自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介209 Tさんの事例
30代 /男性 / 会社員
借入の理由:サブリース、詐欺被害
横浜市磯子区にお住まいの30代男性のケースです。
不動産投資からのサブリース、詐欺被害などで負ってしまった借金が払えないとの相談でした。
この記事は、
- サブリース、詐欺被害で多額の借金に
- 横浜市磯子区で自己破産を考えている
という人に役立つ内容です。
住宅ローン
当初の借金は奨学金。学費のため、日本学生支援機構から奨学金の貸与を受けたものでした。
また、その後、銀行で住宅ローンを組み、マイホームとして中古マンションを購入。このとき、諸費用ローンとして90万円も借入れました。
この物件の築年数が古いため、別の銀行で35万円を借入れ、水道管のリフォームを行うなどしていました。
このあたりまでは、よくある内容です。収入もあり、支払には問題なかったはずです。
サブリースでの自己破産
しかし、自宅マンションを購入した際の不動産業者から、不動産投資の勧誘を受けました。
その結果、SBJ銀行でローンを組み、サブリース付きの投資物件を購入。
投資詐欺の被害
水道管の工事業者から、ある合同会社を紹介されました。
同社は、家具投資を募集しているとのことで、その投資は配当が毎月あり、最終的には3倍になるとのことでした。
そのため、銀行のカードローンで借り、同社に対して投資を行いました。
追加の詐欺被害
一部の配当があったものの、同社から振込まれたお金を生活費に使用したところ、「この投資以外には使用してはいけないもの」であり、「追加の支払をしなければ、契約を継続できない」などと説明されました。
言われるがままに、銀行のカードローン、消費者金融で借り入れ、同社に支払いました。
しかし、その後、配当が止まります。
同社からの支払がないことから、問い合わせをしたところ、振込手続は行っているが、税務関係で支払が止められていると説明されました。
その後、同社とやりとりを続けたところ、同社の経理が横領を行っていたため、支払がされていなかったと説明されました。
同社から、税金の支払を代わりに行うが、そのためには、一旦、クレジットカードで税金を決済してもらい、税金分をすぐに返金するといった処理が必要と言われました。
そのため、クレジットカードで決済を行い、このときは支払分が同社から振込まれました。
再度上記と同じ話があり、クレジットカードで決済を行いました。しかし、このときは、同社からの振込はありませんでした。
決済分の支払が引落予定だったものの、引落しまでに同社からの入金はありませんでした。同社に連絡を試みたものの、連絡が付かず、詐欺に遭ったと気づき、自己破産の相談に来たという経緯でした。
投資の勧誘
多くの場所で、投資名目の勧誘は行われています。
水道業者からの勧誘というのは珍しいですが、内容自体は、よくある手法です。
出資をすれば、毎月リターンを支払、最終的に3倍以上になるという「投資委託」とのこと。
当初は、260万円の投資に対して、月々23万円を36ヶ月で合計780万円の支払を受けるという約束でした。
なお、同社との間で報酬支払契約書を作成していました。
投資の内容は、投資して購入した家具を同社が販売し、その利益の支払を受けると聞いていました。
投資名目、契約書がどのようなものであれ、相手が逃げれば回収不能になります。高リターンが確約されている時点で疑いの目を持つべきでした。
詐欺業者の追加勧誘
業者から、当初は、月々の支払がされていました。
しかし、入金された資金を、投資以外の用途に使用したところ、同社から他の目的で使用することはできず、他の目的で使用したのであれば穴埋めが必要と言われました。
そのようなものかと考え、追加の支払をしました。
一度、騙した相手は騙しやすいと言われます。この理由で、二次被害が多いのですが、今回も、理由は適当に、追加で詐欺被害に遭ってしまっています。
さらに、同社から、「最近は税金が厳しくなっているので支払が終わった後に税務署が来て半額を取られる可能性がある」などと伝えられました。
その上で、同社から支払った分を改めて出資すれば、支払額を増やし、最終的にプラスにすると提案されました。
そのため返済で空いた借入枠で借入れを行い、そこから再投資してしまいました。
その結果、371万円を出資し、月額32万4630円を48ヶ月で合計1558万2240円を受取るという内容になったとのことです。あくまで、紙の上では・・・。
さらに、同社が納税を代わりに行うとの話がありました。
ただ。一旦はクレジットカードで決済してもらう必要があり、後に決済分を同社から振込む必要があるとのことでした。そのため、クレジットカードで決済を行いました。
カードの履歴では、「ゴウドウガイシャ」の名前で売上げが上がっています。
このときは、決済分の支払があったので、翌年に同じような話があった際にも、決済に応じました。しかし、このときは、カードの支払日になっても同社からの振込はありませんでした。
このあたりになると、お金を引き出す理由も、理由になっていないものが多いです。
管財事件での自己破産
本件では、不動産もあることや、多額の詐欺被害があることから、同時廃止ではなく、管財手続きで進められています。
破産管財人が選ばれ、面談なども実施しています。
反省文の作成
破産管財人との結果、反省文を作成しています。
詐欺被害だと思われますが、浪費等に該当する可能性もあるということで、安易に手を出した点についての反省を示す必要がありました。
免責不許可事由がある場合の裁量免責をもらうための免責調査では、反省文の作成が必要になることもあります。
この反省文作成のフォローにも対応していきます。
理解できていない投資に手を出したことにより、多額の借金を抱え自分では返済することが出来なくなってしまったことを深く反省している点。
