自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介211 Kさんの事例
40代 /男性 / 会社員
借入の理由:風俗
埼玉県にお住まいの40代男性のケースです。
離婚により家計が悪化、その後、多額の風俗利用があったというものの、同時廃止で破産管財人をつけずに解決できた事例です。
この記事は、
- 風俗利用での借金がある
- 養育費の滞納もあり自己破産を考えている
という人に役立つ内容です。
学生時からクレジットカード
最初の借入は、学生の頃にクレジットカードを作成したものでした。
一時的な生活費不足で使っていたものの、その後、完済したとのことでした。このような最初の借入も申告しなければならないことがあります。
その後の状況としても、日常的なカード決済のみ利用したものでした。
しかし、事情が変わります。
離婚により支出が増える
約2年前に離婚が成立。
当時、妻と子で暮らしていたところ、妻子が出ていってしまいました。
当時、妻も働いて収入を得ていたところ、妻の収入がなくなり、自身だけの収入で、家賃等の生活費を負担しなければならなくなりました。ここに、毎月の養育費負担が発生しました。
結婚期間中の蓄えがあったものの、すぐに引っ越しして住居費を下げるなど生活レベルを変えることができず、預金が徐々になくなり、持っていたカードでキャッシングをしたり、リボ払いを利用するようになってしまいました。
なお、当時の月収は25万円程度で、家賃が11万5000円であり、家計は赤字状態でした。
住居費が50%近くになっており、ここに養育費負担があれば、生活が厳しくなるのは当然でしょう。
風俗で借金
離婚については、相談者は一方的な請求と感じており、全く理解ができず、しばらく自暴自棄な状態になっていました。
そのような不安定な精神状態を見かねた友人からの誘いで、初めて風俗に行ってしまいます。
そして、ハマってしまいます。
心の隙間を満たすため、毎月7,8回と通うように。
1か月あたりの支出も40万円近い金額になってしまいました。
給料だけでは足りず、持っていたクレジットカードを利用し、リボ払いにして通いました。
使っていなかったクレジットカードの利用を再開したり、新しく消費者金融からキャッシングをして、通い続けてしまいました。
この頃にも自暴自棄のような考えしかありませんでした。養育費の支払すらも止めてしまいました。
債権者からの督促電話
使えるお金は減ってしまっていたため、風俗に行く回数は減ったものの、自宅でクレジットカードを発見しては、生活費以外に風俗利用にも使ってしまう状態。
やがて、各債権者への返済が滞るようになり、頻繁に電話がかかってくるようになりました。
数カ月後には返済ができなくなってしまった債権者が出てきました。
ボーナスが出たのに、養育費や返済よりも優先して、風俗の利用をしてしまう状態に。
借金と勤務先への請求
翌年には、勤務先への督促も増えてしまい、先送りができなくなってしまいました。
相談者の異変に、勤務先社長が気づき、声をかけてくれ、弁護士に相談することとなりました。
また、家計についても社長に相談し、住居費が高いから引越したほうが良いと勧められ、勤務先まで通勤できる圏内で家賃の低い住所に引っ越すなどして対応しました。
その後は一切の風俗通いを止め、収入の範囲内で生活をすることができるようになりました。
職場の社長が心配して債務整理相談ということもよくあります。面倒見の良い社長さんの場合には、一緒に相談に来ることすらあります。
逆に、職場への督促が続き、仕事を続けられなくなったという人もいます。
このような事案もあることから、職場への督促が来るまで先送りにするのは良くないでしょう。
風俗と免責不許可事由
風俗により支出で多額の借金を負ってしまった場合には、浪費として免責不許可事由とされる可能性が高いです。
浪費により著しく財産を減らしたり、借金を増やすことは免責不許可事由になります。
免責が許可されなければ、借金は残ってしまいます。
浪費かどうかは、個別事情によって変わります。いくらか浪費になる、というルールがありません。
本人の収入や財産によって、高額支出も浪費にならないことはあります。
ただ、本件のような風俗利用は、支出のなかでも浪費と判断されやすい内容です。
借金全体に占める浪費
とくに、本件では、相談者の感覚では、生活費支出、医療費の支出等もありますが、振り返って計算するとキャッシングやカード債務の8割程度は風俗利用によるものだと思うとのことでした。
これでは免責不許可事由の浪費と言わざるをえないでしょう。
ただ、離婚するまでは、風俗などに行ったことは一切なかったとのこと。
ギャンブルや浪費のような支出もなく、今から冷静になって考えれば、離婚後の生活、支出は精神的におかしい状態でしてしまったと反省しているとのことでした。
決して借金を正当化できる事情ではりませんが、同情できる点もあり、裁量免責は狙える内容です。
家計における医療費
自己破産では、過去の家計状況を提出します。
その際、医療費の支出が一定額ある場合には、説明をしておいた方が良いです。
法的には、破産の要件には、支払不能といものがあります。
払えるかどうかの判断基準に家計状況は使われます。医療費支出がこれからも続くのであれば、それを前提に支払不能の判断をされます。継続的にかかるものなのか、金額はどの程度なのか、必要であれば、報告書で補足説明をしておきます。事案によっては、事実上、管財手続きにするのか、同時廃止で進めるかの判断の際に、影響を与える可能性もあります。
今回も医療費支出があったため、説明をしています。
家計の医療費については、複数の持病を持っていて通院治療しているものでした。
15年以上、通院している病気や、3年前に発症した病気、現在、経過観察治療であるものの、近日中に手術が予定されている病気などもあったため、具体的に説明をしています。
個人債権者の意向と管財事件
浪費という免責不許可事由がある場合でも、裁量免責が出されることは多いです。
ただ、自己破産の手続きとして、破産管財人を選任する管財手続にするか、選任しないで簡略化した同時廃止手続きにするか、裁判所が判断に迷うこともあります。
そのような事件で、個人債権者など特殊な債権者がいる場合には、債権者の意向確認を求められることもあります。債権者が管財手続を望んでいるなら破産管財人を選ぶという流れです。
今回の事例でも、裁判所から個人再生権者の意向確認指示がありました。
養育費の滞納があったため、債権者の意向を確認しています。
養育費債権者に対して電話で意向確認したところ、破産手続に対して特に意見はない、申立人に対して負担がかかるような手続は望んでいないとのことでした。
養育費は、非免責債権です。免責許可されても、支払い義務は残ります。債権者の立場から回収可能性を高めるには、管財手続きにして破産者の負担を増やすよりも、その分、早く手続きを終わらせて、支払をしてもらう方が良さそうです。
自己破産と反省文
自己破産で免責不許可事由がある場合には、反省文の提出を求められることもあります。
これも、破産管財人をつけるか、同時廃止で進めるかの判断材料になります。
今回の事例でも反省文の作成フォローをして、裁判所に提出しています。
これらの結果、破産管財人をつけずに、同時廃止手続きで裁量免責許可が出されています。
風俗利用など、自暴自棄での浪費を理由とする自己破産相談もあります。ご相談は無料で受け付けています。
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