自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介206 Yさんの事例
30代 /男性 / 会社員
借入の理由:高級車購入
神奈川県厚木市にお住まいの30代男性のケースです。
車ローン200万円、イオン銀行150万、JCB150万、アイフル50万円など合計590万の借金が払えないとの相談でした。
この記事は、
- 高級車を購入して支払いが厳しい
- 浪費がある自己破産を考えている
という人に役立つ内容です。
住宅ローンの自己破産
結婚しており、家族構成は、妻と2人の子(5歳と2歳)というものでした。 妻が障害年金を受給していました。
もともとは、KDDIで携帯電話の契約をされてしまったそうです。
以前に財布を落としてしまい、その際の免許証が勝手に使われたと思うのですが、誰かが支払を続けていて内容がよくわからなかたっとのこと。
KDDIに連絡をしても請求書の送り先住所などを教えてもらえなかったのですが、債務があるということでした。
詳細は不明なものの、相談者に支払義務が発生する可能性があることから、債権者一覧表には載せています。
カードを使いすぎる
結婚したものの、妻には精神障害があり、障害年金をもらっていることがわかりました。
イオン銀行でクレジットカードの申込みをしたところ、クレジットカードを持つことができ、給料が入るまでの一時的な不足金をキャッシングしていました。当初は、すぐに返済をしていました。
クレジットカードを持つことができたのがうれしく、ジェーシービーや三井住友カードなど他社でもカードを作ってしまいました。
利便性などがあり、複数枚のカードを持とうと考える人は多いですが、多くなればなるほど管理ができなくなっていきます。
クレジットカードで浪費
クレジットカードを作った当初は、妻にバッグを購入して誕生日プレゼントにあげるなどしていました。
また、外食やコンビニでの買い物にもカードを使うような生活となりました。
決済方法として利用するのであれば問題ないですが、支払が厳しくリボ払いにしていくと、利息が増えていくことになります。
高級車の購入と自己破産
以前に乗っていた車が12年程度経っていて、車検の時期だったので、ローンを組んで車を買い替えたとのこと。
同級生からプラドという車を一緒に買おうと誘われ、断りきれずにローンを組んで購入することになりました。
車両本体価格が400万円以上する車だったので、ローンは通らないだろうと思っていたのですが、通ったため、そのまま買うことになりました。
ローンの支払い額は毎月6万9000円でした。
当時の手取り月収が月収40万円台だったので、なんとか払っていけるだろうと考えていました。
生活レベルとキャッシング
ただ、実際に支払を開始してみると、自動車ローンの分だけ支出を減らさなければならなかったのに、それまでと同じように外食などをする生活を続けていたため、生活費が足りず、作っていたカードでキャッシングをして補うような生活になってしまいました。
さらに、手取り収入が減少。30万円台に下がってしまいました。
以前は役職だったのですが、これを降ろされてしまったことから手取り収入が減ってしまったとのこと。
生活費を減らそうとしたのですが、それまでの返済もあり、アイフルやレイクからの借り入れをするようになりました。
これまで収入は上がる一方だったのに、初めて下げられてしまいました。その後も、査定のたびに収入が下がっていくように。
ギャンブルに手を出し破綻
この頃から、返済が厳しくなり、競馬やFXを始めました。
職場の先輩が競馬で100万円をあてたという話を聞き、相談者もうまく行けば返済資金ができるのではないかと思って始めたとのこと。
それまで株式取引はやったことがあったのですが、競馬を頻繁にやることはありませんでした。ただ、結局は、返済できるようにはならず、マイナスになってしまいました。
借金が多くなってから、ギャンブルやFXに手を出す人が多いのですが、解決できるケースは稀です。
任意整理と自己破産
さらに収入が下がってしまいました。
ここまでローンを支払ってきた車だけは維持しようと考えて、当初、車以外のローンについて任意整理の相談をしました。
車のローン額が大きいため、任意整理で支払えるだけの余力があるのか、2,3ヶ月試すことになり、車と少額のローン以外の支払を止めてもらいました。
このときは、収入が再び増えたり、競馬等で当たればなんとか支払えるのではないかと希望を持っていました。
任意整理は、借金について、今後は利息がかからない形で分割払いの合意を目指す手法です。自己破産とは異なり、裁判所は通しません。
