モビットから裁判を起こされた借金の自己破産事例。神奈川県厚木市・横浜市の弁護士。

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ケース紹介226 Eさんの事例

40代 /女性 / 自営業

借入の理由:住宅ローン、給料差し押さえ


川崎市にお住まいの40代女性からの相談でした。

モビット、ニコス、セゾンなど8社に対して約400万円の債務があり、支払ができないとの相談でした。

この記事は、

  • モビットを含む借金の自己破産を考えている
  • 家族の事業資金での借金がある

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.3.2

 

モビットから裁判を起こされた

弁護士に自己破産などの債務整理を依頼した後は、受任通知を送るので、支払は止まります。

ただ、これは事実上、督促が止まるだけで、民事裁判を起こすなど法的な手続きは止められません。また、裁判所の判決などがあれば、給料差し押さえなどの強制執行もできてしまいます。

そのため、受任通知が送られて支払が止まったとしても、なるべく早く、裁判所への自己破産の申立をする方が良いです。

多くの貸金業者は、受任通知の支払停止をしても、すぐに裁判を起こしてはきません。自己破産の申立をされたら、裁判の費用も無駄になってしまうからです。しかし、一部の消費者金融等は、支払を止めて何ヶ月経てば裁判を起こす、というように機械的な対応をしてきます。

今回も、受任通知から約4ヶ月でモビットに訴訟提起されてしまいました。

東京簡易裁判所から訴状と呼出状が届いてしまいます。

裁判所の訴状

 

自己破産申立て後に答弁書提出

モビットなど消費者金融から裁判を起こされても、すぐに差し押さえなどはありません

裁判では、口頭弁論期日が指定されています。そこに答弁書を出し、争点を整理したりして、主張・立証が終わった後に判決を出していく流れです。

今回のケースでは、依頼から約5か月で、自己破産の申立を裁判所にしています。

川崎市にお住まいでしたので、横浜地方裁判所川崎支部への申立をしています。

 

民事裁判の方には、破産申し立てをした事実を伝え、答弁書を提出しています。答弁書の記載内容は次のとおりです。

第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の原因に対する認否
追って、準備書面において認否する。

第3 訴訟進行について
被告は、平成●年●月●日付で横浜地方裁判所川崎支部に破産手続開始・免責許可申立てを行い(同裁判所同支部平成●年(フ)第●号)、近日中に破産手続開始決定が出される見込みである。
よって、本件訴訟の継続は無意味と考えられるため、原告においては訴えを取下げられたい。

 

モビットからは、訴えを取り下げるので、同意書を提出して欲しいとの話が出され、訴え取り下げ同意書を提出しています。

裁判自体は取り下げられ、差し押さえ等もなく、自己破産手続きが進められました。

 

自己破産をする借金の理由

自己破産の申立をする際には、借金の理由を記載しなければなりません。

今回の事例では、ショッピングに利用するため、丸井(現エポスカード)のクレジットカードを作成したのがきかっけでした。

そして、この頃、親族が病気になったことが判明したため、このカードでキャッシングをし、医療費の支払に充てたとのこと。

その後、複数のクレジットカードを作成し、日用品の購入などに利用するようになりましたが、安定した給与収入があったため、特に返済に問題はありませんでした。

 

夫の自営業での借金

数年前に、それまでの仕事を退職し、結婚したばかりの夫が立ち上げたネットショップを手伝うようになりました。

しかし、ネットショップの仕入れや、売上が伸びずに生活費の不足を補うためにクレジットカードを利用したことで、債務が膨らんでしまいました。この時期、アコムからも借入れをするようになりました。

結局、ネットショップは辞め、自身は再就職。

夫はフルコミッションの自営業で働くようになりました。

しかし、夫の収入は不安定で、生活費の不足を補うためにクレジットカードを利用したり、夫の仕事にかかる経費を相談者がキャッシングで用意したりしたため、返済は思うように進みませんでした。

 

夫の差し押さえ

夫が社会保険料の滞納により差押えを受け、家計が更に厳しくなりました。

自身も体調不良により手術費や治療費、ペットの病院代などで出費が嵩み、債務が膨らんでしまいます。

クレジットカードの限度枠も使い切ったうえ、勤務形態が変更になり給料が下がったことで、今後の返済が不可能になりました。

初めて夫と互いの経済状況について話合い、債務整理をすることに。

翌月に弁護士に相談のうえ破産することを決意し、自己破産事件を依頼という流れです。

 

妊娠中の自己破産

相談者は、自己破産の申立時に妊娠している状態でした。

出産予定も決まっていたため、産休をとる予定との報告をしています。

通常、産休をとれば自身の収入は更に下がってしまいます。

申立時においては、夫も債務を抱えていましたが、夫の収入は増加傾向にあり、自分の債務は今後も返済を続けることができる見込みとのことでした。

しかし、相談者の債務が残ってしまったままでは、出産や育児に伴う出費も考えると、今後の家計を立て直していくことは到底無理とのことで、妻のみ川崎支部への自己破産の申立となりました。

 

親族への送金の説明

自己破産の手続では、預金明細を提出し、内容について裁判所に報告する必要があります。

8ヶ月に渡り、父名義の口座への毎月8万円の支払記録がありました。

内容を確認すると、夫の父に対する債務の返済を相談者の口座を介して行っていたものとのことでした。

弁護士に委任後は、支払方法を変更していたので、その旨の報告のみで足りています。

 

夫の自営業の説明

申立人の夫が自営業であることや、その資金に借金が使われていることから、事業の内容の説明を求められました。

事業内容や、特に屋号はなく、従業員もいないこと、事業設備や什器備品等も存在しないことを報告しています。これらがあると、それが実質的には誰の財産であるのかという点が問題になる可能性があるでしょう。

 

 

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