自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介231 Sさんの事例
50代 /男性 / 会社員
借入の理由:コンビニ経営
厚木市にお住まいの50代男性からの相談でした。
コンビニ経営に失敗した借金を負ってしまい、支払いができないので自己破産をしたいとの相談でした。一時、法人経営にしていたものの、法人破産の費用が準備できないとのこと。
コンビニ経営での借金で自己破産をする人も多いので、コンビニ経営の借金構造をあわせて解説します。
この記事は、
- コンビニ経営で多額の借金をしてしまった
- 法人経営だが個人のみ自己破産したい
という人に役立つ内容です。
フランチャイズコンビニの悩み
「フランチャイズ本部への支払が大変・・・」
「店舗の閉鎖をしたいけど、違約金が・・・」
このような悩みを抱えるコンビニオーナーは多いです。
他のフランチャイズでもある悩みですが、コンビニではよく聞きます。
特に多くのオーナーが悩まされているのが借金問題です。
出店資金、フランチャイズ料、運営資金などで、個人的にコンビニオーナーが借金をして資金繰りをしていることも多いのです。
自己破産による違約金の免除
コンビニオーナーが抱える借金は高額になってしまうことが多いです。
任意整理では、借金の元本を支払う必要があり、多額の借金の場合には、問題の解決に繋がりにくいです。
個人再生は借金を減額する手続きですが、手続き後も借金が残るため、返済が必要です。コンビニ経営を断念する場合、新たな仕事での収入から支払をできるのかが問われます。
自己破産の場合、財産を失うリスクはあるものの、すべての借金が免除され、返済の義務から解放されます。
なお、フランチャイズ契約では、期間中に閉店に至ったことによる、コンビニ本部からの違約金や損害賠償金も、自己破産の対象となり免除されます。
そのため、コンビニオーナーの借金問題では自己破産が選ばれやすいです。
コンビニオーナーの借金の内訳
多額の借金を負ってしまう内容としては、次のようなものがあります。
まず、初期費用の借り入れです。
コンビニ開業時には、フランチャイズ加盟のための初期費用が必要。
研修費、店舗設備費、商品の購入費などの名目で1000万円以上かかることもあります。
提携ローンを紹介されることもありますが、自己負担も多く、別に融資を受けてスタートする人も多いです。
次に本部への送金があります。
フランチャイズでは、売上金をすべて本部に送金し、手元に現金が残らないことが多いです。
その後、本部から店舗への送金もありますが、ロイヤリティや仕入れ代などが差し引かれるため、資金不足に陥ることが多いです。
ロイヤリティとは、コンビニオーナーが本部からサポートを受ける対価として支払う費用です。
その結果、人件費や光熱費、廃棄品処理費などの諸経費を賄うために、貸金業者から借り入れを行うケースもあります。
さらに、一部コンビニでは、ノルマ達成のための自己負担があったり、万引き被害による経営圧迫もあると言われます。
これらの理由から、利益が得にくく借金をする人が多いのです。
厳しいコンビニ経営環境の原因
仕組み的に資金繰りが厳しくなりがちですが、最近では、さらに経営環境が悪化している事例も多いです。
24時間営業の継続が求められ、人材確保が難しい場合、オーナーや家族が無償で深夜勤務に稼働することもあります。
商品管理など、日々の業務負担が増え続け、少ない人数ですべての業務をこなさなければならなくなっています。
さらに、地域独占戦略により、顧客を奪い合う状態になってしまうこともあります。
このような経営環境の悪化により、資金繰りに苦しみ、判断能力が低下してしまい、借金が増え続けてしまうという事例もあるのです。
家族経営は、アルバイトの人件費を削減できる利点がありますが、家族が長時間働く状況が続くと、家族関係に亀裂が入ることがあります。家族経営のリスクを理解し、家族の絆が崩壊しないように注意が必要です。
コンビニのフランチャイズの仕組み
コンビニを経営する際、フランチャイズ加盟が一般的な方法です。
フランチャイズは、「フランチャイザー」(本部)と「フランチャイジー」(加盟店)が契約を結び、加盟料(ロイヤリティ)を支払うことで、本部の商標使用権や商品、サービスを使えるシステムです。
加盟店にとっては、本部のブランド力や商品、ノウハウを利用できるメリットがあります。
自分で商品開発などを進めて独立開業するよりも早くお店を持てるでしょう。
知識や経験が少なくても挑戦しやすい方法と言われます。
また、本部にとっても、効率よくブランド展開できます。