このような任意整理にチャレンジしようとしたものの、給料は増えないままで、クレジットカードを整理しても、自動車ローンの支払があると任意整理の返済資金を準備するのは難しいことがわかったとのことでした。
子供も小さく、養育費用もさらに上がることを考えると、返済できないと判断して、自己破産の依頼に変更。
自動車購入と浪費
本件では、高級車を購入しているため、浪費の検討が必要です。
浪費で過大な債務を負担した場合には、免責不許可事由となります。
免責不許可事由があっても裁量免責が出ることが多いですが、リスクはあります。
免責で借金をなくしてもらうには、しっかりとした申立が必要になるでしょう。
免責不許可事由に関する意見書
裁量免責を狙うには、意見書を作成します。
自動車の購入について、浪費に該当する可能性がありました。
毎月の支払い額は6万9000円であり、当時の手取り月収が43~48万円程度。
他社の負債額もさほど多くなかったことからすると、直ちに支払が困難になる借入とは認められず、当時の収入が継続していたのであれば、支払不能とならなかった可能性が高いと認められると報告。
申立人が支払不能となった原因については、自動車ローンを組んだ数カ月後から、手取り月収が大幅に減額されたことにあると主張。
同時期から現在までに月額10万円以上の減額がされたことにより、支払不能となったことからすると、申立人の自動車購入については浪費とはいえない、仮に浪費に該当するとしても、裁量免責が相当と考えるとの意見を出しています。
競馬に関する免責意見
さらに、競馬にまで手を出してしまっていたので、その点も意見を出しておきます。
競馬についての支出は、申立人の趣味嗜好ではなく、返済目的での支出であると主張。
支払困難になった後に競馬当選金での返済を試みていることから、仮に不許可事由に該当するとしても、裁量免責が相当と考えるとの意見を出しています。
金額的にもそこまで多くはないので、この程度の意見にとどめています。
自己破産時の家計状況
浪費、ギャンブルがあるような事例では、現在の家計状況も厳しくチェックが入ります。
今回の事例では、
家賃 77,138円
食費 100,000円
水道光熱費 14,000円
電話代 37,000円
新聞・雑誌代 3,400円
医療費 29,840円
教育費 50,410円
保険料 9,000円
駐車場代 5,400円
ガソリン代 10,000円
交通費 2,500円
被服費 40,000円
娯楽費 10,000円(正月費用)
修繕費 10,260円
おむつ代等 10,000円
生活雑費 10,000円
運転免許ローン(妻) 14,800円
という支出内容です。
家族構成からすると、食費、被服費が若干高めではありますが、出産後、乳幼児を抱えているので、やむを得ない時期と判断される数字です。
自己破産と車の引き上げ
自動車ローンが残っている車は、自己破産では残せないことがほとんどです。
多くの場合、ローン会社等に所有権留保がついており、支払を止めると、所有権留保による引き上げを求められます。
自己破産では、すべての債務を公平に扱うため、受任通知で自動車ローンも止めます。
受任通知から1,2週間で引き上げの要請が来ます。日程調整をして、自動車を引き渡す流れです。
この際、自動車保険に入っている場合には、車の引き上げにより解約することが多いでしょう。
妻名義のカードの引落
自身の預金口座から、妻名義のカード代金の引落がありました。
自己破産をするにも関わらず、妻の債務を支払っているのは問題となります。
ただ、内容を確認していくと、エポスカードの引落は、妻名義のカードであるものの、主に、家賃の支払、携帯電話代、水道光熱費の支払のため決済手段でした。
大家さんが家賃についてカード払いにしてほしいと言ってきたため、妻名義のカードで支払っているとのことでした。
実質的には、相談者の生活費の支払の決済方法であっため、相談者名義の預金口座からの引落となっていたとのことでした。
支払方法についてはリボ払いなどにせず、翌月一括支払でした。
退職金見込額の書類
勤務先は、従業員が10人程度の会社でした。
入社する際に、賞与や退職金はないと説明されていました。
退職金制度がないことの証明書を発行してもらうのは難しいとのことでした。
また、入社の際に雇用契約書や雇用条件通知書は作られていませんでした。
今も、新入社員の募集をしていますが、退職金についての記載はありません。
したがって、退職金見込額はないとの報告で足りています。
免責不許可事由や財産報告で微妙な点はありましたが、管財手続ではなく、同時廃止により免責許可が出ています。
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