自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介161 Nさんの事例
50代 / 男性 / 会社員
借入の理由:住宅ローン、飲食店廃業
厚木市にお住まいの50代男性のケースです。
飲食店を開業後、あるお客からの提案に乗ったために借金が増えてしまったとのこと。自宅や車を手放し、少しずつ返済を続けてきたものの元金が減らず、債権者から裁判を起こすと言われたタイミングで相談に来られました。
住宅ローン
約13年前に、銀行で住宅ローンを組んで家を購入しました。
当時、相談者は不動産会社に勤めていたため、家を購入する人との接点も多く、自分自身も自然な流れで購入したとのことでした。
5年後には、金利が安くなると考えて別の銀行で住宅ローンを借り換えました。
また、アプラスのカードで日々の生活費やETC利用料を支払っていましたが、特に大きな債務にはなりませんでした。その後、アプラスを利用して車を購入しましたが、返済は続けられていました。
飲食店の開業費用を借入
7年前、以前からやりたかった飲食店を始めました。
会社員から自営業に変更です。
当初は、日本政策金融公庫で開業資金を借り、市役所の近くで始めました。
営業は順調で、公庫の返済も住宅ローンなどの返済も問題なくできていました。
店舗移転の勧誘
店を始めてしばらくすると、ある男性のお客さんがお店を気に入ってくれたようで、駅近くの物件に移らないかと勧めてきました。
相談者は家賃が高いことを理由に断っていたのですが、男性は自分の会社で内装工事費等を負担する、相談者にも毎月30万円の給料を支払ってくれる、などの提案をしてきました。
相談者は迷いましたが、毎月決まった安定収入を得られるなら開業資金の返済もしやすくなると考えて、最終的には男性の提案を受けることにしました。
内装工事費を借入
ところが、その男性は、移転の話が進み内装工事費が必要なタイミングで、まとまった資金がないと伝えてきました。
そして、融資の都合をつけるから相談者名義で融資を受けてほしい、返済は男性の会社がするから、と言うのでした。
相談者は、自分の名義で銀行から約1000万円の融資を受けることになり、その費用で駅前の店舗の内装工事をしました。
当初の2、3回は、約束通り男性の会社が返済をしてくれていました。
バイクの換金
開店後の運転資金は男性の会社が負担するという話でしたが、数か月すると男性は、今お金がない、と言ってきました。
そして、知り合いのバイク屋でバイクを買ってほしい、返済は男性がするから、すぐに手放せば現金ができるから、と提案してきました。
当時、相談者はまだその男性のことを信じていたこともあり、信販会社でローンを組んで、言われた通りにバイクを購入しました。
その後すぐ、そのバイク屋で買ったバイクを処分した形となりました。このとき何枚かの書類に署名押印はしたのですが、控えはもらっておらず、資料は全く残っていないとのことでした。
男性と連絡が取れなくなる
バイクのローンも、数回は男性が返済したものの、その後男性とは連絡が取れなくなりました。どうやら、その男性にも借金の返済があったようで、資金繰りに行き詰まっていたようでした。
それまで店の売上は男性が管理し、相談者は男性の会社から給料をもらっていましたが、その後は自分で売上を管理するようになりました。
男性と連絡が取れなくなる直前、男性は相談者に「しばらく店の売上で食べていってほしい」と伝えていたとのことです。
飲食店を閉店、廃業
店の売上に関しては、とても駅前で経営できる収支ではありませんでした。すぐに廃業するしかなくなってしまいました。
店舗は男性の会社が借りて転貸されていたのですが、男性がいなくなってしまったため、大家さんから相談者宛に原状回復して明け渡すよう求められました。
そんな費用もないと言っていたところ、大家さんが見つけてきた業者に居ぬきで引き渡す形になりました。
自営業のその後のローン
こうして店を閉めた廃業後のタイミングでは、自分の住宅ローン、自分の車のローン、公庫で借りた開業資金、駅前の内装工事費として借りたローン、バイクのローンの支払いだけが残りました。
男性に対して裁判でも起こそうかという気持ちもあったようですが、お金がない人には裁判で勝っても取り返せないと周囲に言われ、断念したとのことです。
その後、相談者は就職しましたが、ローンを支払えるだけの収入はなく、自宅は任意売却し、アプラスによって自動車も引き上げられました。ほぼ自営業のローン負担だけが残ってしまった形となりました。
支払えるローンに関しては、毎月少しずつ支払いを続けてきました。
裁判予告で自己破産を決意
相談者は多額の債務を少しずつ返済してきたつもりでしたが、残念ながら元金は全く減らない状態が続いていました。
何しろトータルで4000万円以上の借金が残っていました。住宅ローン残金だけでも厳しい状況です。
ある債権者に、このままだと裁判を起こすしかないと言われたところで、法律相談に来られました。
相談の結果、給料等を差し押さえられると生活ができなくなってしまうことから、自己破産をすることになりました。
同時廃止により免責許可
本件の流れを見ると、相談者は、自営業により多額の損害を発生させています。それが借入で補われました。
そのうち、内装工事分のお金は、主に勧誘をしてきた男性顧客の会社に、工事代金として払われていたものでした。
男性からの勧誘は、男性が経営主体となり、相談者を雇用するという勧誘に見え、事業への投資という性質のものであると認められます。この事業投資と、無償での内装工事負担の約束が組み合わさっていたものと認められます。
見方によっては、工事代金の利益分、バイク処分代金が詐欺であるとも考えられるのですが、その割には、新店舗の賃貸借契約も自分の会社名義を使っており、計画的な詐欺行為にしては、穴が目立つものでした。
また、男性の資力にも疑問がありました。このような点から、ずさんな投資の提案だったところ、別要因で経営が悪化し、資力がなくなったものではないかと推認されます。
そうすると、男性に対する損害賠償請求などで回収できる可能性は高くなく、管財人を選任しても、空振りになることが見込まれました。
さらに、債権者からも、特に破産管財人の調査要望もありませんでした。
このような点を主張し、裁判所とも協議を重ねたところ、バイクの換金など色々と疑問点はあるものの、同時廃止手続で進められることとなりました。
免責許可も出されています。
飲食店など店舗を持つ自営業では、顧客から怪しい勧誘を持ちかけられることもあります。会社員時よりも、そのような被害に遭いやすい環境ですので、お金を守る力を強めていく必要があります。
厚木市にお住まいの方でしたので、横浜地方裁判所小田原支部での手続きとなりました。
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