自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介119 Tさんの事例
50代 / 男性 / 会社員
借入の理由:不動産投資
横浜市青葉区居住の50代男性のケースです。
不動産投資のローン残債務があり、訴訟提起されたという相談でした。
投資マンションの購入
平成10年に銀行でローンを組み、投資目的で埼玉県内にマンションを購入していました。
不動産投資ということで、毎月の返済額は約10万円の支払でした。
賃料収入があったため、毎月の返済は順調にできていました。
住宅ローン
その後、自宅マンションも住宅ローンで購入。
住宅金融支援機構及び都市銀行でローンを組み、マンションを購入。こちらも毎月の返済額は10万円程度でした。
連れ子の生活費負担
結婚し、妻の連れ子と養子縁組をすることに。
急に、妻子の生活費を負担することになり、生活費支出が増えることとなりました。
賃借人の退去
家計状況の収支が悪化したところで、埼玉県内のマンションの賃借人が退去。
賃料収入がなくなり、新たな入居者の目途も立たないため、ローンの返済ができなくなり、管理費も滞納するようになってしまいます。
不動産投資の中で、ワンルームマンションの投資がありますが、物件が1件の場合、空き室となったときのリスクが大きくなります。
不動産投資全般にいえることは、賃借人が不在の空き室リスク。
そのため、物件の立地が非常に重要となります。地方の物件を購入する場合には、数十年単位での人口変動をある程度読まなければなりません。また、ターゲットとなる賃借人の世代なども考慮する必要があります。大学生をターゲットとした物件だったところ、大学が撤退するようなこともあります。
そのような場合でも、複数の不動産を持ち、空き室が多少出ても損失が少なく済むような手法をとる人も多いです。
しかし、1軒のみの投資物件が対象の場合、空き室が出てしまい、地域によってすぐに新しい賃借人が出てこないような場合には、ローン支払が困難になるリスクもあります。
今回は、まさにこのリスクが顕在化した事案です。
家族の病気
タイミングが悪いことが重なり、そのような時期に家族が病気を発症、入院となります。
医療費がかさみ、自宅マンションのローンも滞納するように。
投資マンションについては、担保不動産競売開始決定が出てしまいます。
翌年、自宅のマンションを任意売却するも1000万円以上の債務が残ってしまいます。
競売手続が進んでいた投資マンションも売却されましたが、約1500万円の債務が残ってしまいます。
到底支払うことができないと考え、残ローンの支払は放置してしまいましたが、訴訟提起されたことを契機に弁護士に相談しに来たという経緯です。
別居による家計状況の説明
相談時には、妻子とは別居となっていました。
病気の関係で実家近くでの居住が必要となり、別居状態に。
別居自体は破産手続きでは問題となりませんが、妻のパート収入や障害手当だけでは、生活が成り立たないため、一定額を仕送りしていました。
また、定期的に家族に会いに行くため、交通費支出がありました。
このため、家計状況は苦しく、今後の生活の見通しについて心配される状況でした。
確定拠出年金
不動産投資からの自己破産事件では、大手にお勤めだったり、勤務期間が長い人が多いです。
そのため、退職金制度によって一定額の財産が形成されていることが多いです。
退職金見込額が一定額を超えると、管財手続となります。投資物件でのローンということで、不動産が残っている場合には管財事件になりやすいですが、そうでなくても、退職金見込み額から管財手続とされることがあります。
ただし、退職金制度のうち、確定拠出年金についてはこの基準から外れます。
確定拠出年金は差押が禁止されている財産です。将来の年金と同趣旨のため、法律で差押が禁止されているのです。
差押が禁止されているため、自由財産として処分対象にもならず、自己破産をしても残せるものです。
ただ、通常の退職金と併用されている制度の場合もあります。この場合は、確定拠出年金部分は問題視されませんが、通常の退職金部分は8分の1の評価額が破産財団に組み入れられるのが原則です。この相当額を捻出する必要があります。
自由財産の拡張
破産財団に組み入れられるとしても、現在、退職していない以上、退職金は受け取っていません。
それにも関わらず、破産財団に組み入れるということは、そのお金を準備しなければならないということになります。
このような準備が大変な場合、自由財産拡張の申立をして残せるよう交渉する方法があります。
これは、本来は差押禁止のような自由財産ではないものの、その考え方を拡張して、自由財産と同じように残してほしいと申請する方法です。
管財事件の場合に認められるもので、管財人や裁判所の判断によって残してもらえることも多いです。
一般的には、管財予納金を支払った後の預貯金や保険、今回のような退職金見込額に使われます。
ただ、残すための合理性は必要で、そのあたりの説明を求められることになります。収入が少なかったり、保険の必要性などから認めてもらえることも多いです。
また、多くの裁判所では、トータルの財産99万円までは現金と同視して自由財産拡張を認めてもよいのではないかという動きがあります。
今回のケースでは、退職金が約760万円、8分の1相当額が90万円以上ありましたが、最終的に自由財産拡張が認められています。
他に株式などの資産があり、そちらを売却、相当額の配当ができたことなども理由になっているものと思われます。
免責については不許可事由もなく、許可が出ています。
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