自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介216 Tさんの事例
40代 /男性 / 派遣社員
借入の理由:株式投資、先物取引、運転資金
厚木市に住む40代男性からの自己破産相談でした。
SMBC、横浜銀行など4社から610万円の借金があるとの相談でした。
もともとの横浜銀行ローンには、SMBCが保証しているローンが170万円、横浜信用保証のローンが50万と、銀行経由の借金が多い割合でした。
この記事は、
- 事業譲渡後の自己破産を考えている
- 株式取引、先物取引での自己破産を考えている
という人に役立つ内容です。
横浜銀行からの借金
もともとは、生活費に充てるため、横浜銀行のバンクカードローンで取引を開始していました。
その後、生活費に充てるため、プロミスから借入れもしてしまいます。また、クレジットカードを作成し、食品・日用品の購入に利用するように。
法人の債務保証
その後、株式会社を設立し、代表取締役となりました。
同社が信用金庫や日本政策金融公庫から借り入れた際、連帯保証人となりました。
しかし、事業は、同業他社の存在によりなかなか軌道に乗りませんでした。
運転資金が底をつきそうになり、個人名義で横浜銀行カードローンを利用し、約200万円を借入れるなどして対応しました。
徐々に事業は軌道に乗り、会社経営は上向きとなりました。
株式投資での借金
利益を債務返済に充てる目的で、株式投資を始めていきます。
プロミス、横浜銀行に対する返済が進み、借入枠が生じていたため、同社からの借入れにより投資資金を賄うことに。
当初は利益が出ていたとのことでした。
しかし、借金をして投資をするというのは筋がよくありません。
投資の収益率と借金の利率を比較すれば、借金で支払う利息のほうが高くなるのが通常です。
これを上回ろうとすれば、それなりのリスクが出てきます。
会社の経営を断念
事業について、市の指導が厳しくなり、収入が減る一方人件費は増え、赤字が続いたため、経営を断念しました。
友人に会社の株式を譲渡し、経営を譲ったとのことでした。
法人名義の信用金庫及び日本政策金融公庫に対する連帯保証債務も、免責的債務引受で承継できたとのことで、法人の債務からは離れることができています。
保証債務が残ってしまえば、事業譲渡をした意味があまりありません。
失業により支払不能
法人の事業譲渡をして、数回にわたり職を変え、株式投資をしながら、返済を続けてきていました。
しかし、失業期間もあり、株式投資も負けに転じたため、返済が困難に。
転職・転居のタイミングで弁護士に自己破産を依頼したという経緯です。
投資と免責の意見書
投機行為によって著しい財産減少、過大な債務負担があると免責不許可事由とされます。
FXや先物取引は投機行為とされます。投資と投機行為の区別は明確ではありませんが、株式の現物取引の場合には、取引態様次第ということになるでしょう。
免責不許可事由になる可能性がある行為がある場合には、自己破産の申立時に、免責が相当だという意見を出しておきます。
本件でも、株式投資や商品先物取引によって、著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したとまでは言えないことから、免責不許可事由は存在しないとの意見を出しています。
仮に免責不許可事由があるとされた場合であっても、申立人は債務返済の目的で株式投資や商品先物取引を行ったこと、現在は取引は行っておらず、安易に射幸行為に手を出した点を反省していることを踏まえ、裁量免責が相当との意見もあわせて出しています。
株式投資、先物取引の報告内容
これらの行為の程度によって、免責不許可事由になるか、裁量免責にするかどうかが決められます。
また、同時廃止での自己破産申立てをしても、裁判所の判断で免責調査のため、管財手続きにされ、破産管財人が選任されることもあります。
この判断のため、これらの取引の時期や金額、当時の収入から支出できた金額などを報告することになります。取引報告ができる場合には、資料も添付することになります。
今回の事例では、4年程度の取引がありました。
その期間中に支出した合計額は約2億2300万円、ここから収入欄として、当時の資産及び収入(投資・投機で利益が生じたときの利益)からみて、その支出に充てることができた金額として、約2億2000万円の報告をしています。
この差額が損失となります。損失額は、約300万円。
当時の負債総額は約610万円でした。
負債の半分程度の損失が出ているという内容でした。
申立人作成に係る商品先物取引及び株式投資についての月ごとの損益一覧表、並びに、それを裏付ける先物取引の決済明細、株式投資の信用決済明細及び譲渡益税明細を提出しています。
事業譲渡についての説明
法人の事業譲渡をしている点については、詳細な報告が必要でした。
自己破産では財産処分などがあれば、それが不当に財産を減らすものではないか調査されます。
問題があれば、破産管財人による否認がされてしまいます。
今回、提出書類としては、申立人から知人への株式譲渡に関する契約書、及び、同譲渡を承認した同社の臨時株主総会の議事録を提出しています。
事業譲渡時の決算書につきましては、法人の顧問税理士に対して開示を求めましたが、現在の取締役・株主の承諾が得られないとして、拒否されてしまったため、その報告を出しています。
破産管財人の選任
同時廃止での申立をしましたが、裁判所の判断で管財手続きとされました。
信用取引・先物取引と、事業譲渡の適正調査という2つの問題点があったため、管財手続きもやむを得ないところがありました。
管財予納金の準備後、破産管財人が選任され、法人の事業譲渡の適正さなどが問題になりました。
申立人の借金理由として法人の運転資金があり、申立人から法人に対する貸付金の調査が必要になったためです。
破産管財人から法人に対して調査がされ、債権者集会は2回開かれています。
最終的には、事情譲渡には問題がないと判断され、異時廃止で自己破産手続きは終了となりました。
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