コンビニ経営のフランチャイズでは、オーナーがコンビニチェーンに加盟し、本部と契約を結び、ロゴ・商品・経営ノウハウなどを利用する対価として、ロイヤリティの支払いが必要になります。
ノウハウをもらえるものの、利益が低くなるという構造ですね。
フランチャイズ中途解約の違約金
フランチャイズ契約の期間は通常、長めに設定されており、期間内の中途解約の場合、違約金が発生します。
これは本部側でもコストがかかっているため気軽に止めることを避けるためです。
ただ、これにより、利益が出ない状態でも、違約金支払を避けるため、ズルズルと赤字経営を続けるしかないと考えてしまう人もいます。
そのような場合には、借金が増え続けてしまいます。
コンビニの廃業件数は増加傾向に
コンビニエンスストアの数は年々増加している一方で、倒産等により廃業しているコンビニも増えています。
公正取引委員会の報告書によれば、2009年のコンビニの倒産・廃業数は91件でしたが、2017~2019年には300件以上と約3.5倍に増加しました。
近くのエリアに多く出店するドミナント戦略によって店舗数が増加しているのです。
これにより、売り上げが分散し、各店舗の売上が低下という構造です。
コンビニ経営による自己破産事例
自営でコンビニの経営を開始するにあたり、日本政策金融公庫から開業資金を借入れていました。
数年は経営も順調に続き、返済も進められていました。
しかし、父が脳梗塞で倒れてしまい、病院と施設を行ったり来たりの状態に。
自身が稼働できなくなったことから、コンビニ経営の運転資金、父の治療費に充てるため、銀行からも借入れをしたり、日本政策金融公庫に対する債務を借換えたりしまいた。
その後、母も倒れ、施設に入ったままの状態に。
運転資金、両親の治療費・介護費用に充てるため、銀行から追加融資を受けていきます。
経費節減のため、コンビニ経営のための株式会社を設立し会社経営に移行。複数店舗の経営を視野に入れるとともに、法人への切替えにより、約2年間消費税が免除になることや、社会保険料の負担の軽減を企図して、法人化したとのことでした。しかし、母店の売上が上がらず、複数店舗の経営は現実的でなくなったこと、消費税の免除期間も終了したこと、社会保険料の負担もさほど変わらなかったこと、法人経営の事務処理の煩雑さ等から、結局、個人経営に戻しました。
コンビニの売上が全国店舗の平均値に及ばない状態が継続し、ロイヤリティーの負担も重かったため、経営を断念。
フランチャイズ契約の解約にあたり、清算金が発生しました。
再就職した会社の給与も余りよくなく、到底返済ができないと考え、弁護士に自己破産を依頼。
法人の債務もあったのですが、申立費用の工面ができないため破産手続きは断念するとのことでした。
事業費用の説明
法人の代表者であったり、個人事業の場合、自己破産をすると、裁判所への報告事項が増えます。
今回、法人から相談者と妻に対して、役員報酬が支払われた形になり、源泉徴収票が交付されていたので、その説明が必要となりました。社会保険を通すために計上したもので、実際の支払はなかったので、その旨を説明しています。
また、確定申告書についても、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に記載されている乗用車があったので、その説明をしています。ローンで購入した自動車でしたが、支払い停止により、所有権留保権者に引上げられていましたので、その説明をしています。
コンビニ経営自己破産の提出書類
通常の自己破産の必要書類のほか、事業関連の書類として、フランチャイズ関係の書類を提出しています。
店舗運営管理委託契約書、加盟店付属契約書など残っていた書類を提出しています。
一部、加盟店基本契約書については、探したものの紛失してしまったとのことで、その旨を説明しています。
また、今回の事例では、過去5年程度の法人の決算書を提出しています。
最終の決算書上、現金及び預金が35万円程度、存在する形となっていまが、「資本金割れ」を防ぐために計上したものに過ぎず、実際には資産は一切なかったので、その報告をしています。
会社名義の資産は一切ないことから、管財人が選任されたとしても、管財人が行うべき業務は何もないことを伝えています。
この結果、法人の破産申立はせずに、個人の自己破産の申立のみで手続きが進められています。
法人が放置されてしまうので、本来は望ましくないのですが、費用的にどうしても難しい場合には、この方法でススメざるを得ないこともあります。
コンビニ経営を理由とした自己破産事件も多く相談があります。ご相談は無料で受け付けています。
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