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ケース紹介133 Sさんの事例

70代 / 男性 / 会社経営

借入の理由:法人破産、保証人


愛川町在住の70代男性のケースです。

法人経営者による、会社破産とあわせての相談でした。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

タバコ代でキャッシング

会社員時代に、アコムなどの消費者金融から借りていました。

当時の付き合いでゴルフに行くための費用がなかったり、タバコ費用がなく、キャッシングをした記憶とのことです。

それにしても、自己破産者の喫煙率の高さには驚かされます。
生活は苦しいと言いつつも、タバコ代が家計の支出にかなりの割合を占めているという実態があります。


家計のチェック時にタバコ代の支出がある場合に、タバコをやめようと思ったことがないのかとか聞きますが、皆様あまり積極的ではない様子。


どうして吸っているのかと聞いても、なんとなくという感じです。


結局、以前についた悪習慣がそのまま残ってしまっているだけのようです。
本当に家計を健全化したければ、禁煙にチャレンジしてみるのが良いかと思います。
当然ながら、健康にも良く、医療費の抑制などにもつながるはずです。
本気で家計を改善したいと考えている人は、チャレンジしてみてください。

 

会社経営の保証

独立して、会社を設立。

会社を設立した当初は、黒字の経営が続いていたので、借金の返済も自分の収入からできていました。

ただ、会社の経営が悪化するなどした際に、会社が運転資金を借りる際の保証人になりました。

会社自体は波があったものの、15年以上、順調に経営ができていました。

しかし、その後、業界の不況、競合の進出により、経営が悪化。


会社が信用組合から追加融資を受けることになり、その際に、保証人になったほか、自宅を担保に入れました。

 

自宅担保と会社破産

会社の経営をなんとかしようとして融資を受ける際に、金融機関からの融資の条件として、代表者の自宅を担保に入れるよう求められることもあります。


代表者の自宅不動産について、住宅ローンが残っている場合に、このような担保設定をしなければ、会社が破産をしたとしても、代表者が再就職するなどして、個人再生により自宅を残せる可能性があります。

しかし、個人再生については、自宅に住宅ローン以外の担保がついていないことという要件があります。
会社のローンの担保を自宅に設定していると、個人再生という選択肢が消えることになります。

当然ながら、担保設定時には、会社を再建させようと思っているので、破産をさせるという頭ではないのかもしれないですが、経営者としては、万が一のリスクのことを考えて、選択肢を狭める行動をとって良いのかどうか検討する必要があるでしょう。


自宅の維持については、家族にとっても重要な話になってくるので、ご家族で相談をして決めた方が良いものです。

 

 

自己資金の導入

その後、会社の消費税を支払うことができず、信用組合から個人名義で借入れをしました。

税理士のアドバイスで、多めに借りておいた方が良いと言われたので、それに従いました。

何とか会社を維持しようと、自身だけではなく、家族の財産もつぎ込みましたが、経営はうまくいかず、支払ができなくなりました。

会社破産と消費税

消費税については、その仕組みから、滞納しやすい構造にあるといえます。
納税準備預金や、別口座に移すなどして保管しておかないと、日々の支払い、従業員の給料などを優先し払ってしまいつい不足してしまって滞納しがちなものとなります。

しかも、税金に関しては、裁判を経ずに差し押さえができるので、非常に怖いものとなります。

預金口座や、売掛金を差し押さえられ、会社としての信用を失うことにもなりかねません。
支払いに関しては、しっかりシミュレーションしておくことが必要でしょう。

 

他人名義の財産による返済

ただし、ここで、もう会社の借り入れができない状態にある点は問題です。

個人名義での借り入れをすることで、役員貸付金で処理をしていることになります。

個人名義での借り入れが入ってくると、会社の経営としては末期症状といえます。

税理士としては、多めに借りておいた方が、資金繰りがラクになるのでそのようなアドバイスをしたものとはいえます。

しかし、経営判断として、その資金の返済ができるような見込みがあったのかどうか、そこは税理士のアドバイスを鵜呑みにせず、経営者として見極める必要があったといえるでしょう。

その後に、家族の財産をつぎ込んでいるところは、悪手です。


経営者としては、家族経営などをしている、法人を守るために、このような私財の投入を希望することもあるのですが、結局破綻してしまい、家族にも何も残らない事態になりがちです。

法人と代表者が自己破産となっても、家族にある程度の財産があるのであれば、そこから生活自体を再建しやすくなります。
判断を遅らせると、生活再建がしにくくなる関係にもあるので、家族名義の資産を会社に注ぎ込むかどうかについては慎重に考えた方が良いでしょう。

今回は、同居家族だけではなく、別居の兄弟からも100万円以上のお金を借りて、会社の資金繰りにあてており、親族の名前も債権者一覧表に複数載ってくる事態となりました。

会社破産とあわせての申立となりましたので、管財事件によって進められ、免責許可も出ています。

 

 

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