己破産をして、三度、借金に苦しんでいる人も、このように解決可能性があるのだと知っておいてください。事情を説明してチャレンジしてみる価値はあるといえます。
2回目以降の自己破産事件も多く相談があります。ご相談は無料で受け付けています。
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