企業からの紹介であることやネット上で調べたところ雑誌への記載や、様々な事業を展開していることもあり信用できる人だと思い込んでしまった点。
わからないことがあり質問をした際にも税金や法律などの難しい話しをされてちゃんと理解できなくても信用できる人だと思っていたのでこの人が言うなら大丈夫だろうと鵜呑みにしてしまった点。
今後は、たとえ一旦信用出来ると判断した人が進めるものでも自分がちゃんと理解できないものには手を出さないようにするとの決意表明。
反省点について、経緯の説明と、今後の対策という視点で書くと良いでしょう。
サブリース投資と反省文
詐欺被害以外に不動産のサブリース契約についても触れています。
老後2千万問題の話をテレビで見て投資に興味を持ち始めて身丈に合わない投資マンションに手を出してしまいました。
投資マンションについてはマイホームを購入した仲介業者から購入。
購入の際はネットで投資マンションについて問題となりそうなことを調べて、毎月の収支がマイナスになること、家賃の下落についてなどを仲介業者に確認したところ。毎月マイナスでもローンを完済したら収支がプラスになり、最終的にマイナス分をペイできたうえで物件が残るなどと説明をされて購入をしてしまいました。
購入後に投資マンションに詳しい人に話を聞いたところ、毎月マイナスになると回収までの期間を考えると物価や家賃は確実に下落することを言われました。
実際に家賃の下落を体験することはなかったですが、仲介業者から言われたから大丈夫ではなく、全体像が分かるぐらい理解をしたうえで不明点を自身で調査をしたうえで購入するか判断する必要があったと反省しているとの趣旨の文章を提出しています。
自由財産拡張申立
一部の資産については、自由財産拡張の申立をしています。
破産管財人によっては、正式な申立書を出すよう指示されることもあります。
今回のケースでは、申立書を作成し、個別事情を記載して主張しています。
破産者は、単身の給与所得者です。高齢者などと比較すれば拡張の必要性は高くないものの、当座の生活費を残す必要があることを主張しています。
破産者の有する有価証券は、勤務先の持株会で保有する親会社の株式でした。
持株会は、福利厚生の側面を有し、通常の有価証券とは性格を異にするものです。
また、破産者の勤務先の場合、持株会への再加入が認められておらず、解約して換価した場合の不利益が大きい点を主張しています。
預貯金の合計及び退職金の8分の1評価額は、いずれも、換価を要しないとされる20万円以下でした。
神奈川県の運用では、自由財産として扱って良いというのが原則です。
預貯金については、生活費の一部であり、破産者の手元に残す必要が高い財産です。また、破産者に直近の退職予定がないことから、退職金の換価は容易ではない点を主張しています。
現預金の合計も、本来的自由財産とされる現金99万円の範囲内である点も主張しています。
自己破産と詐欺被害
詐欺被害を受けて自己破産をする場合、詐欺業者からの回収ができないかを検討することになります。
回収不能だから自己破産をするということが多いのですが、回収不能だということを示す必要があります。
今回も、この会社についての調査報告を提出しています。
詐欺業者の不動産調査
同社は、登記上、東京都千代田区のビルが本店となっておりました。
本店所在地については、部屋番号の記載がなく、不動産の特定ができませんでした。そのため、登記事項証明書は取得できませんでした。
支店として登記されている物件については、大手企業が取得した旨のプレスリリースが出されていました。
直後に支店として登記されていることからすれば、賃貸物件の可能性が高いと考えられます。
なお、法務局に登記の問い合わせをしたところ、同建物は、区分所有になっていないとのことでした。
所有不動産を有していないということを示す必要があったため、これらの調査をしています。
詐欺業者との連絡の経緯
同社からの入金はなく、電話、LINEで連絡を試みても反応がなかったことを報告。
それ以降、本件会社との連絡は取れていないことも申告しています。
詐欺業者のサイト調査
同社のWebサイトを閲覧したしたところ、ホームページでパスワード入力を求められる状態となっておりました。
相談者に対してパスワードが伝えられているということもないため、同社のWebサイトを確認することができませんでした。
ツイッター等のSNSでも検索します。
「現在、○社のホームページが開けなくなりました。」というツイートが確認できました。そのため、同ツイート時期以降、同社のWebサイトは閲覧できない状況であったと推測されます。
ネット上の被害申告等についても、同社または代表者による詐欺被害を訴えるツイッターアカウントが複数確認できました。相談者と同様の詐欺被害のほか、節税に関する詐欺などの被害を訴えるものが確認できました。
詐欺会社の代表者の所在
代表者の所在についても、SNS上では、連絡がつかなくなってかなりの期間が経っていることや、携帯、料金未払いで不通になってるとの音信不通を訴えるツイートがありました。
SNS上では、同社及び代表者について、警察署に、詐欺罪で相談しているとのツイートが複数見つかっています。
このような状況から、詐欺被害の回復を早期にできる見込はほとんどなく、回収可能性はほぼないといっていいでしょう。
債権者集会は2回
不動産の任意売却もあり、債権者集会が2回、開かれています。
任意売却による破産財団組入もあり、債権者へは配当される事案となりました。
破産管財人からの意見から、無事に裁量免責が出されています。
投資詐欺被害、サブリースを理由とする自己破産相談もあります。ご相談は無料で受け付けています。
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