自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介214 Rさんの事例
30代 /男性 / 休職中
借入の理由:FX
藤沢市に一人暮らしをしている30代男性のケースです。
三井住友銀行、楽天銀行など6社から約900万円の借り入れがあり、自己破産を頼んだ弁護士から辞任されたとの相談でした。
この記事は、
- FXでの債務で自己破産を考えている
- 自己破産を依頼した弁護士に辞任された
という人に役立つ内容です。
10年以上のFX
FXの取引を開始したのは10年以上前とのこと。
当初は利益が出たり、収入の範囲での取引でした。
しかし、約4年後から損失が出るように。
損失を取戻そうと、アコム、プロミスなどの消費者金融から借入れをし、FXにつぎ込むようになってしまいます。
消費者金融の高金利を払いながら、それ以上の利益を上げるとなると、より高いリスクを取ることになってしまいます。
FXで借金が増えていく
数年間の取引で、損失は増え続け、FX資金のために借り入れをしてしまう生活に。
三井住友銀行、三井住友カード、ジャックス、楽天銀行、楽天カードから次々と借入れてしまいます。
一時的に勝つことがあっても、FXで借金を返そうとしてしまい利益はなくなってしまいます。
さらに、実家の稼業が厳しいと相談され、その立直しを図りたいと考え、FXにかける金額が大きくなり、負債も増大してしまいました。
ハイリターンを狙っての取引でハイリスクとなり、損失が膨らんだ形です。
弁護士の辞任
このような生活で返済が厳しくなり、弁護士に自己破産を依頼しました。
弁護士依頼して3ヶ月程度は、FX取引は行っていなかったが、どうしても我慢できずにFXを再開してしまったとのこと。この間のFX取引のために借入れはしておらず、収入からの利用でした。
しかし、FX再開を理由として、弁護士に辞任されてしまいます。
FXという免責不許可事由がある場合には、裁量免責を狙う自己破産申立てとなります。しかし、受任通知による支払い停止後に、同じ行為を繰り返していると、生活改善していないとして裁量免責の判断にマイナスとなります。
このような場合に、弁護士から辞任されるということも多いです。ギャンブル等でも同じです。
依存症のような状態の場合には、何らかのケアまで必要になってくるでしょう。
辞任後、自己破産を依頼できる弁護士を探して、ジン法律事務所弁護士法人に相談に来たという経緯でした。
自己破産では、このように以前の弁護士に辞任されて再度の依頼をするという人が多いです。
FXと管財事件
自己破産では、同時廃止と管財手続きがあります。
FXのような免責不許可事由がある場合には、免責調査のため管財手続きとされ、破産管財人を選ぶことが多くなっています。
今回も、FX取引の程度や経緯から、裁判所の判断で管財手続きとされています。
もともとは、同時廃止での申立をおこない、裁判所で受理された後に、管財手続きと判断されています。このような流れの場合、裁判所から弁護士宛に連絡があり、管財予納金の準備を指示されます。
管財予納金の分割払い
管財手続きでは、最低金額として20万円の予納金を準備する必要があります。
一括で準備できれば、手続きはスムーズですが、多くの破産事件では、一括での準備が難しいです。横浜地方裁判所を含めた神奈川県内では、毎月の積立を行う場合、4,5ヶ月であれば待ってもらえることは多いです。
ただ、この間は、自己破産手続きは全く進まないため、理論的には、債権者からの裁判や差押えなどのリスクがある状態が続きます。また、財産処分の基準時は、予納金を準備できた後の、破産手続開始決定時点なので、そこまでに何らかの財産を得るような話があると、その財産も処分対象となります。
たとえば、相続の発生、事故等による損害賠償請求権の取得、ボーナスなどがよくある話です。
可能な限り、管財予納金の準備は早めた方が良いでしょう。
FX取引の内容を提出
FXを理由とする自己破産では、過去の取引内容を示すよう求められることが多いです。
その金額や取引時期、頻度を確認するためです。
通常、FX口座、取引所への送金は、銀行預金口座からの送金であったり、クレジットカード利用による入金のため、これらの明細から送金額は確認できます。
可能な限り、FX口座内での取引明細についても確認し、損失額等を確定させる必要があります。
免責不許可事由がある場合には、その金額や時期を特定するよう求められるからです。海外のFX事業者などを利用していて取引明細が取得できない場合には、例外的に送金記録をもとに損失額を算出することになるでしょう。
今回の取引でも、exnessのFX口座、カード利用でのTraders TrustのFX口座への送金などが記録されていました。
裁量免責のための意見書
裁判所に対しては、事情を説明したうえで、裁量免責が相当であるとの意見を出しています。
今回のように受任通知後のFXがあるような場合には、今後の対策もポイントになります。
意見書の中には、FXへの投資額が増えた原因として、実家の事業経営を立て直したいという意図があったこと、現在はFX取引は一切辞め、安易にFXのために借入れをしたことを反省していること、二度とFX取引をしないため、現在ギャンブル依存症外来に通院し治療を受けていることを主張し、裁量免責が相当との意見を出しました。
病気による休職
自己破産の申立時には、精神的な病気によりにより休職中でした。
傷病手当金の受給をしていました。
毎月の医療費も発生している状態でした。
受任通知後のFXも病気が影響している可能性が高かったですが、それだけで済まされる金額ではないとされ、管財事件とされています。
転居・出張の許可申請
破産手続き中は、住居地の制限があります。
引っ越しはもちろん、一定日数以上、居住地を離れる場合には、管財人の同意をとる必要があります。
自己破産中に、長期間の旅行は考えにくいですが、引っ越しはよくある話です。
また、出張などもよくある話ではあります。
本件では、教員免許の取得を検討していて、遠方での教育実習が実施されることになったため、書面で事情を説明し、破産管財人の同意を取り付けています。
管財人からも説明があるかと思いますが、住居地を離れる場合には、必ず弁護士に相談するようにしましょう。
裁量免責による許可
破産管財人からも裁量免責が相当であるとの意見をもらえ、裁判所からも裁量免責許可が出たことで、借金の支払義務はなくせ、解決となりました。
裁判所への自己破産の申立後、約3ヶ月で免責許可が出ています。
FXを理由とする自己破産相談もあります。ご相談は無料で受け付けています。
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