自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介181 Hさんの事例
30代 / 男性 / 慰謝料支払
借入の理由:会社員
神奈川県厚木市にお住まいの30代男性のケースです。
楽天カード、三菱UFJ銀行などに150万円以上の借金があったほか、アコムやアイフルの消費者金融、メルペイの借金などもあり、総額450万円程度の借金があり、支払ができないとの相談でした。
この記事は、
- 慰謝料請求を受けて自己破産を検討している
- メルペイなどの未払いもある
という人に役立つ内容です。
ポイント目的で楽天カード
多重債務の始まりは、ポイント獲得目的で楽天カードのクレジットカードを作成したことでした。
楽天ポイントは改悪されてきているものの、たしかにオトクです。普段の買い物に利用するくらいならば問題はありません。
しかし、リボ払いを利用したことで楽天カードに対する債務が膨らみ、返済が厳しくなってしまいました。
多くのカード会社は、利息で利益を出していますので、リボ払いなど、より利息収入を得やすい方向に誘導してきます。カードを利用する際には、このような誘導に注意することが最低限必要です。
リボ払いの返済が厳しくなり、三菱UFJ銀行のカードローンを利用開始し、楽天カードの返済に充てたり、生活費の不足に充てたりするようになってしまいます。
メルペイの自己破産
自己破産では、債権者はすべて債権者一覧表に記載して対象にしなければなりません。
一部だけ外したり、隠したりすることは認められていません。
メルペイを利用しての未払い分があれば、そちらも対象となります。
未払いのものは、受任通知で同時に支払を止めるのが原則です。
ただ、メルペイのような債務は、忘れがちでもあります。キャッシングのような借金とは異なるため、弁護士に依頼時に申告を忘れてしまいがちです。受任通知後の返済があると、偏頗弁済の問題が出てきます。
偏頗弁済は内容によっては、免責不許可事由になります。
金額によっては、これを理由に管財事件にされることもありますので、注意しましょう。
今回も、メルペイの最終利用及び最終返済が、受任通知後にされていました。メルペイが借金にあたるという認識を欠いたまま、現金の感覚で利用を継続してしまったためでした。
不貞慰謝料と自己破産
借入の原因の中に、慰謝料支払目的というものがありました。
既婚者と交際していたところ、その関係が交際相手の夫に露見し、不貞慰謝料請求を受けたとのことでした。
アコムやアイフルなどの消費者金融から新たに借入れをし、慰謝料75万円を支払ったとのことでした。
自己破産では、すべての債権者を届出ないといけません。そのなかには、慰謝料請求権も含まれます。
自己破産の申立時に、請求を受けている慰謝料があれば、それも債権者一覧表に記載します。
自己破産の対象になるか、支払義務がなくなるかどうかは、破産法の非免責債権になるかどうかによります。破産法では、悪意の損害賠償請求権は非免責債権とされていますが、不貞慰謝料の場合、そこまで認定されることは少なく、免責され、支払義務がなくなるのが原則です。
そのため、多額の不貞慰謝料の支払義務がある場合、他の借金もあり、支払不能であれば、不貞慰謝料も含めて自己破産を申し立てる人もいます。
また、今回のように、他の金融機関から借り入れて慰謝料を支払い、その後、金融機関への返済を続けるものの、結局、支払いができなくなり、自己破産になってしまうという人もいます。
どちらかといえば、個人債権者が自己破産の債権者になっている場合、免責に対する意見などを積極的に出したり、理由もなく異議を出してくることもあり、慰謝料請求を受けた場合、すぐに破産をする人よりは、借金してでも支払い、何とか借金を返済しようと頑張る人の方が多い印象です。
深夜アルバイトも続かず
不貞慰謝料による借金返済のため、収入を上げようと、夜間にアルバイトを始めます。
しかし、返済は追いつかず、返済をすれば生活費が足りなくなります。
深夜のアルバイトを増やせば肉体的に厳しくなってしまいます。
生活費に充てるため、新たにプロミスなどからも借入れをするようになり、高金利の借金が増えるだけとなり返済が限界を迎え、弁護士に相談しにきたという経緯です。
個人再生からの切り替え
今回の相談では、当初は、個人再生手続きの依頼がありました。
受任通知を発送し、各債権者の金額を正式に調査します。
そこで金額が確定し、財産額が分かれば個人再生での支払い見込額がある程度わかります。
ここで、当初の想定とは違う事情、金額に違いなどが出た場合には、方針を変更することがあります。
今回のケースでも、債権調査後に、債務整理の方針を個人再生から自己破産に切替えています。このような方針変更自体は、早い段階であれば問題は起きにくいですし、余計なコストもかかりません。
債権額の調査は受任通知を送らないとできないので、とりあえず何らかの債務整理手続きを依頼し、後に変更するという人はいます。
また、転職、相続、離婚など事情が変わり、個人再生から自己破産に切り替えるしかないということもよくあります。
生命保険の契約者貸付
生命保険などの積立型の保険の場合、解約返戻金額の一定の範囲で貸付を受けられることが多いです。
これを契約者貸付などと呼びます。
保険の契約者貸付については、借金ではありますが、解約返戻金の一部という捉え方がされます。
自己破産でも個人再生でも、債権者はすべて債権者一覧表に記載しなければならないものの、この保険の契約者貸付については、例外的に記載しない運用とされています。
貸付ではあるものの、実質的には、保険の解約返戻金の前払いと同視されるようなものであり、保険と分離して支払いを止められるものではありません。保険の解約返戻金を担保に取っているようなもので、その範囲での貸付ということもあり、他の債務、他の資産に与える影響はほぼないことから、債権者一覧表に記載しない扱いとなっています。
この保険貸付の処理については、保険の解約返戻金証明書を取得した際、解約返戻金と保険貸付金が記載され、差額が計算されているはずです。
たとえば、保険解約返戻金が90万円、保険貸付金が50万円、差額が40万円というような記載です。
個人再生では、この40万円が清算価値に加算されますし、自己破産での処分対象となるのも、この差額が原則となります。厳密には清算日までの利息が加算されるはずですが、ざっくりした計算では、このような数字となります。
自己破産と養育費の免除
過去に離婚歴があり、子がいたため、養育費の支払をしていた時期もありました。
養育費について未払いがあれば、それも債権者一覧表には載せます。
しかし、養育費については、最終的に非免責債権とされているため、免責許可が出ても支払義務は残ります。
借金よりは優先して支払っておかなければならないものです。また、養育費が離婚調停などの裁判所の書類で取り決められているような場合には、給料差し押さえなどがしやすくなっています。
今回は、そのような明確な取り決めまではされていませんでしたが、子2人の養育費として月額5万円を手渡しで支払っていました。その後、多重債務状態もあり、元妻から「養育費はもう支払ってくれなくてよい」と言われ、その後支払は止めたとのことでした。
養育費債権自体が免除の対象となるかは微妙な問題がありますが、元々の明確な取り決めがされておらず、請求も受けていないことから、未払い養育費があるとは認められない状態でしたので、報告のみにとどめて対応しています。
免責許可
経緯を確認しても、免責不許可事由があるとは認められなかったため、問題なく免責許可が出て、支払義務がなくなっています。
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