自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介189
Mさんの事例
60代 / 男性 / 生活保護
借入の理由:生活費、税金の差押
厚木市にお住まいの60代男性のケースです。
過去に2回の自己破産をしている
とのことでした。3回めの自己破産の相談です。ここまで繰り返していると、過去の破産理由は重視されます。
この記事は、
- 3回めの自己破産をするしかないと考えている人
- 生活保護で自己破産を検討している人
という人に役立つ内容です。
1回めの自己破産
最初の自己破産は詐欺被害にあったことが原因でした。
当時は、給与も年額900万円ほどあり、クレジットカードを作ってほしいという勧誘も多く、交際費や生活費をカードで支払っていました。
そのような状況で不動産屋から勧誘を受けました。
土地の造成をするから購入してほしいと不動産屋から勧誘されたとのことでした。そこで資金を借り入れて3000万円で山林を購入したところ、不動産屋が逃げてしまうとう詐欺被害に遭いました。
原野商法の一形態といえるでしょう。
多額のローンを組み、資産価値のない不動産を手に入れたことになります。
その結果、返済不能となり、一度目の自己破産を申し立て、免責を受けたとのことです。
このときの破産手続で、山林については処分済みになったとのことでした。
詐欺の被害に遭ってしまい借金を負ったというのも、自己破産ではよくある理由です。
2回めの自己破産
相談者の父親が、不動産関係で多額の税金を課せられ、さらに事業用の借り入れもあって、債務超過となり、土地建物を全て失ったとのことでした。
相談者が父親の税金の支払いのための借り入れの保証人になってしまっていました。
そこで、保証人としての責任を問われ1000万円ほどの請求が来てしまい、2度目の破産申し立てを行い、免責されました。
同じ頃、父親が死亡したため、相続放棄をしました。
2回めの自己破産では、1度目と同じような内容だと問題視されやすいです。
しかし、保証人という場合、請求を予想できないことも多く、破産の理由のなかでは、やむを得ないと判断されやすい事情となります。
最近では、保証人の契約自体が減っているので自己破産をする理由としては少なくなってきていますが、以前は、非常に多い理由でした。
3回めの自己破産
2回めに自己破産をした後、それまで勤めていた会社を退職。
それ以降、派遣会社を転々とするようになりました。
しかし、度々、派遣切りにあい、次の派遣先が決まるまでの間の生活費が不足するようになり、借り入れをするようになりました。当時、水道光熱費等の滞納も生じるようになりました。
さすがに自己破産を繰り返すことはできないと考え、返済を継続。そのような生活が10年近く続いていました。
しかし、住民税の滞納により、給与が差押えられ、生活費が不足。借り入れに頼り生活するようになってしまいます。
次第に債務が増加する一方で、年齢のために次の就職先が見つかりにくくなり、失業保険も切れたため、返済ができなくなってしまい、相談に来たという経緯です。
収入が全くない以上、任意整理や個人再生を選択することはできず、自己破産しかないということになってしまいます。
生活保護による生活の立て直し
借金については、自己破産をするとしても、就職ができず収入がないとなれば、生活ができません。
生活費については、生活保護の申請をし、立て直すこととなりました。年齢や就職活動の状況からしてもやむを得ないものと認められました。
年金の受給額もあったたため、生活保護の支給については、年金額により減額された金額になっています。
生活保護の収入ということで、自己破産の費用については法テラスを利用しています。
ギャンブルがある場合の自己破産
借入理由の中にギャンブルがある場合には、免責不許可事由になるか、裁量免責が相当かの意見を弁護士が出します。
今回は、少額であるものの、競艇等のギャンブルがあることが、預金取引明細にも記載されていたため、その説明をしています。
ただ、破産法で免責不許可事由になるのは、ギャンブルにより過大な債務負担をしたり、著しく財産を減らすことです。多少のギャンブルがあったからといって、免責不許可事由になるものではありません。
本件では、ギャンブルへの支出があるものの、年間5万円程度と少額であり、これによって債務が増大したとはいえないこと、すでにギャンブルはしていないことから、免責不許可事由と判断されたとしても裁量免責が相当との意見を出しています。
2回め以降の自己破産と管財手続き
自己破産の手続きには、簡単な手続きで進められる同時廃止と、破産管財人が選ばれる管財手続きがあります。
免責不許可事由があり、調査が必要とされると、免責調査型の管財手続きとされ、破産管財人が選ばれます。
管財手続きのほうが費用負担などが重くなります。
2回めの自己破産事件を見ていると、1回目であれば、同時廃止で進められるような、比較的軽い調査事項でも管財手続きになる傾向があります。
たとえば、ギャンブルや換金などは、その金額によって、管財手続きにされるかどうか決まる傾向があります。そのなかで、2回めであれば、比較的少額でも管財手続きにされることが多くあります。
2回めの自己破産という場合、7年が経過していれば、免責不許可事由にはならないのですが、やはり同じ支払不能状態に2回なっているということは、更生の必要性が高く、要調査とされやすくなります。
3回めの自己破産の事案はジン法律事務所弁護士法人でも少ないですが、2回めの事情を考えると、それだけで管財手続きとされてもおかしくないといえるでしょう。
本件でも、生活保護による法テラス事案であり、ギャンブルの金額も少額ではありましたが、3回めということで管財手続きとされています。
生活保護での法テラス自己破産と予納金
自己破産で、管財手続きとされると20万円の予納金が必要です。
法テラスは弁護士費用の立替機関ですが、管財予納金の立替はしてくれません。
20万円を準備する必要があるのが原則です。
ただし、生活保護受給者の場合には、法テラスは、20万円の管財予納金も立て替えてくれます。通常は自己負担となる官報予納金も立て替えてくれます。
そのため、自己負担なしで自己破産手続きを進められる運用になっています。
自己破産と反省文
ギャンブルなどの免責不許可事由がある場合、反省文の提出をすることがあります。
同時廃止でも管財手続きでもあります。
そのような文書を記録に残すことが大事だと考えているようです。
反省文とともに、家計簿などの提出を求められることもあります。
いずれも、自己破産をするとなると、家計の管理はできたほうが、将来は安心ですので、しっかり対応すべきでしょう。
借金をしないということは、収入の範囲内で生活する必要があります。
収入が増えなければ、支出を減らすしかありません。そのためには、まず支出を管理する必要があるので、その点を下記簿や反省文でチェックすることになるでしょう。
2回め以降の自己破産での反省文
反省文では、原因の振り返り、再発の防止を具体的に記載するのが有効です。
過去2回の破産をしているにもかかわらず、ポイント、キャッシュバックがあるという事の誘惑に負けて、安易な気持ちで必要のないクレジットカードを作ってしまったことが原因でした。
その当時は、派遣での収入があることから、返済は出来ると考えていましたが、結果的に、3回目の破産をすることになってしまった自分の計画性のなさに大変反省をしているとの内容の反省文を提出しています。
今後の生活についても、収入だけでも、充分に生活が出来る様に家計支出を管理して、家賃、公共料金の支払いのほか、税金についても滞納することが無いように、計画的に生活し、臨時の出費に備えて、少額ずつでも預金をしていくとの展望を示しています。
3回めという異例の自己破産でしたが、無事に免責許可は出ています。
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