自己破産ケース
ケース紹介
ケース紹介103 Kさんの事例
40代 / 男性 / 会社代表
借入の理由:保証人、換金行為
海老名市居住の40代男性のケースです。
会社代表で、負債総額2億円以上、会社の破産もう同時に進めるケースかと思いきや、事情を聞くと違ったので、個人のみ自己破産で解決できたケースです。
営業経費の自己負担
営業の仕事をしていたところ、職場で取締役営業部長となりました。
しかし、この人事は、会社の業績が悪化し始めており、創業者オーナーが会長に退くことに伴う人事の一環だと後から判明しました。
役員となったものの、オーナーが会社に残っていることから、経費を自由に支出できず、接待交際費や宿泊費などの経費の一部を負担するようになり、その支払いにクレジットカードも利用。
会社債務の保証
その後、会社の代表者に昇格しました。
それに伴い、会社の借入れについて保証することに。
会社員としては、企業内で出世、社長まで昇りつめたように見え、成功者のように感じます。
しかし、決算で会社の経営状態が思わしくないことが判明しました。
大手の新規参入の他、主な販売チャンネルの倒産によって、会社は弱体化していました。
結局、翌年には、経営危機により、役員報酬が半減。
その結果、自身の債務について返済が困難となり、借入や換金行為によって返済するなど自転車操業状態に。
会社の代表取締役も退任となりました。業績回復を狙おうとしたものの、オーナーとの意見が対立。
雇われ社長という立場の限界です。
代表者退任に伴い、金融機関に保証契約解除を打診したものの、ほとんど保証契約解除に応じてもらえず、責任だけが残ってしまう形となりました。
合同会社の代表
退職後、個人事業を始めたところ、法人でなければ取引ができないという話があり、合同会社を設立。
その代表として活動をすることとなりました。
一人会社であり、実態は自営業でした。
法人自体の債務はなく、破産、清算をする必要性はないという状態です。
会社の資産としては、若干の預金と売掛金がある程度でした。
代表者のみの個人破産
合同会社の代表でしたが、個人のみの自己破産を進めることとなります。
会社に負債がないのであれば、支払不能ではなく、法人破産を進める必要はありません。
ただ、このような場合、資産調査などの必要があり、管財事件とされるのが通常です。今回も、自宅については社宅扱いとして、電気・水道・ガス・携帯電話の支払いなど会社経費としているなど家計上の混同もあり、調査が必要とされる状態でした。
一人会社であれば、会社の資産も出資という形で個人資産とみなされる可能性が高く、法人の決算書の提出などを求められることになります。
会社の資産が乏しいということであれば、出資持ち分や株式について、自由財産拡張が認められることが多いです。
価値がある、換価が必要だと破産管財人が考える場合には、親族による買取などを検討することになります。出資分の評価を鑑定までするケースは多くありませんが、税理士、会計士の意見を聞くことはあるでしょう。
今回のケースは、会社資産も乏しく、相談者が受け取っていた役員報酬も低額だったことから、自由財産拡張が認められています。
会社に債務がある場合には、基本的には、会社破産の申立も同時にするよう求められることが多いですが、債務がないような場合には、このような点がポイントとなります。
換金行為について
前職の際に換金行為が認められるため、この点からも管財事件とされています。
役員報酬の支給が遅れることがあったことから、支給までの資金繰りのために行っていました。さらに、役員報酬が減額されてからは、業績を回復させて役員報酬を基に戻すまでの資金繰りとして行っていました。
換金対象は、クレジットカードでiPadやMacBookといったApple社製品を購入し、売却するというもの。
よく見られる換金行為です。
昔は、換金行為といえばチケット関係が多かったのですが、電化製品の中でも単価が高いものが増えつつあります。また、ネット上で使えるギフト券なども多い類型です。
カード会社の明細、換金後の入金の預金明細などからこれらの事実は発覚することもあります。
換金行為がある場合、免責に関する意見書の作成が必要です。
これが破産手続きを遅らせるような意図でなかった点などを説明していきます。
今回は、換金時期に業績回復を試みており、正常な返済を再開できる可能性が残っていたことを主張。
換金行為は、当座の資金を捻出する目的であることは否定できないものの、業績回復までの資金捻出を意図したものであり、徒に破産申立遅延を図るものではなく、不誠実性は低い点を主張しました。
管財人からも裁量免責の意見書が出されており、免責が許可されています。
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